後遺障害14級の慰謝料相場と増額のコツ!

2019年02月04日

交通事故による怪我で、最も多いといわれているむちうち。このむちうちは、後遺障害になることも多いといわれています。
むちうちの後遺障害に等級がついた場合、14級と認定される場合がほとんどです。

しかし、「後遺障害14級です」と言われても、いまいちピンときませんよね。
「後遺障害14級って何?」「どうして14級なの?」「後遺障害になったら治らないの?」と様々な疑問が生まれるのではないでしょうか。

この記事では、

  • 後遺障害14級とは?
  • 後遺障害14級で受け取ることができる慰謝料は?
  • 後遺障害は治らないの?
  • 後遺障害の等級に納得がいかない!

など、後遺障害14級について詳しく解説していきます。

後遺障害とは


交通事故による怪我の治療が長引くと、「これ以上治療を続けても症状が緩和しない」と医師に判断されてしまうことがあります。これを症状固定といい、症状固定の時点で身体に残っている症状を、後遺症といいます。後遺症は、今後生きていく上で一生付き合っていかなければいけないものです。

後遺症になると、今まで支払われていた慰謝料は打ち切られてしまいます。しかし、後遺症が後遺障害と認められることで、被害者は後遺障害慰謝料を受け取ることができます。

後遺症が後遺障害と認められるには、いくつかの条件を満たす必要があります。
▶︎参考:後遺症を後遺障害と認めてもらう条件についてはこちら

後遺障害と認められると、被害者は後遺障害慰謝料の請求をすることができます。後遺障害は、1級から14級までの等級があり、後遺障害慰謝料はこの等級によって金額が変動します。
▶︎参考:後遺障害慰謝料の他に請求できる慰謝料とは?詳しく知りたい方はこちら!

後遺障害等級が認定されるには?

後遺障害慰謝料を受け取るためには、後遺障害等級が認定される必要があります。
ここでは、後遺障害等級が認定されるまでの流れをご紹介します。

▶︎参考:後遺障害を認定する機関について

後遺障害等級認定を申請しましょう

後遺障害等級認定を申請する前に、後遺障害等級認定の申請準備を行いましょう。

後遺障害等級認定の申請準備ですべき事は、2つ。

  • 症状固定まで通院を続ける
  • 後遺障害診断書の取得をする

まずは、症状固定まで通院を続けることが大切です。症状固定まで通院を続けなければ、後遺障害と認められることは難しいでしょう。症状固定と判断されたら、そのタイミングで医師に後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。

▶︎参考:後遺障害等級認定の申請準備について詳しくはこちら

後遺障害等級認定の申請方法

後遺障害等級認定の申請準備が整ったら、後遺障害等級認定の申請をしましょう。

後遺障害等級認定の申請方法は、2つ。

  • 加害者請求
  • 被害者請求

加害者請求は、加害者側の任意保険会社にすべての手続きを任せる方法です。
被害者請求では、被害者自身が加害者側の自賠責保険会社に、直接後遺障害等級認定の申請を行います。

▶︎参考:加害者請求と被害者請求について詳しくはこちら

後遺障害14級にはどんな種類がある?

交通事故による怪我で、もっとも多い怪我がむちうちといわれています。むちうちは、後遺障害になるケースも多いといわれていて、後遺障害等級は14級と認定されることがほとんどです。

後遺障害14級は、一貫する自覚症状や治療経過の合理性などを、医学的に説明することができれば、認定してもらえるようです。

14級の後遺障害には、8種類の症状があります。

  • 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  • 3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
  • 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  • 上肢・下肢の露出面にてのひら大の醜いあとを残すもの
  • 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  • 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  • 1足の第3の足指以下の一又は2の足指の用を廃したもの
  • 局部に神経症状を残すもの

それぞれの症状について、詳しく見ていきましょう。

1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

交通事故でまぶたを損傷したことによって、片方のまぶたを閉じたときに、黒目は隠すことができても白目の一部は露出してしまう状態をいいます。また、まつげはげとは、まつげが生えている縁の2分の1以上にわたって、まつげのはげを残すものといわれています。

3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの

交通事故で喪失した歯の本数が3本以上あり、歯科補てつをした場合は、後遺障害14級が認定されます。

歯科補てつとは、完全に無い、または著しく欠損した歯に入れ歯をしたりして、歯の働きを補うことをいいます。

1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの

交通事故の怪我が原因で、片耳の平均純音聴力レベルが、40db(デシベル)以上70db未満となった場合、後遺障害14級が認定されます。

平均純音聴力40db以上70db未満とは、分かりやすくいうと「小声でささやかれる程度では聞こえない状態」です。詳しくは、耳鼻咽喉科を受診して、正確な聴力検査をしてもらいましょう。

