事故後むちうち症になったら?頚椎捻挫の症状と慰謝料の手続き

2019年02月04日

交通事故の代表的な怪我「むちうち」です。

むちうちは、筋肉や筋といったレントゲンやCTに映りにくい部分の損傷のため、痛みやつらい症状をなかなか理解してもらえないもの。

そこで今回は、事故後どのように対応すればいいのか、納得のいく慰謝料を受け取る方法などについて解説します。

むちうちは事故後すぐにあらわれない?

交通事故の代表的な怪我といわれているむちうちは、事故直後に痛みを感じずに、しばらく経ってから症状が現れるケースがあります。

というのも、交通事故の直後は、警察や保険会社への連絡や煩雑な手続きが多く、精神が興奮状態にあるためです。事故直後は痛みに気がつかず、普段の生活に戻り安心すると、途端に首や頭、腰が痛みだすというのです。

むちうちの主な症状とは?

むちうちは、追突事故などの衝撃で頚椎(首の骨)が前後左右に大きく振られることによって、首周辺の組織が損傷し痛みが発症します。代表的な症状は「疼痛(とうつう)」という首の痛みです。そのほかにも、頭痛や吐き気、めまいや手足のしびれ、腰痛で悩む人も多いようです。

以下のように感じている場合、むちうちを疑った方がよいでしょう。

東中野オルガン整骨院/山田先生の答え
「交通事故によって、手のしびれや頭痛、首の動きがが以前よりも狭まっていると感じたら、それは、むちうちの可能性を疑っていいと思います。
むちうちは、交通事故の強い衝撃で後ろから追突された時に、急に首が後ろに沿ってしまうことで、筋肉や神経、関節が傷ついて起こる損傷のことをいいます。辛さはその損傷度合いで変わっていきますし、後遺症になることもあります。とにかく上記のような症状が少しでも現れたのであれば、一度は医療機関に診断してもらい、記録を取っておくことが大切です。」

むちうち対処法はある?交通事故による頚椎捻挫の主な症状と施術方法

▶︎参考:交通事故によるむちうちの症状について、詳しく知りたい方はこちら!

むちうちは証明されにくい

むちうちで損傷しているのは、骨などの固い組織ではなく、その周辺にある筋肉や椎間板などの柔らかい組織です。筋肉や椎間板などは、レントゲンやCTといった検査で、異常が見られない場合があります。そのため、事故との因果関係を証明するのが難しく、「嘘なのではないか」と疑いをかけられることがあります。

しかし、疑われたくないからといって、痛みを我慢していると、後遺症になる恐れもあります。自分の体を大切にして、怪我を治すことに専念してくださいね。

交通事故によるむちうちの通院先は?

交通事故によるむちうちの通院先は、3つ。

  • 整形外科
  • 整骨院
  • 鍼灸院

それぞれの治療・施術内容を詳しく見ていきましょう。

整形外科

整形外科では、医師が治療を行います。

主な治療内容としては、レントゲンやCTなどで骨の異常を検査し、必要な場合は手術を行います。主に切り傷やすり傷など、外傷の治療を得意としており、治療をしても痛みが引かない場合は痛み止めや湿布などの「投薬治療」をすることもできます。

また、整形外科では「診断書」の作成も行っています。診断書は、交通事故と怪我との因果関係を明確にするための書類です。

人身事故へ切り替える際や、保険金請求の際にも必要となる大切な書面のため、納得のいく診断書を取得するようにしましょう。

整骨院

整骨院では、柔道整復師が施術を行います。柔道整復師は国家資格のひとつで、主に手技を用いて施術を行う専門家です。

柔道整復師が行う主な施術内容は、以下の3つ。

  • 整復法
    関節が外れてしまった箇所や骨折した部位を元に戻すために操作する技術。
  • 固定法
    骨折や脱臼してしまった箇所や周辺をギプスや包帯などで固定する施術方法。
  • 後療法
    損傷した組織を回復させるための施術方法。電気や超音波などの物理エネルギーを用いた「物理療法」、体を動かすことによって自然治癒力を高める「運動療法」、体に直接触れて施術を行う「手技療法」の3つに分かれています。

鍼灸院

鍼による施術は、筋肉の一点を捉え、炎症や痛みの緩和をする効果があります。
鍼での施術は、はり師のみが行えるものです。鍼での施術を受けたい場合は、柔道整復師とはり師、両方が在籍している鍼灸整骨院または、鍼灸院へ通院するとよいでしょう。

むちうちの治療期間は?

「むちうちの治療は時間がかかってしまうのだろうか。」と不安になる方がいるかもしれません。ここでは、むちうちの治療期間や打ち切りについて説明します。

むちうちはどれくらいで治る?

むちうちの治療期間は、一般的に3ヶ月といわれています。しかし、事故の状況や、被害者の怪我の状態によって、2週間で治療が終わる場合もあれば、1年以上かかることもあります。したがって、むちうちは「いつからいつまで通院すれば治る」といった具体的なものはないので、3ヶ月という治療期間は、あくまで目安として覚えておくようにしましょう。

交通事故でむちうちになると慰謝料はもらえる?

交通事故で被害者になってしまった場合、加害者側に慰謝料を請求することができます。また、慰謝料だけでなく、治療費や通院交通費、手術費なども加害者側に請求できるのです。これらの費用をまとめて、損害賠償といいます。損害賠償とは、交通事故において被害者に発生した損害を加害者が賠償することです。

慰謝料とは?

