交通事故で足を切断することに…。加害者から支払われる損害賠償とは

2019年02月01日

交通事故の被害に巻き込まれ、「足を切断することはない」とは言い切れません。もしも交通事故によって足を切断することになった場合、損害賠償についてや必要な手続きなど、不明点が出てくると思います。この記事を読んで、不明点を減らして行きましょう。

交通事故で足を切断する場合もある


交通事故時に車体に足を挟まれたり、足が中央分離帯と接触した場合、足を切断することになる可能性があります。

足が切断されているということは、後遺症が残っている状態です。交通事故で後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を申請します。後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められた場合、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。後遺障害慰謝料や逸失利益は、認定された後遺障害の等級によって金額が異なります。

交通事故で足を切断した場合の応急処置

交通事故によって、直接足が切断された場合はどのような応急処置を行うべきなのでしょうか。

1) 断端からの出血に対して圧迫止血を行う。
2) 切断された部分をビニール袋でくるみ、氷水につける。
(直接氷水に浸けてはいけない!ふやけてしまう)
3) できるだけ早急に119番通報し、三次救急医療機関に搬送する。
(受傷後数時間以内での手術が必要)

応急処置の後、切断指(肢)

このような応急処置をとることができれば、場合によっては足を再接着できる可能性が高まります。しかし、切断面が砕けていたり、つぶれてしまっている場合は、血管や神経などの損傷が激しいため縫合手術が難しいようです。

足の切断で認められる後遺障害の等級

交通事故で足を切断してしまい、再接着できなかった場合、後遺症が残ったということになります。交通事故で足を切断したときに、認められる後遺障害の等級は、以下の通り。

後遺障害の等級 状態
1級5号 両足を膝と股関節の間で切断した場合
2級4号 両足を膝と足関節の間で切断した場合
4級5号 左右どちらかの足を、膝と股関節の間で切断した場合
4級7号 両足の足関節を残し、足の甲の出っ張っている辺りで切断した場合
5級5号 左右どちらかの足を膝と足関節の間で切断した場合
7級8号 左右どちらかの足関節を残し、足の甲の出っ張っている辺りで切断した場合

▶︎参考:等級ごとの後遺障害慰謝料の相場について詳しく知りたい方はこちら

足切断の後遺症に対するリハビリ

足を切断してしまった場合には、義足によるリハビリを行うことになります。足を切断してしまうと、歩くことが困難になります。そのため、義足を使って歩く「歩行訓練」を行うそうです。

歩行訓練の前に、義足を作ってもらい、義足の装着訓練が行われます。その後、義足で歩行訓練に進み、正しく歩く技術をつけていきます。

足を切断した場合に賠償されるもの


足を切断した場合に賠償されるものは、損害賠償と呼ばれます。損害賠償とは、交通事故で損害を受けた被害者に対して、加害者が損害の埋め合わせを金銭で行うことです。

交通事故の損害賠償は、大きく分けて3つのものがあります。

  • 積極損害
  • 消極損害
  • 慰謝料

積極損害

積極損害とは、交通事故が原因で出費を余儀なくされた場合の損害のことをいいます。

積極障害として請求できる費用には、以下のようなものがあります。

  • 診察費
  • 治療費
  • リハビリ費用
  • 手術費用
  • 通院交通費
  • 付添看護費
  • 入院費
  • 装具・器具の購入
  • 鍼灸・マッサージ費用   など

消極損害

消極損害とは、交通事故の被害者にならなければ、得られたであろう将来の利益に対する損害のことをいいます。

消極損害には、以下の2つのものがあります。

  • 休業損害:交通事故が原因で、仕事を休むことになった場合に支払われるもの
  • 逸失利益:交通事故の怪我が、後遺症として残った場合に支払われるもの

慰謝料

慰謝料とは、交通事故によって被害者が負った精神的苦痛の対価として支払われるものをいいます。

慰謝料には、以下2つのものがあります。

  • 入通院慰謝料:交通事故で怪我を負い、入通院をしたことに対する精神的苦痛の対価として支払われるもの
  • 後遺障害慰謝料(※1):交通事故の怪我が、後遺症として残ったことに対する精神的苦痛の対価として支払われるもの

