むちうちの怪我を負ったらどんな対処を行うべき?後遺症には要注意!

2019年02月05日

交通事故にあった場合、むちうちの怪我を負ってしまうかもしれません。しかし、むちうちの症状を放置してしまうと悪化したり、後遺症が残ることもあるため、何かしらの対処を行う必要があります。

そこで今回は、むちうちの怪我を負った場合の対処について解説していきます。

むちうちとは

むちうちは、自動車の追突や衝突、急停車などで首が鞭のようにしなることが、発症する大きな原因となっています。また、むちうちを負ってしまうと、多種多様な症状があらわれるため、以下のように4つの症状型に分類することができます。

  • 頚椎捻挫型
  • バレー・ルー症状型
  • 神経根症状型
  • 脊髄症状型

頚椎捻挫型

頚椎捻挫型は、交通事故の衝撃で、首周辺の筋肉や靭帯などの軟部組織が損傷している状態です。また、むちうちと診断された人の70~80%がこの症状型に該当し、4つの症状型のうち比較的軽い症状だといわれています。

頚椎捻挫型であらわれる症状は、首周辺の筋肉の緊張や痛み、肩こり、首が動かしづらいなどです。

バレー・ルー症状型

バレー・ルー症状型は、交通事故の衝突によって首が損傷を受け、首にある交感神経が過度に緊張している状態です。交感神経が過度に緊張してしまうと、自律神経に機能障害が生じてしまいます。

バレー・ルー症状型であらわれる症状は、めまいや頭痛、吐き気、耳鳴り、倦怠感などです。

神経根症状型

神経根症状型は、神経根と呼ばれる脊髄の運動神経や知覚神経が集まっている部分が、圧迫している状態です。

神経根症状型であらわれる症状は、知覚障害、しびれ、筋力の低下、反射異常などです。

脊髄症状型

脊髄症状型は、首を支えている脊柱管の中を通る脊髄が損傷した状態です。また、4つの症状型の中でも、比較的重い症状があらわれるといわれています。

脊髄症状型であらわれる症状は、手足のしびれ、歩行障害、排尿・排便の障害などです。

むちうちの症状はすぐにあらわれない?

上記で紹介した症状は、事故直後にあらわれるとは限りません。事故後の体は、興奮状態にあり、アドレナリンβエンドルフィンが分泌されます。アドレナリンやβエンドルフィンは、痛覚を鈍くさせる働きがあるため、事故直後はむちうちの痛みに気づかないことが多いのです。

したがって、事故発生から数日後の体の興奮が治まった時期に、むちうちの症状があらわれるということもあるため注意しましましょう。

むちうちの対処法

むちうちは、症状を放置したままでは緩和がみられないため、何らかの対処を取る必要があります。むちうちの場合は、急性期・慢性期という2つの時期で行うべき対処が異なります。

急性期

急性期とは、むちうちの受傷直後~1ヶ月にあたり、痛みが強くあらわれている時期のことです。

急性期の場合、痛みが強くあらわれているため、まずは安静にすることが大事です。安静を保つためには、コルセットやネックカラーで固定するとよいでしょう。コルセットやネックカラーで固定することで首の動きを制限できるため、首にかかる負担が軽減され、安静に保つことができます。

そのほかの治療としては、冷たい湿布を貼ることもおすすめです。痛みを感じる部位に冷たい湿布を貼ることで、むちうちによる炎症を抑えることもできます。

慢性期

慢性期とは、むちうちを受傷してから3ヶ月以降にあたり、痛みが落ち着いてきた時期のことです。

慢性期の場合、むちうちによる痛みが落ち着いているため、マッサージや電気療法、温熱、牽引、鍼灸といった手技療法物理療法を行うのに適しています。手技療法や物理療法を行うことにより、硬くなってしまった筋肉の強化、首の可動域を広げる、血行促進などの効果が期待できます。

