過失割合100:0の交通事故!示談交渉が不安な場合の対処法とは

2019年02月04日

走行中の車同士が交通事故にあった場合、過失割合が100対0になるケースは少ないといえます。しかし、どちらかが停止しもう片方が走行している追突事故の場合、過失割合が100対0になる可能性があります。

100対0の交通事故で示談交渉を行う際、過失が認められていない方は、自身の保険会社に示談交渉を依頼することができません。自分で示談交渉を行わなければいけない場合、「示談が成立したらいくらもらえるの?」「損をしたくない…」などという疑問や不安が生まれるかと思います。

そこで今回は、

  • 交通事故の「過失割合」とは
  • 被害者に支払われる損害賠償について
  • 過失割合100対0の示談交渉を損なく成功させるには

などについて、詳しく解説していきます。

交通事故では過失割合が決められる

交通事故が起きると、事故当事者双方に対する責任として「過失割合」が決められます。
過失割合は、警察官によって作成された書類を元に、お互いの保険会社が決めています。過失の大きい方が加害者、小さい方が被害者となるのが一般的なパターンです。

しかし、過失の小さい方が加害者、大きい方が被害者となるケースもあります。

交通事故の被害者に支払われる損害賠償

交通事故の被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。損害賠償とは、交通事故で様々な損害を負った被害者に対して、加害者がその損害の埋め合わせを行うことです。

過失割合が100対0の交通事故である場合、被害者は損害賠償金の全額を、加害者に対して請求することができます。しかし、被害者に7割以上の過失が認められている場合は「重過失減額」となり、過失割合に応じて損害賠償金が減額されてしまいます。

▶︎参考:交通事故の「重過失減額」!過失相殺による減額分はいくら?

被害者に支払われる損害賠償3つ

被害者に支払われる損害賠償は、以下の3つ。

  • 積極損害
  • 消極損害
  • 慰謝料

それぞれの内訳を見ていきましょう。

積極損害

積極損害とは、交通事故によって被害者の出費が余儀なくされた場合の損害です。

積極損害として被害者が請求できるものは、以下の通りです。

  • 治療費
  • 入院費
  • 手術費
  • 通院交通費
  • 付添看護費
  • 装具・器具等の購入費 など

消極損害

消極損害とは、交通事故が原因で、被害者が本来得られるべきであった収入や利益が減少した場合の損害をいいます。

消極損害として請求できるものは、「休業損害」と「逸失利益」の2つ。

  • 休業損害
  • 交通事故の怪我が原因で仕事を休み、被害者の収入が減少してしまった場合の減収分を補償。

  • 逸失利益
  • 交通事故による怪我が後遺障害になったことで被害者の労働能力が低下し、本来得られたであろう収入や利益が減少した場合の損失分。

慰謝料

慰謝料とは、交通事故にあったことによって被害者が負った精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。

被害者が請求できる慰謝料は、以下の3つ。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

それぞれの内容を説明していきます。
入通院慰謝料

交通事故の怪我で被害者が入通院をする際に負った精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。

被害者の入院期間や通院日数などによって、請求できる金額は変わってきます。

▶︎参考:入通院慰謝料の計算方法について詳しく知りたい方はこちら

後遺障害慰謝料
交通事故の怪我が後遺障害になってしまったことで被害者が負った精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。

後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料の支払いを受けることができます。1級が最も高い金額となり、14級が最も低い金額となります。

▶︎参考:後遺障害等級認定の申請方法について、詳しくはこちら

自賠責保険を基準とした後遺障害慰謝料の金額は、以下の表を参考にしてください。

死亡慰謝料
死亡慰謝料は、交通事故によって被害者が命を落としてしまった場合に、被害者本人と被害者の家族に対して支払われる慰謝料です。

死亡慰謝料の金額について詳しくは、以下のリンクをご覧ください。

▶︎参考:交通事故の死亡慰謝料について、詳しく知りたい方はこちら

損害賠償が支払われるのは示談成立後

交通事故の被害者に損害賠償が支払われるのは、加害者側の保険会社と示談が成立した後です。示談は、交通事故当事者が被害者に支払われる損害賠償について話し合い、お互いが和解・納得した上で成立となります。

示談を開始するタイミングは?

交通事故における示談を開始するタイミングは、以下の2つ。

  • 交通事故による怪我が「完治」したとき
  • 「後遺障害等級認定」の審査結果が分かったとき

完治または後遺障害等級が認定されていないタイミングで示談交渉を開始してしまうと、被害者が適切な損害賠償を受け取れなくなる可能性があります。医師が「完治」と判断するまでしっかりと通院を続け、「症状固定」と判断された場合は後遺障害等級認定の申請を行いましょう。

過失割合が100対0の示談交渉

事故当事者双方に過失が認められている場合は、お互いの保険会社が示談交渉に介入してくれます。しかし、過失割合が100対0の場合、過失が認められなかった方の保険会社は、示談交渉の対応を行ってくれません。

なぜなら、過失が認められない方は損害賠償を支払う責任がないため、保険会社が介入すべき根拠がないためです。100対0の交通事故で、過失が無い方の保険会社が示談交渉に介入した場合、弁護士法第72条に違反することとなります。

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

弁護士法 – e-Gov法令検索

過失割合100対0の示談で被害者の損を防ぐには

過失割合が100対0の場合、過失が認められなかった方は、相手側の保険会社と直接示談交渉を行わなければいけません。交通事故における示談交渉のプロといえる保険会社とやり取りをするのは、被害者にとって大きな不安になるのではないでしょうか。

ここでは、過失割合100対0の交通事故で、被害者が損をしない方法をご紹介します。

弁護士に示談交渉を依頼する

交通事故の示談交渉が不安な場合は、交通事故に詳しい弁護士へ対応を依頼するとよいでしょう。示談交渉を弁護士に依頼すると、被害者に代わって加害者側の保険会社とやり取りを行ってくれます。

また、示談交渉を弁護士に依頼することで、被害者に支払われる示談金の増額も期待することができます。

▶︎参考:慰謝料の計算を「弁護士基準」で計算すると示談金を増額できる!

弁護士特約の確認を忘れずに!

示談交渉を弁護士に依頼すると、被害者は大きなメリットを得ることができます。しかし、交通事故の対応を弁護士に依頼することで、弁護士費用が発生してしまいます。

弁護士費用が高額になってしまった場合、思うように示談金の増額ができなかったり、費用倒れになってしまう可能性もあります。弁護士費用は、弁護士特約に加入していることで補うことができるので、今一度自分の保険内容を確認しておきましょう。

交通事故で被害者の損を防ぐには

交通事故が発生した場合、保険会社によって過失割合が決められ、被害者は加害者に対して損害賠償を請求することができます。損害賠償の金額は示談交渉によって決められますが、過失が認められていない方の保険会社は、やり取りに介入することができません。相手側の保険会社と直接やり取りを行うのが不安な場合は、弁護士に対応を依頼するとよいでしょう。