上肢・下肢の露出面にてのひら大の醜いあとを残すもの

まず、上肢とは「上腕から指先まで」の部分をいい、下肢は「太ももから足の指まで」の部分をいいます。

上肢または下肢に、被害者自身のてのひらと同じ大きさの酷い傷あとが残った場合、後遺障害14級が認定される可能性があります。この場合の「てのひら」に、手の指は含まれていません。

1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの

交通事故の怪我により、片手の親指以外の指の骨が一部失われた場合、レントゲンなどで確認することができれば、後遺障害14級が認定されます。

また、遊離骨折で骨が完全にくっついていないケースも、後遺障害14級に該当します。どれくらい骨が欠けているかによって、後遺障害等級が上がる可能性もあります。

1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの

遠位指節間関節とは、指の関節で最も指先に近い関節、いわゆる第一関節のことをいいます。

交通事故によって、第一関節を自力で曲げることができなくなった場合、後遺障害14級が認定されます。

1足の第3の足指以下の一又は2の足指の用を廃したもの

交通事故が原因で、片足の中指、薬指、小指1~2本が用を廃した場合、後遺障害14級に認定されます。

「用を廃する」とは具体的に「指の切断」や「指関節の可動域が半分以下になる」状態のことをいいます。

局部に神経症状を残すもの

交通事故によって、首や肩、背中、腰などに、痛みやしびれなどの医学的に説明できる症状が残った場合、後遺障害14級に認定されます。もっとも代表的な怪我の例として、「むちうち」があります。

後遺障害慰謝料には3つの基準がある

後遺障害慰謝料の請求には、3つの基準があり、それぞれによって支払われる慰謝料の金額が異なります。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

それぞれの内容を、詳しく見ていきましょう。

自賠責基準

自賠責保険は、車を所有するすべての運転者に、加入を義務付けられている保険です。
自賠責基準による後遺障害14級の後遺障害慰謝料は、32万円となっています。

交通事故による損害を最低限補償する目的としている保険のため、支払われる後遺障害慰謝料は、3つの基準の中で最も低い金額となっています。

任意保険基準

任意保険は、運転者の任意で加入を決めることができる保険です。被害者に支払われる慰謝料が、自賠責保険の限度額を超えた場合、任意保険会社が補う形となっています。

任意保険基準は、各任意保険会社によって基準が異なり、公開していないことから、はっきりとした基準は明確ではありません。一般的には、自賠責基準と弁護士基準の、中間くらいの金額ではないかといわれています。

弁護士基準

弁護士基準は、交通事故においての過去の判例を参考に、「赤い本」や「青い本」と呼ばれる法律書を基に慰謝料の金額が決められます。
弁護士基準による後遺障害14級の後遺障害慰謝料は、110万円となっています。

弁護士基準は、自賠責基準や任意保険基準と比べ、最も高額な慰謝料が支払われるといわれています。

後遺障害慰謝料増額のコツ!

後遺障害慰謝料は、弁護士基準を使って請求することで、自賠責基準の約3.5倍の慰謝料を獲得することができます。

弁護士基準で後遺障害慰謝料を請求するには、後遺障害等級認定の申請を被害者請求で行い、手続きを弁護士に依頼して手伝ってもらうとよいでしょう。弁護士へ依頼すると、弁護士費用がかかります。しかし、弁護士特約を利用することで、かかった費用を賄ってもらうことができます。

▶︎参考:弁護士特約について詳しくはこちら

後遺障害等級に納得がいかない場合


後遺障害の等級に納得がいかない場合や、後遺障害等級認定を申請しても非該当になってしまった場合は、異議申し立てをすることができます。異議申し立てをしても解決しない場合は、裁判を起こすこともできます。

▶︎参考:後遺障害等級の異議申し立てについて詳しくはこちら

まとめ

後遺障害には、1級から14級までの等級があります。多くの後遺障害は、14級と認定されることが多いといわれています。後遺障害慰謝料には3つの基準があり、それぞれの基準によって、被害者に支払われる慰謝料が異なります。後遺障害等級認定の申請を行う際、弁護士へ手続きを手伝ってもらうことで、慰謝料が増額される可能性もあります。