交通事故にあってむちうちに。足のしびれと後遺障害について解説!

2019年02月01日

同僚とドライブをしていたときのこと。交差点を直進していると、後ろから猛スピードで走っている車のブレーキが間に合わず、追突した。

その後、病院でむちうちと診断された。治療を始めて3日後になると、足のしびれが出てきた。「足のしびれもむちうちの症状なのかな?」

こんな疑問を抱えてませんか?今回の記事では、足のしびれについてから後遺障害までを説明します。

交通事故後の足のしびれ


交通事故後の足のしびれは、むちうちの症状の1つです。むちうちには様々な症状があります。

むちうちの症状

むちうちは、交通事故時の衝撃で首周辺の筋肉や靱帯が損傷し、痛みが生じます。

むちうちは、5つの種類に分類することができます。

  • 頚椎捻挫型:主な症状は、首や肩、背中の凝りや痛みなど
  • バレー・ルー症候群:主な症状は、めまいや耳鳴り、息苦しさなど
  • 神経根症状型:主な症状は、(身体の各部位に)しびれや力が入らないなど
  • 脊髄症状型:主な症状は、麻痺、知覚障害や歩行障害など
  • 脳髄液減少症:主な症状は、全身の痛み、聴力障害、倦怠感、自律神経症など

足のしびれの原因は?

足のしびれは、「坐骨神経痛」といわれます。

原因は…

  • 椎間板ヘルニア
  • 変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)※1
  • 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)※2

※1:背骨が変形している状態
※2:背骨の神経の通り道が狭くなる

したがって、神経が刺激されたり、圧迫されることで足にしびれの症状が出るのです。

足のしびれの治療方法について

先程、足のしびれは、むちうちの症状の1つといいました。むちうちの治療ができる通院先は、以下の3つです。通院先は自由に選ぶことができますよ。

むちうちの通院先は3つ

  • 病院・整形外科
  • 整骨院・接骨院
  • 鍼灸院

病院・整形外科
病院・整形外科では、医師が治療を行います。受けられる治療は、MRIやレントゲンなどの検査、痛み止めや湿布などの処方、手術などです。

整骨院・接骨院
整骨院・接骨院では、柔道整復師が施術を行います。受けられる施術は、マッサージや電気療法、牽引、温熱療法などです。

鍼灸院
鍼灸院では、はり師と灸師がはりと灸を使った施術を行います。はりと灸の施術を行った場合、痛みを緩和させる効果が期待できます。

足のしびれに有効な治療方法

足のしびれで行う治療方法はこちら

  • 鎮痛消炎剤:痛みの原因である炎症を抑える。
  • 筋肉弛緩剤:筋肉を和らげる。
  • 牽引:首や腰を引っ張り、狭くなった背骨の隙間を広げ、骨同士の圧迫を軽減させたり、ずれを矯正したりする。
  • 低周波療法:微弱な電気を身体に流し、その刺激で筋肉を直接マッサージして興奮した神経をしずめ、血行を促進する。 など

足のしびれは後遺症になることも…

先程も述べたように、足のしびれは神経が刺激されたり、圧迫されたりして生じる症状です。後遺障害の等級では、12級や14級に該当するケースがあります。

そもそも後遺障害とは

交通事故による怪我の治療が、これ以上の回復がみられないとき、後遺症が残ります。その後遺症の中で、後遺障害の等級に該当するものをいいます。

12級・14級の後遺障害について

後遺障害の等級で12級・14級は以下の通りです。

  • 12級:局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14級:局部に神経症状を残すもの

このことから、神経症状である足のしびれは、重症度によって後遺障害の12級や14級に該当する可能性があります。

むちうちの後遺障害等級認定に必要な5条件

後遺障害等級認定を獲得するには、5つの条件を満たしてなければなりません。以下で詳しく説明していきます。

①継続的な病院への通院

後遺障害等級認定を申請する場合、受傷直後から症状固定まで治療を続けることが必要です。
例えば…

    受傷直後から1か月近く全く通院していない。
    事故直後から2週間に1回程度の通院しかしていない。

などのような通院回数だと、症状を治そうという意欲が見られず、後遺障害等級認定で非該当となることがありますので、注意してください。

②事故の程度が一定以上

むちうちは、車と衝突した衝撃によって生じるものです。そのため、ある程度強い衝撃が生じる事故でなければ、交通事故による後遺症が認められないことがあります。

何故なら、軽微な事故では後遺症が残るとは考えられないため、ある程度以上の事故であることが求められます。

事故の程度は、事故車両の写真や修理見積などの資料で判断します。はっきりとした基準が決まっているわけではありません。しかし、とても低速度による追突事故や対向車両と擦った程度の衝突事故、修理費が低額の場合には、後遺症として認定されない可能性が高くなります。

③症状に一貫性と連続性あり

受傷直後から一貫して同じ症状を主張し、残存する症状が連続していなければなりません。残存する症状が連続していることにより、事故との因果関係が認められ、後遺症を認定するという判断に傾くのです。

④自覚症状が証明できること

むちうちの自覚症状を証明するのは難しいですが、後遺障害等級認定においては必要な条件です。
自覚症状を証明する方法は以下の2つ。

  • 1.画像所見:レントゲンやMRIなどの画像を用いて、症状やその原因を医師が判断するための検査
  • 2.神経学的検査(※1):画像だけで判断しかねる神経症状を医学的に証明するための様々な検査

※1 神経学的検査は、スパーリングテスト・ラセーグテスト・知覚検査・深部腱反射テスト・筋萎縮検査など様々なものがあります。

⑤症状の程度が一定以上

むちうちの症状には、重度なものから軽度なものまで様々な症状があります。後遺障害等級認定の場合、後遺症が残っていても認定基準にあてはまる程度の症状でなければ、認定できません。したがって、残存する症状の程度が一定以上でなければならないのです。

後遺障害等級認定を申請する

後遺障害等級認定をすると、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料逸失利益を受け取ることができます。ここでは、請求方法や流れについて説明します。

後遺障害等級認定の請求方法

後遺障害等級認定の請求方法は、以下の2つ。

    被害者請求
    必要な書類を揃えて、後遺障害等級認定の申請までを被害者自身で行う方法です。メリットは、書類を自分で揃えるため、納得のいく後遺障害等級認定を受けられることです。

    事前認定
    加害者側の保険会社に手続きを任せる方法です。必要な書類も保険会社が揃えてくれるので手間が省けます。

後遺障害等級認定の流れ

後遺障害等級認定の流れを、被害者請求の場合と事前認定の場合に分けて説明します。

    被害者請求の場合
    ①被害者が、手続きに必要となる書類を収集・作成し、自賠責保険会社に対して自賠責保険金の請求を行う。
    ②自賠責保険会社は、被害者から送れてきた各種書類について内容を確認し、損害保険料率算出機構に送る。
    ③損害保険料率算出機構は、送られてきた後遺障害診断書などの書類について審査を行い、審査結果を自賠責保険会社に報告する。
    ④自賠責保険会社は、提出された損害保険料率算出機構の調査結果を踏まえて、後遺障害等級の等級認定を行う。
    ⑤後遺障害等級認定の結果が被害者に通知される。

    事前認定の場合
    加害者側の保険会社に、後遺障害診断書を提出するだけです。

足のしびれの治療は、継続的に行いましょう

むちうちで足のしびれがあらわれることがあります。また、後遺症として残る可能性もあるので、その場合は後遺障害等級認定を行いましょう。後遺症にならないようにするには、治療を続けることが大事ですよ。