当たり屋による交通事故に注意!進化する巧妙手口とその対処法5つ

2019年02月04日

当たり屋に注意!加害者になってしまう巻き込まれ事故

交通事故は、自分が追突などされる巻き込まれ事故もありますが、不注意で誰かを跳ねてしまうといった人身事故を起こす可能性もあります。
また、運転者のあなたを加害者にして、多額の損害賠償を請求してくる「故意の事故」に巻き込まれる可能性もあります。

当たり屋にあってしまった時の対処法とは?

当たり屋とは?

みなさま、「当たり屋」という言葉を聞いた事があるでしょうか。
当たり屋(あたりや)とは、意図的に車に接触するなどの行為を行い人身事故もしくは物損事故により保険金を目的とする違法行為の事を意味します。
まずは下記の動画をご覧ください。


出典:YouTube

動画を見て「信じられない」というがいらっしゃるかと思います。
当たり屋とは保険金を目的とした違法行為です。生活に困窮した一部の方が意図的に行為にはしるケースがあります。

当たり屋の主な手口は?

当たり屋には、以下のような手口があります。

  • ①ブレーキランプの付かない車での減速による接触
  • ②通過する車のサイドミラー等に意図的に接触
  • ③横断歩道を低速で曲がる車に意図的に接触
  • ④バック中の車に意図的に接触

当たり屋は、歩行者を装って当たってくる場合もあれば、自転車や車同士といった損害が大きなものまで様々あります。特に、②においては、「怪我はないもののメガネが壊れた、服が汚れた」などものが壊れたことをドライバーに伝え、小さな金額の損害賠償を請求してくるというものが多いようです。
少ない金額を提示し、その場で示談交渉させ、のちに大きな損害賠償を請求してきます。

近年増えているながらスマホへの当たり屋


近年、増えているといわれるのが、スマホを見ながら運転している運転手(自転車・自動車)に対して、当たり屋を仕掛けるというものです。
このケースは非常に巧妙な手口の犯行で、「当たり屋グループ」といった都市伝説も囁かれるほど。

スマホへの当たり屋、その巧妙な手口とは?
二人〜複数のグループで行い、1人が当たり屋役、もう1人が目撃者役となる。
当たり屋役は、スマホを見ながら運転している運転手を見つけると、タイミングをみて飛び込み車両に当たりに行きます。
オーバーに転んだり、痛がったりといった演技をして、運転手を困惑させます。
また、目撃者役が「私も見ました」「僕も見ました」などといって、運転者を窮地に追い詰めるのです。

苦しいのは、スマホを使用しながら運転していた運転者は実際に当たってしまったのか当たられたのかがうまく判別できないこと。
この運転手の真理をうまく利用したケースが多く報告されているのだとか。

※道路交通法上違法行為のため、くれぐれもスマホを使いながら自転車を運転することは止めましょう。このように、交通事故を取り巻く不正行為は後をたたないのが現状です。

ひき逃げ扱いされるケースも…

仮に、「5000円でいいよ」と示談成立をした場合、後日「ひき逃げされた」と警察に訴える当たり屋もいます。

交通事故が起きた場合、加害者は「事故の大小、ケガの有無にかかわらず速やかに警察に届出なければならない。」とされており、警察への報告を怠ると『3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金』という刑事処分もあります。

当たり屋かそうでないかは警察や保険会社の判断に任せて、一度は交通事故の流れにそって警察や保険会社に連絡をするようにしましょう。

\交通事故に詳しい相談員がアドバイス/

当たり屋が事故の届出をさせないようにする理由

当たり屋は、交通事故の届出を拒む傾向にあるようです。
その理由は以下2つ。

①自分の情報を加害者に知られたくないため
②保険会社にマークされるのを防ぐため

①自分の情報を加害者に知られたくないため

当たり屋が、警察へ事故の届出をさせたがらない最大の理由は、自分の情報を加害者に知られたくないためです。

当たり屋は、以前にも同じような手口で交通事故を起こしている可能性が高いといえます。加害者に自分の情報が知られてしまうと、「自分は当たり屋である」ということが伝わってしまうかもしれません。そのため、交通事故の届出を嫌がるのです。

また、保険会社から損害賠償の支払いを受けるよりも、加害者本人に請求した方が高額の損害賠償金を受け取れる可能性があるという理由もあります。

②保険会社にマークされるのを防ぐため

保険会社は、当たり屋の情報をある程度マークしています。交通事故の届出をされてしまうと、保険会社から「当たり屋」というマークをつけられてしまう可能性があります。保険会社は当たり屋に対して損害賠償の支払いを行いません。自分が当たり屋であるということを保険会社に知られ、マークされることを防ぐためにも、当たり屋は事故の届出を嫌がります。

当たり屋にあったら?

いくら当たり屋だと確信を持ったとしても、自分だけで当たり屋と示談を行うのは不可能です。また、万が一これが当たり屋ではなくただの交通事故である場合、加害者となり処罰も課せられます。

当たり屋にあったときでも、交通事故を起こしたという事実は変わらないので、通常のフローで交通事故の処理をしなければなりません。
主な交通事故の手続きの流れは、以下の通りです。

交通事故の流れは?

