交通事故の治療費打ち切り!症状固定のタイミングや対処法を解説

2019年02月28日

交通事故による怪我は痛みが長引きやすいものも多く、被害者の皆様にとって生活の中で負担になっていると思います。
通院期間がある程度長くなると、通院中にも関わらず加害者側の保険会社から「治療費を打ち切る」といわれてしまうことがあります。
この記事では、なぜ通院中に治療費の打ち切りを迫られてしまうのか解説していきます。

交通事故後の治療費の打ち切りについて

交通事故の怪我で通院をしている時、突然相手側の保険会社から「治療費を打ち切る」といわれても、困ってしまいますよね。そもそも、なぜ治療費の打ち切りを保険会社に提案されるのでしょうか?

なぜ治療費が打ち切られる?

まず、交通事故の被害にあって怪我をしてしまった場合、被害者の治療費は加害者に請求できる損害賠償として扱われます。通院中は一時的に被害者が治療費を立て替え、最終的に損害賠償として他の賠償金と一緒に保険会社へ請求するケースがほとんどです。
当然ですが、通院回数が多ければ保険会社が負担する治療費もどんどん高くなっていきますよね。すると保険会社は、負担する治療費が不必要に高くなることを防ぎたいと考えるでしょう。その結果、通院期間が長くなってきた人に対して「これだけ治療を続けていても症状が残っているなら、これ以上の通院は意味がないのではないか」と考え、治療費の打ち切りを提案する場合があるのです。

また、以下のような通院の仕方や保険会社との接し方をしてしまうと保険会社から良い印象を得られません。

  • 通院頻度が低い…怪我が軽度だと考えられてしまいます。
  • 治療内容が薄い…治療する気がないと捉えられてしまいます。
  • 保険会社に対して感情的になる…保険会社からの信用が失われてしまいます。

加害者の負担額は事故の状況による

被害者の治療費を加害者が負担する場合、全額負担されるとは限らないのです。交通事故の過失割合によっては、自己負担が発生することもあります。
例えば過失割合が「被害者2:加害者8」で、治療費が「50万円」だったとき、被害者は「50万円のうちの2割である10万円」は自己負担しなければいけません。
このような、過失割合による損害賠償の差し引きを過失相殺といいます。

治療費が打ち切られるタイミングは?

治療費の打ち切りになるタイミングで、通院も終了になるケースがほとんどです。特に問題なく治療を続けていた場合に通院終了となるタイミングとしては、

  • ①完治
  • ②症状固定

の2パターンが考えられます。
完治は、怪我が完全に治り症状がない状態ですので、医師や保険会社ともめることなく示談交渉に進むことができます。しかし、(症状固定の場合はどうなるのか追加)そもそも、症状固定とはどのような状態のことをいうのでしょうか。

症状固定とは

症状固定とは、これ以上治療を続けても、症状の改善が見込めない状態のことです。症状固定になると、治療費が打ち切られることになります。
症状固定になった時点で残っている症状が、後遺障害等級に値した場合、後遺障害慰謝料逸失利益を賠償請求できます。

治療費打ち切りの対処法

保険会社に治療費の打ち切りを提案された時にまだ症状が残っている場合、通院を続けたいと思う方がほとんどではないでしょうか。
ここでは治療費打ち切りの対処法を、2つご紹介します。

医師と保険会社に相談する

一つ目は、症状固定をせずに通院を続けるケースです。
保険会社から治療の打ち切りを提案された場合でも、症状固定の判断ができるのは医師のみです。
たとえばむちうちの場合、外見からは被害の程度がわかりづらいため、医師でも症状の程度を判断するのは難しいです。納得できるタイミングで症状固定の判断をしてもらうためにも、被害を受けた本人が自覚症状をできるだけ細かく医師に伝えることが大切です。
打ち切りを提案されたら医師にもそのことを伝え、まだ症状があり通院を続けたい旨を相談してみましょう。症状の改善の見込みがある場合は、症状固定の判断がされない可能性が高いです。
医師から継続通院の必要があると判断されれば、保険会社に治療費打ち切りの延期をお願いしやすいと思います。治療費の打ち切りや症状固定は、被害者本人の意見も大切になってきますので、医師と保険会社にはしっかりとご自身の意見を伝えるようにしましょう。

自費で通院を続ける

二つ目は、症状固定後も通院を続けるケースになります。
症状固定後は、治療費の請求ができなくなる場合がほとんどです。「症状固定=これ以上治療の必要がない」と判断されてしまうためです。
症状固定のあとも通院を続けた場合の治療費は、自己負担になります。その際は健康保険を使用して治療を受けられることもあります。病院で、交通事故による怪我の診療ということを伝えて「第三者行為による傷病届」を提出しましょう。

症状固定後も治療費を請求できるケースも

症状固定後も治療が必要だと認められた場合は、治療費の請求ができます。症状の改善は見込めないが、症状が今以上に悪化しないための治療が有効だと認められた場合などです。
治療が必要になるケースの例は以下になります。

  • 足を切断して症状固定になったが、義足を作るために入院が必要になった。
  • 症状固定後もリハビリを続けないと症状が悪化してしまう。

打ち切り後の流れ

医師に症状固定の判断をされ、保険会社からの治療費打ち切りも決定した場合、その後はどのような手続きがあるのでしょうか。
被害者と加害者の双方が納得して示談成立するために、ここでは打ち切り後の流れを解説していきます。

後遺障害等級認定を受ける

症状固定になった時点で残っている症状を、後遺障害として申請して等級を認定してもらいましょう。
後遺障害等級認定を受けることで、後遺障害慰謝料逸失利益を新たに請求できるようになります。
等級は、自賠責損害調査事務所が症状の程度を審査して、1~14級の中で認定します。

示談交渉から示談成立へ

後遺障害等級認定の手続きが終了後、交通事故に関するやりとりの最終段階となるのが示談交渉です。
加害者側の保険会社から示談金として損害賠償の金額が提示されます。その際に損害賠償の項目を確認するようにしましょう。本来あるべき項目が抜けている場合や、金額が妥当でない場合があります。
示談金は、一度了承してしまうと変更できないケースがほとんどですので、示談金の確認は慎重に行いましょう。
金額に疑問がある場合は加害者側との交渉が可能ですし、この際に弁護士に相談することで交渉しやすくなることがあります。
被害者と加害者の双方が納得した上で、示談書に署名捺印をすると、示談金が支払われて示談成立となります。

まとめ

いかがでしたか?
保険会社から治療費の打ち切りを提案されても、まだ症状がある場合は医師と相談して治療の継続が必要か判断してもらいましょう。症状固定後も通院することは可能ですが、自己負担での通院になることがほとんどですので、症状固定は慎重な判断が必要です。
示談交渉の中で、金額や交渉の仕方などご自身だけでは判断が難しい問題に直面することもあるかもしれません。そんなときは弁護士に相談してみるのもよいでしょう。
皆様が交通事故による被害に対する補償に満足して、今後の生活を送れることを願っています。