むちうちで通院した場合、慰謝料を請求できる?金額は頻度で変わる!

2019年02月04日

交通事故で負う怪我のうち、最も多いといわれる「むちうち」。むちうちの怪我を負った場合、「通院先はどこ?」「通院期間と頻度は?」「慰謝料は受け取れる?」などのお悩みを抱えている方もいると思います。

そこで今回は、交通事故によるむちうちの通院に対する知識をご紹介していきます。

むちうちとは

むちうちは、交通事故の衝撃で首が鞭のようにしなり、首周辺の筋肉や靭帯などの軟部組織が損傷している状態です。軟部組織の損傷により、様々な部位に症状があらわれるため、以下のように4つの症状型に分類することができます。

  • 頚椎捻挫型
  • バレー・ルー症状型
  • 神経根症状型
  • 脊髄症状型

頚椎捻挫型

頚椎捻挫型は、むちうちの中でも軽症な部類といわれ、70~80%の方がこの症状型に該当するといわれています。頚椎捻挫型の場合、首周辺の筋肉や靭帯などの損傷や椎間関節の捻挫がみられ、疼痛(とうつう)、圧迫で生じる痛み、可動域制限といった症状があらわれます。

バレー・ルー症状型

バレー・ルー症状型とは、交通事故の衝撃で首周辺にある交感神経が過度に緊張し、椎骨動脈が痙攣(けいれん)を起こしたように収縮している状態です。そのため、頭部への血流が低下し、後頭部の痛みやめまい、耳鳴り、吐き気などの症状があらわれます。

神経根症状型

神経根症状型は、椎骨から出ている神経が椎骨孔の内外で圧迫されている状態です。主に、頭部から上肢にかけてのしびれや痛みといった症状があらわれ、咳、くしゃみ、首を動かしたときに痛みを強く感じる傾向があります。

脊髄症状型

脊髄症状型とは、交通事故の衝撃による損傷が脊髄まで達している状態です。そのため、体の麻痺や知覚障害、歩行障害などの重い症状があらわれ、後遺症が残ってしまう可能性もあります。

むちうちの通院先は3つ

むちうちは、症状をそのまま放置してしまうと悪化したり、後遺症が残る可能性があります。そのため、しっかりと治療を受けて、症状を緩和させることが大切です。

むちうちの症状を緩和させるためには、以下のような通院先で治療・施術を行いましょう。

  • 整形外科
  • 整骨院
  • 鍼灸院

整形外科

整形外科は、医師が診察を行うため、投薬や検査などが受けられます。むちうちに対する投薬治療は、痛みや炎症を抑えるために、痛み止めや湿布などを処方します。一方、検査ではレントゲンやMRIなどを使い、むちうち損傷の有無を確認するために行われます。

整骨院

整骨院は、柔道整復師による施術が受けられます。柔道整復師は、主に打撲や捻挫、骨折、挫傷、脱臼といった外傷に対する施術を行っています。ただし、柔道整復師は投薬や手術を行えないため、以下のように手で体に刺激を与える方法を使って施術を行います。

  • 整復法
    本来あるべき位置に戻すための施術で、骨折したり、関節が外れた際に行われます。
  • 固定法
    三角巾や包帯、コルセットなど使い、痛みのある部分を固定して安静を保つための施術で、骨折や脱臼、むちうちなどに対して行われます。
  • 療法
    電気や熱、身体を動かしたり、手を使って体に刺激を与える施術で、損傷した組織を回復させる効果が期待できます。

鍼灸院

鍼灸院では、はりと灸を使って体に刺激を与える施術を行っています。はりと灸で体のツボを刺激することで、以下のような疾患に効果が期待できます。

  • むちうち
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 麻痺
  • めまい
  • 神経痛    など

むちうちの通院頻度と期間

整形外科や整骨院、鍼灸院でむちうちの治療・施術を行う場合、だいたい3ヶ月で症状が緩和されるという目安の通院期間があります。また、通院の頻度は、症状の程度によって以下のような通院頻度の目安があります。

  • 生活に大きな支障を感じない場合:週に1~3回の通院
  • 作業に集中できない程に痛みを感じる場合:週3回以上の通院
  • 日常生活が困難なほど症状が酷い場合:できるだけ毎日通院する

ただし、むちうちの症状の程度や治療・施術効果に個人差があります。したがって、治療・施術を受ける頻度や期間などは、一人ひとり異なるということを覚えておいてください。

むちうちで通院をしたら慰謝料が請求できる

交通事故の被害者が、むちうちの怪我を負って通院をした場合、加害者に慰謝料を請求することができます。むちうちの慰謝料は、以下の2つを知っていれば、計算することが可能です。

  • 慰謝料の計算基準
  • 慰謝料の計算式

慰謝料の計算基準

慰謝料を計算するには、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準といった3つの計算基準が必要になります。

自賠責基準
自賠責基準とは、自賠責保険を使う場合の計算基準です。自賠責保険は、交通事故の被害者を救済するために最低限の保障を行います。そのため、自賠責基準を使って慰謝料を計算した場合、最も低い金額になります。

任意保険基準
任意保険基準とは、任意保険会社が慰謝料を計算する際に使う計算基準です。ただし、各任意保険会社によって、独自の計算基準を定めています。したがって、各保険会社によって慰謝料の金額にバラつきがあります。

弁護士基準
弁護士基準とは、弁護士に慰謝料の計算を依頼した際に使われる計算基準です。弁護士基準の場合、過去に起こった交通事故の事例を参考に、計算基準を定めています。また、弁護士基準を使って慰謝料を計算した場合、最も高い金額になります。

慰謝料の計算式

今回ご紹介する慰謝料の計算式は、以下のように明確な計算式がある自賠責基準のものです。

    (1日あたりの慰謝料額)4200円 × 「通院期間または実通院日数」

  • 通院期間:通院した日数
  • 実通院日数:実際に通院した日数 × 2

通院期間と実通院日数のどちらを使うかというのは、計算結果の数字が少ない方を使うことになります。

むちうちの慰謝料は通院日数に影響される

むちうちの慰謝料の計算には、通院日数が使われます。したがって、通院した日数によって慰謝料の金額が変動します。実際に、以下のように通院日数を設定し、計算してみましょう。

  • ①通院期間を3ヶ月、通院日数を24日
  • ②通院期間を3ヶ月、通院日数を48日

①通院期間を3ヶ月、通院日数を24日

この場合、通院期間と実通院日数は、以下のようになります。

通院期間:90
実通院日数:24 × 2 = 48

計算結果から90 > 48となるため、計算式に当てはめるのは、実通院日数の数値ということになります。

4200 × 48 = 201,600円(慰謝料の総額)

②通院期間を3ヶ月、通院日数を48日

この場合、通院期間と実通院日数は、以下のようになります。

通院期間:90
実通院日数:48 × 2= 96

計算結果から90 < 96となるため、計算式に当てはめるのは、実通院日数の数値ということになります。

4200 × 90 = 378,000円(慰謝料の総額)

①と②の結果を比較すると、201,600円 < 378,000円となるため、通院頻度の高い方が慰謝料を多く受け取れるということになります。

むちうちの通院に関する知識のまとめ

いかがでしたか。交通事故でむちうちの怪我を負った場合は、整形外科や整骨院、鍼灸院に通院するようにしましょう。

交通事故の被害者は、怪我の治療のために通院をすると、加害者に慰謝料を請求することができます。慰謝料の金額は、通院日数によって変動するため、なるべく多く通院するよう心がけましょう。