※1 後遺障害慰謝料は、後遺障害等級申請をし、後遺障害の等級に該当した場合のみ受け取ることができます。

足切断した場合の特別な支援や補償について

足を切断した場合、自宅がバリアフリー化されていると、生活しやすいですよね。しかし、自宅をバリアフリー化させるためには、工事費用がかかります。では、自宅改造費用は、加害者に請求できるのでしょうか。

自宅改造費は、必要性が認められた場合に限り、相当額が補償されるようです。

例えば…

  • 介護が必要な程の後遺症が残ってしまった場合
  • 軽度の障害だが、日常生活で大きな支障をきたす場合

交通事故の加害者に損害賠償を請求するには

交通事故の被害者は、加害者に損害賠償を請求できることがわかりました。では、どのような手続きを行えば、被害者は加害者から損害賠償を受け取ることができるのでしょうか。「入通院に関する損害賠償の請求」「後遺障害に関する損害賠償の請求」に分けて説明していきます。

傷害に関する損害賠償の請求

傷害に関する損害賠償の請求は、治療費や休業損害、入通院慰謝料などです。これらの損害賠償を請求する方法は、以下の2つの方法があります。

  • 加害者請求
  • 被害者請求

加害者請求

加害者が先に被害者に対して、損害賠償金を支払います。その後、加害者が保険会社に保険金を請求するというものです。

被害者請求

加害者側から賠償が受けられないとき、加害者の保険会社に被害者本人が損害賠償金を直接請求するというものです。

~請求に必要な書類~

  • 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 医師の診断書
  • 診療報酬明細書
  • 通院交通費明細書
  • 印鑑証明書
  • レントゲン写真

※休業損害証明書、付添看護自認書などが必要な場合もあります。

後遺障害に関する損害賠償の請求

後遺障害に関する損害賠償は、後遺障害慰謝料や逸失利益などです。これらの損害賠償を請求する方法は、以下の2つの方法があります。

  • 事前認定
  • 被害者請求

事前認定

事前認定とは、後遺障害等級認定の申請手続きを加害者側の保険会社に任せる方法です。

事前認定で被害者が行う手続きは、加害者側の保険会社に後遺障害診断書を提出することのみです。残りの手続きに関しては、加害者側の保険会社が行ってくれます。被害者は、煩雑な手続きを行わなくても良いため、精神的ストレスを軽減することができます。

被害者請求

被害者請求とは、被害者自身が直接、加害者側の保険会社に対して後遺障害等級認定の申請手続きを行う方法です。

そのため、後遺障害等級認定の申請に必要な書類を集め、加害者側の保険会社に書類を送る手続きを被害者自身で行うことになります。

したがって、被害者請求は加害者請求に比べて、手間がかかってしまいます。しかし、手続きを被害者自身で行うため、手続きの内容を把握することができ、納得しながら進めていくことができます。

~請求に必要な書類~

  • 自賠責保険支払請求書兼支払指図書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 診療報酬明細書
  • 診断書
  • 後遺障害診断書
  • レントゲン、MRI等の画像

▶︎参考:後遺障害等級認定が認められるための条件5つについてはこちら

交通事故で足を切断した場合のまとめ

いかがでしたか。交通事故で足を切断した場合、被害者は加害者に損害賠償を請求することができます。損害賠償には、治療費や通院交通費、付添看護費、慰謝料など様々なものがあります。

また、交通事故で足を切断した場合、後遺症が残っている状態になりますので、後遺障害等級認定を申請しましょう。後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められれば、後遺障害慰謝料逸失利益も請求することができます。