慰謝料とは、交通事故によって怪我をした場合に、怪我を治すために通院しなければいけない、会社を休まなければならない、その怪我によって痛みを感じている、その怪我によって障害が残ってしまったなど、被害者の精神的苦痛を金銭で評価し支払うものです。

自賠責保険の入通院慰謝料の計算方法とは?

自賠責保険とは、車を購入した際に必ず入らなければいけない強制保険のことをいいます。自賠責保険の場合の入通院慰謝料1日4200円、治療費を含む自賠責保険の限度額は120万円と決められています。その限度額を過ぎると任意保険から補填され、もし加害者が任意保険に入っていなければ加害者へ直接請求をすることになります。

加害者の自賠責保険を使った場合、以下のような方法で入通院慰謝料の計算ができます。

    (「通院日数×2」または「通院期間の実日数」)×4200円=入通院慰謝料の金額

※「通院日数×2」または「通院期間の実日数」のどちらを使うのかは、この2つの計算結果を比べ、数字の少ない方を使います。

交通事故の被害者が直面する問題

nayamuotoko

交通事故にあった場合、保険会社とのやりとりや治療、手続きなど経験したことのないことで戸惑うことが多いと思います。そのため、交通事故の被害者が直面する問題というものがあります。

特に交通事故の被害者が直面する問題で多いのは、以下の2つです。

  • ①保険会社が行う治療費打ち切り
  • ②通院先の治療・施術でむちうちが緩和しない場合

①保険会社が行う治療費打ち切りとは

治療費の打ち切りとは、加害者側の保険会社が負担すべき治療費の支払いをやめてしまうことです。治療費を打ち切られた被害者は、その後の治療費を自費で支払うことになります。

この治療費の打ち切り時期としては、治療開始日から3ヶ月を目安に保険会社が打診してきます。何故、3ヶ月かというと、交通事故のむちうちの場合、3ヶ月の治療期間が一般的だからです。その治療期間を目安に、症状が良くなっただろうと判断し、治療費の打ち切りを打診してくるのです。

治療費打ち切られないようにするには、以下のような方法をとるようにしましょう。

  • 保険会社と交渉する。
  • 通院先の担当医に相談する。
  • 弁護士に相談する。

通院先の治療・施術でむちうちが緩和しない場合

通院を続けていて、痛み止めや湿布の処方しかされていない場合、「このままで症状が良くなるのだろうか」と不安になることもあると思います。こういった場合、他の医療機関と併用して通院することや、現在の通院先とは別のところへ転院することもできます。

転院の手続きについて

転院を行う場合、以下のような流れで転院手続きを行います。

    転院手続きの流れ

  • ① 通院したい転院先(あるいは併用して通いたい通院先)を選ぶ
  • ② 交通事故の治療である旨を伝える
  • ③ 保険会社に連絡をする
  • ④ 通院を開始する

このような手続きを行えば、転院は可能です。しかし、コロコロと通院先が変わっていては、保険会社も対応に追われて、煙たがられてしまう可能性があります。もし転院するのであれば、慎重に転院先を選ぶことをおすすめします。

交通事故で後遺障害が残ってしまうことも…

交通事故による怪我は、治療を続けても症状の緩和が見られず、後遺障害が残ることがあります。後遺障害が残ってしまった場合、加害者側の保険会社から受けていた治療費や入通院慰謝料の支払いは終わってしまいます。

もし交通事故による怪我が後遺障害になってしまった場合、後遺障害等級認定を申請しましょう。

後遺障害等級認定とは

後遺障害等級認定とは、交通事故で残ってしまった後遺障害が、どの等級に値するかを認定するためのものです。後遺障害等級認定で認定される等級は、1~14級まであります。

交通事故によるむちうちの場合、認められる等級は12〜14級が一般的です。

後遺障害等級認定のメリット

後遺障害等級認定の申請をすることで、被害者が得られるメリットは、後遺障害慰謝料逸失利益を受け取ることができるからです。

先程述べたように、後遺障害になってしまった場合、加害者側の保険会社から支払われていた治療費の支払いが終わってしまいます。しかし、後遺障害等級認定を申請し、等級が認定されることで、治療費とは別の後遺障害慰謝料や逸失利益が被害者に支払われるのです。

したがって、被害者が後遺障害等級認定を申請するメリットはあるといえます。

交通事故後に行う後遺障害等級認定の手続き

交通事故後に後遺障害が残ってしまった場合、以下のような手続きを行い、後遺障害等級認定を申請しましょう。

  • ①症状固定
  • ②「後遺障害診断書」を発行してもらう
  • ③加害車両加入の「任意保険会社」で事前認定の手続きをしてもらう
  • ④損害保険料率算出機構(※1)の自賠責損害調査事務所において審査をする
  • ⑤後遺障害等級認定
  • ⑥示談交渉開始

(※1)…④損害保険料率算出機構では、MRIなどの画像や、これまでの通院の家庭、各種検査結果を踏まえて判断します。

示談交渉がわからない場合、誰に相談する?

示談交渉は、被害者と加害車両加入の保険会社担当者が行うのが一般的です。初めての事故の場合、どうしていいかわからないことも多く、示談が済んでから損していたと気づく、ということも少なくありません。

そんな時は、通院先の担当医や、もしご自身の保険が弁護士特約に入っているのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。

▶︎参考:弁護士特約について詳しく知りたい方はこちら

交通事故後むちうちと診断された時のまとめ

いかがでしたか。

交通事故のむちうちは、後遺症が残る場合こともあります。そのため、我慢をせずに病院を受診し、通院を継続するようにしましょう。

通院先は、整形外科や整骨院、鍼灸院と様々な選択肢があります。もし通院先で迷ったら、交通事故病院の相談窓口にご連絡ください。