  • ①その場ですぐに警察を呼ぶ
  • ②相手の情報を確認する(氏名や勤務先、加入している保険会社など)
  • ③保険会社に連絡を入れる
  • ④通院してもらう

一般的な交通事故の流れは、当たり屋であったとしても同じです。
余談ですが、当たり屋の場合、保険会社が当たり屋のリストを持っていることがあります。

▶︎参考:交通事故から示談成立までの流れはこちら

即決示談は絶対に止めましょう

当たり屋は即決示談を要求してくる事があります。このようなケースでは絶対に応じないでください。また無防備に自分の住所や勤務先、連絡先を教える事も控えてください。まずは警察に報告を行い保険会社にお任せする事をおすすめします。

交通事故を起こした時には、警察に報告する義務があります。警察に報告しなければ、交通事故証明書を貰う事が出来ません。交通事故証明書がない場合には保険会社から保険金を支払って貰う事ができません。

▶︎参考:交通事故が起きた時に役立つ!「弁護士特約」の仕組みとは?

▶︎参考:交通事故の示談交渉とは?知って起きたい基礎知識

当たり屋の過失割合は?

被害者が当たり屋だと判明した場合には、加害者側の過失割合は0になります。
故意でぶつかってきている相手に対して、損害賠償を請求する権利はないからです。
しかし、当たり屋だと立証することは、難しい場合もあります。

立証が難しい

交通事故においては、過失割合という考え方があります。
過失割合とは、交通事故において、どちらにどれだけの責任があるかの割合を決めることをいいます。しかし、当たり屋においては、過失と故意の区別は判別が非常に付きにくいといえます。

例えば、歩道を歩いている人がよろけて車道にはみ出してしまったとします。この行為が過失なのか意図的なのかを証明する事は困難です。

また、目撃者がいない場合に明らかに被害者に過失あるいは意図的な部分があったとしても加害者の言い分を一方的に反映する事が考えられません。
つまり、万が一の場合に備えてドライブレコーダーの搭載をすること、事故にあった場合にその場で示談しないことが損をしないための方法です。

当たり屋のターゲットにされないための対策

当たり屋のターゲットにならないための対策として、3つの例を挙げて説明します。

  • ①狭い道を避ける
  • ②十分な車間距離を保つ
  • ③駐車場内で減速する

①狭い道を避ける

狭い道は、咄嗟に起こったことに対して対応できる程の道幅もなく、当たり屋にとって狙い目の場所といえるでしょう。なるべく狭い道は避け、自分にとって安全な道を選ぶことが大切です。

②十分な車間距離を保つ

車間距離を十分に保てば、周囲を注意しながら、余裕をもって運転することが可能です。車間距離を詰めすぎてしまうと、目先のものしか見えず、怪しい車や人を把握することも難しいでしょう。このように、十分な車間距離を保つことで、当たり屋の付け入る隙を与えないことが大切です。

③駐車場内で減速する

駐車場は死角が多く、いきなり当たり屋が歩行者として飛び出してくるかもしれません。駐車場内は、必ず減速して周囲に注意を払って運転をするようにしましょう。

当たり屋に遭遇しても大丈夫!


当たり屋かもしれないと思っても、警察や保険会社の客観的な判断がなければ、加害者でああることに変わりはありません。まずは、以下のような流れを覚えておくことをオススメします。

    1.ドライブレコーダーなどで証拠を記録
    2.会話を録音する
    3.保険にはしっかり加入
    4.絶対に現場から立ち去らない

前述もしましたが、当たり屋である場合、情報漏洩を恐れていますので、なるべくその場の示談交渉をしたいと考えています。
こちらの正しい対応(警察・保険会社へ連絡)を恐れて逃げ出す場合もあるそうですが、もし当たり屋がその場から逃げてしまったとしても、警察が到着するまでは必ずその場にいるようにしましょう。
そして、ドライブレコーダーや当たり屋との会話を録音したテープなどの証拠品を警察や保険会社に提出するようにしてください。

交通事故や当たり屋に役立つアイテム3つ

「備えあれば憂いなし」というように、万が一の時のために車に入れておいた方がいいアイテムを3つご紹介します。

①ドライブレコーダー

当たり屋だけでなく過失割合を証明するうえでも、ドライブレコーダーを搭載することは非常におすすめです。タクシーやバスなどには近年搭載されるようになりました。

②ボイスレコーダー

警察に連絡して、警察が到着するまでの間に7〜8分の時間がかかります。
被害者(当たり屋)の情報を確認している時など、矛盾点があった時に記録をしておけば、のちの示談交渉にも役立ちます。

③筆記用具

相手(当たり屋)の連絡先や、加入していれば保険会社などを控える時に役に立ちます。嘘をつく場合もありますが、会社名や住所を書いてもらいましょう。

交通事故の当たり屋についてのまとめ

  • ①運転しながらスマホをいじらない
  • ②どんなに小さな事故であってもその場で示談をしない
  • ③ドライブレコーダーを搭載する
  • ④ボイスレコーダー、筆記用具を車内に積んでおく
  • ⑤当たり屋と保険会社や警察が立証してくれるまでは交通事故の対応をとる

いかがでしたか。
少なくなってきたとはいえ、まだまだなくならない当たり屋の被害。
また、国内ではなく海外の交通事故も考えられます。
スマホを見ながらの運転や、考え事などの脇見運転には十分注意しましょう。
「自分は大丈夫だろう」とだろう運転はせず、「もしかしたら巻き込まれるかもしれない」と常に危険と隣り合わせにあることを忘れずに。