交通事故の示談交渉で必要な基礎知識!「自賠責保険」の特徴とは?

2019年02月01日

自動車保険には2種類ある

自動車保険は自賠責保険と任意保険の2種類があります。

自賠責保険の正式名称は、自動車損害賠償責任保険といって、すべての車所有者が加入しなければならない強制保険です。
任意保険は、被保険者(保険の加入者・対象者)のニーズにあわせて任意で加入できる保険です。各保険会社さまざまなプランで、充実した保障内容に加入することができます。

さて今回は、示談交渉において必ず知っておかなければならない「自賠責保険」について詳しく述べて行きます。

自賠責保険ってどんなもの?

自賠責保険というのは、国(国土交通省)が交通事故被害者の救済を目的として運営している保険です。自賠責保険に加入していない車で公道を走ってしまうと、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されることになっています。

また、自賠責保険は死傷者が出た場合のみ保障される保険のため、物損事故のままでは適用されません
もし物損事故のままで通院をしているようであれば、警察へいって人身事故へ切り替える手続きを行ってください。

自賠責保険の特徴5つ

自賠責保険の特徴は以下5つのとおりです。

  • 保険金の請求は被害者本人が行える
  • 補償対象は物損事故ではなく、他人に対する人身事故のみ
  • 被害者の重過失による減額が制限されている
  • 保険金の支払額には上限がある
  • 示談交渉は自分で行う

自賠責保険は、交通事故被害者を“最低限”保障し救済することを目的としています。
事故の過失割合に関わらず、傷害事故は120万円、後遺障害1級で3,000万円、死亡事故の場合も同様に3,000万円となっています。

重過失による減額が制限されている

被害者にも過失がある場合には、過失相殺されてしまうため支払われる損害賠償額が少なくなってしまいます。
ただし、自賠責保険の場合と任意保険の場合でその適用の仕方が異なってきます。

それこそが、自賠責保険の場合、過失相殺による減額が制限されているという事になるんですね。自賠責保険の目的は被害者の保護と救済ですから、被害者側に70%以上の過失割合があった場合に限って一定の率が減額されていくのです。

死亡や後遺障害の場合

  • 被害者の過失割合が70%~79%…20%の減額
  • 被害者の過失割合が80%~89%…30%の減額
  • 被害者の過失割合が90%~99%…50%の減額

▶︎参考:歩行者だから被害者とは限らない!?運転者を陥れる「当たり屋」の手口とは?

後遺症を伴わない傷害の場合

  • 被害者の過失割合が70%~99%…一律で20%の減額

つまり、交通事故での身体的損害については当事者の過失割合がどうあれ、しっかりと保証してもらえるという事ですね。やっぱり、加害者になってしまうと全然もらえないんじゃないかとか思ってしまう人もいると思います。しっかりと自賠責保険を活用していきましょう。

1.傷害事故の場合
この場合は、治療関係費などの※積極損害、休業損害、そして慰謝料が支払われることになります。この上限額が120万円です。

物損に対しては保険金が支払われないという事だったのですが、多少例外があるんです。被害者の方が身に着けていた義肢やメガネが破損した場合、身体的機能補助物が破損されたとみなされて、補償を受けられるのです。
積極損害とは、事故の影響で発生した損害、もしくはこれから発生すると考えられる損害のことを指しています。
これに対して、消極損害というものも存在します。消極損害というのが、事故によって、本来得られたであろう利益を失ったことに対する機会損失のことになります。つまり、上記の通りの休業損害(働けなくなったことによる、給料の損失分)が含まれることになります。

2.後遺障害を残した事故
體に残った障害の程度に応じて支払われる額が変わってきます。逸失利益と慰謝料が支払われます。限度額は4000万円~75万円です。

3.死亡事故
葬儀費用や逸失利益、慰謝料が支払われることになります。
支払限度額は3000万円となっていますが、被害者の方が、治療を受けた末に亡くなられた場合は、その死亡に至るまでにかかった費用と慰謝料が一緒に支払われることになります。
これに対して、任意保険というのは各損害保険会社やJA、全労済などのことを指しています。

交通事故の示談交渉「自賠責保険」のまとめ

いかがでしたか?今回は、示談交渉をはじめる前に必要な基礎知識をご説明しました。
まずはこれらをしっかりと確認し、示談にむけて覚えておかなければならないことを確認しましょう。