また、慢性期で使用する湿布は急性期と異なり、温かいものを使用します。痛みのある部位に温かい湿布を貼ることで、血行が促進されるため、痛みの緩和につながります。

むちうちの通院先は3つ

先程ご紹介した、急性期と慢性期で行われるむちうちの治療・施術は、整形外科・整骨院・鍼灸院の3つで受けられます。

整形外科
整形外科は、医師免許を持つ医師が治療を行います。そのため、痛み止めや湿布の処方、MRIやレントゲンなどの検査、手術などの治療が受けられます。

整骨院
整骨院は、国家資格を取得している柔道整復師が施術を行います。そのため、柔道整復師が行う施術は医療類似行為と呼ばれ、整形外科で行われているような治療は受けられません。

整骨院で受けられる施術は、出血を伴わず、手や器具を使って行われます。具体的には、以下のような施術が受けられます。

  • マッサージ:筋肉の緊張を和らげ、痛みを緩和させる
  • 電気療法:体内に電流を流し、痛みの緩和や筋力の増強、自然治癒力を向上させる
  • 牽引:手や器具で首を引っ張ることにより、椎間孔が広がるため、痛みが緩和される
  • 温熱療法:首や肩の筋肉を温めることで血行を促し、痛みの原因物質を放散させる

鍼灸院
鍼灸院は、はり師と灸師の国家資格を持つ方が施術を行います。はりと灸を使って体にあるツボを刺激し、全身のバランスを整えることで、症状の緩和につなが

むちうちで後遺症が残ったときの対処法

むちうちによる症状を放置してしまったり、治療を受けていても、後遺症が残ることもあります。もしむちうちがで後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を申請しましょう。

後遺障害等級認定を申請するメリット

後遺障害等級認定とは、交通事故によって残った後遺症が、後遺障害の等級に該当するかを審査・認定するものです。後遺障害等級認定を申請するメリットは、後遺障害慰謝料逸失利益を受け取れるという点です。

そもそも交通事故の被害者は、損害賠償として治療費や慰謝料を加害者に請求することができます。ただし、これらの損害賠償は傷害に対して支払われるもので、後遺症に対するお金は含まれていません。

したがって、交通事故で負った怪我が、後遺症になってしまった場合は、後遺障害等級認定を申請することをおすすめします。ただし、後遺障害慰謝料や逸失利益は、後遺障害等級認定で等級が認定されなければ、受け取ることができないので注意してください。

後遺障害等級認定の手続き

後遺障害等級認定を受けるには、手続きを行う必要があり、方法は以下の2通りから選択することができます。

  • 事前認定
  • 被害者請求

事前認定

事前認定は、加害者側の保険会社が後遺障害等級認定の申請手続きを行ってくれます。そのため、被害者は後遺障害等級認定の手続きに対する手間を省くことができます。ただし、被害者は後遺障害診断書のみ、加害者側の保険会社に提出しなければなりません。

被害者請求

被害者請求は、被害者自身が後遺障害等級認定の申請手続きを行わなければなりません。そのため、被害者は後遺障害等級認定に必要な書類を取得・作成することになります。

被害者請求で後遺障害等級認定を行うと、手続きの手間がかかってしまいます。しかし、被害者自身で手続きを行うことにより、書類の内容を把握することができるため、納得のいく等級が認定される可能性が高くなります。

むちうちの対処についてのまとめ

いかがでしたか。むちうちの症状を緩和させるためには、以下のように急性期慢性期で行う対処を変える必要があります。

  • 急性期:コルセットやネックカラーを使って安静を保つ、冷たい湿布を使って炎症を抑える
  • 慢性期:手技療法や物理療法を行う、温かい湿布を使って痛みを緩和させる

上記のような治療・施術は、整形外科や整骨院、鍼灸院で受けられます。むちうちの怪我を負った場合は、症状にあった治療・施術が受けられる通院先へ通うことをおすすめします。

また、むちうちは後遺症が残ってしまうこともあります。その場合は、今回の記事を参考に、後遺障害等級認定を申請してくださいね。