交通事故による車の故障。修理してもらうときの賠償金とは?

2018年11月12日

交通事故にあってしまい、幸い怪我人はいなかったものの、愛車のバンパーが凹んでしまった…。自分の分身のように可愛がっていると、とても悲しいですよね。
この損害を加害者に請求することを損害賠償の請求といいます。
車の破損を修理してもらうときに、どのくらい賠償金がもらえるのか気になりませんか?
交通事故は日常的に経験するものではないので、よく分からない点も多いと思います。
今回は、その賠償金についてご説明します。

▶︎参考:そもそも車両保険ってなんのこと?

車の修理費は全額賠償してもらえる?

交通事故にあってしまったとき、「車の修理費」が気になりますよね。
車の修理費は賠償金から支払われますが、一口に賠償金と言っても慰謝料や物損賠償など、内訳がさまざま。

結論から言いますと、修理費を全額賠償してもらえるかはケースバイケースです。何故なら、基本的に車の修理費で加害者側の保険会社に請求できる金額は、その車の時価額分(※)のみです。また、自分が交通事故の被害者であっても、過失割合によって負担してくれる修理費は変わってくるのです。

※時価額とは、被害を受けた車と、同一車種・型式・同年式で同じ消耗度の自動車の市場価額相当額のことです。

▶︎参考:修理代が全額保障されない理由とは?

修理費以外の車に関する費用で請求できるものは?

修理費以外にも車に関する費用を請求することができます。今回は、そのうちの買替差額費と評価損について詳しく説明していきます。

買替差額費

買替差額費とは、交通事故が発生当時の被害自動車の時価相当額と売却代金との差額のことです。

買替差額費が請求できる場合の例

  • 交通事故で車両が物理的に修理不可能な状態となってしまった場合
  • 修理費が被害自動車の時価額分以上にかかってしまう場合
  • 車体の本質的構造部分が客観的に重大な損傷を受けたため、その買替をすることが社会通念上相当と認められる場合

評価損(格落ち損)

評価損とは、修理歴がついてしまい、車の価値が下がった場合の損害のことです。

評価損(格落ち損)が請求できる場合の例

  • 事故車両を修理に出したが、完全に修理することができず、車両の市場価値が減少した場合
  • 事故歴の存在で市場価値が減少した場合

この他にも、代車使用料、登録手続関係費、休車損などを請求することができます。

修理費用を全額賠償してもらえないケース

交通事故によって車が被害を受けた場合は、修理が必要で、且つ修理費用が妥当と認められる場合のみ損害額として認定されます。つまり、事故によって修理が必要である箇所のみを妥当な金額で修理すれば、その修理費は全額賠償してもらえます。

▶︎参考:車の修理期間はどれくらい?

1.事故によって修理が必要と認められない箇所の費用

「交通事故にあってしまい、バンパーの修理が必要になった。どうせ賠償金をもらえるからと思って、バンパーだけでなくタイヤを交換し、更には塗装もしてもらった」
この場合、事故によって修理が必要であると認められるのはバンパーだけです。したがって、タイヤ交換や塗装をした費用は賠償してもらえません。

2.修理箇所は妥当だが、費用が不当に高い場合

「交通事故に遭ってしまい、バンパーの修理が必要になった。相場が約5万円の修理なのにも関わらず、賠償金をもらえると思って20万円かけて修理してもらった」
この場合、相場の5万円を超えた分である15万円は賠償してもらえません。

3.買い替えた方が、修理をするより安い場合

「交通事故前は車体時価額が30万だった車で事故に遭った。買い替える場合、諸費用は5万円かかる。思い入れのある車なので修理をしてでも乗りたいが、修理費は50万円かかる」
交通事故前の時価額30万円に買い替え費用(各税金や保険代、登録費など)5万円を足した額よりも修理費用50万円の方が高いので、事故前の時価額30万円までが賠償してもらえる範囲になります。

交通事故で車を修理する場合は、時価額に注意しましょう

いかがでしたか。

交通事故にあった場合、車の修理費で加害者側の保険会社に請求できる金額は、その車の時価額分のみです。また、交通事故による破損でない部分の修理費や、相場から大きくかけ離れた金額を賠償してもらえないこともわかりました。思い入れのある車なのに、上限付きでしか賠償金をもらえないのはすごく悲しいですよね。

時価額の算出方法はいくつか存在しますが、一番手軽にできるのは自分で相場を調べることです。同じ車種で、同程度の走行距離、同じ年式の車が中古市場にていくらで売られているか、中古車情報誌やインターネットで調べてみると良いと思います。複数の情報を収集し、それらの平均値が保険会社の提示する時価額よりも上回った場合は、自身で調べた中古販売の平均額が時価額として採用される場合もあります。
少し面倒と思ってしまう方もいるかもしれませんが、本当に思い入れある車の場合はこれも一つの手段と考えましょう。