後遺症がどんな基準で等級認定されるの?慰謝料の相場も教えます!
交通事故後に後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を申請しましょう。しかし、後遺障害等級認定で、後遺障害の等級が認定されるには、いくつかの基準を満たしていなければなりません。
そこで今回は、後遺障害等級認定における等級が、認定されるための基準を中心に解説します。
交通事故による怪我は後遺症になる?
交通事故で負った怪我は、後遺症になる可能性があります。そもそも後遺症とは、怪我の治療を行っていたにも関わらず、これ以上症状の緩和がみられない状態のことです。
交通事故による怪我の場合、むちうちによる痛みやしびれの症状が後遺症として残ってしまうことが多いようです。痛みやしびれの後遺症は、神経が傷ついてしまうことであらわれるため、神経障害と呼ばれています。
このような後遺症が残らないためには、
- 早期のうちに治療を開始すること
- 定期的な通院を行うこと
以上の2点が大事です。
▶︎参考:むちうちについて詳しく知りたい方はこちら
▶︎参考:交通事故による怪我の通院先について詳しく知りたい方はこちら
交通事故で後遺症が残ったら?
交通事故で後遺症が残ったら、後遺障害等級認定を申請しましょう。後遺障害等級認定とは、交通事故が原因で残ってしまった症状が、どの等級に当てはまるのかを決めるものです。後遺障害の等級は1~14級まであり、1級にあたる症状が最も重い後遺症となっています。
何故、交通事故で後遺症が残ったら、後遺障害等級認定を申請すべきなのでしょうか。
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後遺障害等級認定を申請する理由
後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認定されれば、被害者は後遺障害慰謝料や逸失利益というものを受け取ることができます。また、等級ごとで後遺障害慰謝料の金額が異なります。
後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料は、3つの基準で金額が異なります。その3つの基準とは、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準です。今回は、自賠責基準と弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場をご紹介します。
後遺障害の等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
第1級 | 1100万円 | 2800万円 |
第2級 | 958万円 | 2370万円 |
第3級 | 829万円 | 1990万円 |
第4級 | 712万円 | 1670万円 |
第5級 | 599万円 | 1400万円 |
第6級 | 498万円 | 1180万円 |
第7級 | 409万円 | 1000万円 |
第8級 | 324万円 | 830万円 |
第9級 | 245万円 | 690万円 |
第10級 | 187万円 | 550万円 |
第11級 | 135万円 | 420万円 |
第12級 | 93万円 | 290万円 |
第13級 | 57万円 | 180万円 |
第14級 | 32万円 | 110万円 |
後遺障害等級認定には認定基準がある!
交通事故が原因で後遺症が残ってしまった場合、被害者は後遺障害慰謝料を受け取ることができます。しかし、交通事故で後遺症が残ってしまった被害者全員が、後遺障害慰謝料を受け取れるものではありません。
被害者が後遺障害慰謝料を受け取るためには、後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められなければならないのです。後遺障害等級認定で後遺障害の等級が認定されるには、以下5つの認定基準を満たしていなければなりません。
- ①継続的に病院へ通っていること
- ②後遺症と事故との間に因果関係があること
- ③事故後から同じ症状があり、その症状がずっと続いていること
- ④後遺症の症状が医学的に証明できること
- ⑤後遺症の症状が等級に該当するものであること
①継続的に病院へ通っていること
週に2~3回の頻度で6ヶ月以上の通院をしていれば、被害者が負った怪我が重い症状であることがわかります。そのため、継続的に病院へ通っていなければ、軽い症状だと思われてしまうため、後遺障害の等級が認定されないこともあります。
②後遺症と事故との間に因果関係があること
「事故が原因で残った後遺症」といったように、因果関係が認められなければ、後遺障害の等級は認定されません。事故車両の写真や事故の状況などで事故の程度を判断し、後遺障害診断書で後遺症の症状を照らし合わせ、因果関係があるかを判断していきます。
③事故後から同じ症状があり、その症状がずっと続いていること
例えば、事故直後は左肩の痛みを主張していたのに、2ヶ月経つと右肩の痛みを主張してしまうといった場合です。この場合は、事故以外のもの関係していると考えられ、後遺障害の等級が認められない可能性があります。
④後遺症の症状が医学的に証明できること
特に、むちうちの症状で残る後遺症は神経障害が多く、外傷がありません。そのため、後遺症が残っているかの判断が難しく、医学的に証明できなければならないのです。神経障害の場合は、神経学的検査(※1)を行い、その結果を必要書類と共に提出するようにしましょう。神経学的検査の他にも、MRIやレントゲンなどの検査も有効です。
※1 神経学的検査とは、スパーリングテスト・ラセーグテスト・知覚検査・深部腱反射テストなどのことです。これによって、運動可動域や神経反射の様子などを調べることができます。
⑤後遺症の症状が等級に該当するものであること
交通事故による怪我で後遺症が残っても、軽度の症状や後遺障害の等級に該当しない症状などは、等級を認定されない可能性があります。そのため、後遺障害の等級を確認し、交通事故後に残った症状が該当しているか確認する必要があります。
先程、紹介したむちうちによる神経障害の後遺症は、以下のような14級や12級の等級に該当します。
後遺障害の等級 | どんな後遺症か |
---|---|
12級 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級 | 局部に神経症状を残すもの |
後遺障害等級認定の申請手続き
後遺障害等級認定の申請手続きは、以下の2つの方法で行うことができます。
- ①事前認定
- ②被害者請求
①事前認定
事前認定の場合、後遺障害等級認定の申請手続きを行うのは、加害者側の保険会社です。被害者は、後遺障害等級認定の申請手続きを行わなくてよいため、申請手続きの手間を省くことができます。
しかし、後遺障害等級認定の申請手続きを加害者側の保険会社に任せているため、被害者は手続きの内容を把握することができません。したがって、被害者が納得のいく後遺障害等級認定の結果にならない可能性もあります。
②被害者請求
被害者請求の場合、後遺障害等級認定の申請手続きを行うのは、被害者自身です。そのため被害者は、後遺障害等級認定に必要な書類を収集・作成しなければならず、手間がかかります。
しかし、後遺障害等級認定の申請手続きを被害者自身で行うため、書類の内容を把握することができます。書類の内容が把握できれば、後遺障害等級認定で被害者自身が不利にならない書類を作成することもできるのです。したがって、被害者が納得のいく、後遺障害等級認定の結果を得られる可能性が高まります。
後遺症の認定基準についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故の被害者は、後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を申請しましょう。後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。
後遺障害等級認定において、等級が認定されるためには、以下5つの認定基準を満たしていなければなりません。
- ①継続的に病院へ通っていること
- ②後遺症と事故との間に因果関係があること
- ③事故後から同じ症状があり、その症状がずっと続いていること
- ④後遺症の症状が医学的に証明できること
- ⑤後遺症の症状が等級に該当するものであること
上記の認定基準を確認し、後遺障害等級認定を申請するようにしましょう。