交通事故で車が破損…修理代はいくらかかる?

2018年11月09日

交通事故にあい、車が破損してしまった場合、「どの程度修理代がかかるの?」と疑問に思われる方は多いでしょう。

車の修理代というのは、破損した部位やパーツによって変わってきます。そこで今回は、「車の修理にかかる費用の相場」や「車の修理代を誰が負担するのか」などについて解説していきます。

交通事故による車の修理代は誰が負担する?

交通事故にあい車が破損した場合、被害者は加害者に対して、車の修理代を請求することができます。ただし、加害者に請求する場合、修理代として負担してくれるのは、車の時価額分までです。

時価額というのは、事故にあった車が現在、どのくらいの価値があるのかという金額のことです。時価額を調べる場合は、レッドブックと呼ばれる本で、だいたいの時価額を調べることができます。

車の修理に使える保険は2つ

事故後に車を修理する場合、使える保険は、以下の2つ。

  • 対物賠償保険
    加害者の任意保険を使って、車の修理代を補填することができ、時価額分までの修理代を補償してくれる。
  • 車両保険
    自分の車を修理するときに、自分が加入している保険から修理代の補償を受けられる。

対物賠償保険は、任意保険の補償です。そのため、加害者が任意保険に加入していなければ、修理代の負担してもらうのは難しいでしょう。その場合は、自分の加入している車両保険の補償を受けることも可能です。

しかし、事故で車両保険を使ってしまうと、次の年の保険料が上がってしまうことがあります。したがって、自分の車両保険を使うか、使わないかの判断は慎重に行いましょう。

被害者にも過失が認められている場合は?

交通事故の被害者であったとしても、過失が認められることもあります。その場合、加害者が負担してくれる修理代は、過失割合に応じて減額されてしまいます。

過失割合とは、交通事故の当事者双方に発生した、交通事故に対する責任の割合です。過失割合の決定は、双方の保険会社が行います。基本的には、割合が多い方が加害者、少ない方が被害者となります。

▶︎参考:交通事故の過失割合について、詳しく知りたい方はこちら!

被害者にも過失割合が認められた場合は、以下のように過失分の金額が減少されます。

    例)交通事故で車が破損し、修理代は80万円。過失割合は30:70(被害者:加害者)の場合。

    80×0.3(被害者の過失割合)=24
    80-24=56

    このように、被害者の過失分が減額され、被害者に支払われる修理代は56万円となります。

上記のようなこともあるため、交通事故において過失割合は大事なものだといえます。過失割合に不満がある場合は、納得がいくまで相手と話し合うようにしましょう。

車の部位・パーツ別!修理代の相場はいくら?

交通事故で車が破損してしまったら、修理にかかる大体の費用は把握しておきたいですよね。

ここでは、修理にかかる費用の相場を、車の部位やパーツごとにご紹介します。

エンジンの修理代

車のエンジンがトラブルを起こした場合の修理代は、50~90万円となります。

エンジンが故障すると、ほとんどの場合エンジンそのものを交換しなければいけません。故障した部品のみを交換して、修理を行うということはほとんどありません。

国産車の場合、エンジン本体が30~70万円、分解・組み立てなどに10~20万円の費用がかかります。外車や、国産でも高級車の場合は、数倍の費用がかかることもあります。

エアコンの修理代

ガス漏れによってエアコンが効かなくなった場合は、ガスを補充しなければいけません。ガス補充にかかる費用は1万円程度です。しかし、交通事故によるエアコンのガス漏れは、他の部品も損傷している可能性が高いといえます。

パイプやコンプレッサなどの損傷が原因で、エアコンがガス漏れを起こしていた場合、各部分で3~5万円程度の修理費用がかかります。
ほとんどの部品が損傷していて、エアコンを完全に交換しなければいけない場合は、20万円程度で交換することができます。

ドアの修理代

ドアの修理代は、損傷の程度で大きく変わってきます。

針でひっかいたような小さな傷であれば、1,000円程度で修理することができます。カー用品店へ行くと、車の色補修ができるタッチペンが販売されているため、自分で修理することも可能です。

ガードレールや電信柱にぶつけ、ドアにへこみができた場合は、へこんだ範囲が広いほど費用も上がっていきます。小さなへこみでも2万円程度かかるといわれています。「小さなへこみで、運転にも支障はないから」と放置していると、サビの原因にもなるので、早めに修理するようにしましょう。

ドア全体がゆがみ、窓ガラスまで割れてしまった場合は、ドアを交換しなければいけません。国産自動車であれば、ドア1枚あたり10万円程度で交換することができます。外車の場合は、部品調達のための輸送費などもかかるため、10万円を超える金額になることもあります。

バンパーの修理代

5センチほどの小さなへこみの場合は、1万円程度で修理をすることが可能です。バンパーの中央まで擦ってしまったり、塗装の継ぎ目が気になる場合は、3~5万円程度でバンパーの全面を塗装し直します。

バンパーが折れてしまって、修理が不可能な場合は、バンパーを交換しなければいけません。交換にかかる費用は、部品が入手しやすいかどうかで変わってきます。目安としては、5~20万円程度かかるといわれています。

マフラーの修理代

マフラーに穴が開き、溶接で修理をする場合は1万円程度の費用がかかります。修理が不可能な場合は、マフラーごと交換することになります。マフラー本体の価格が2万円、工賃が1万円、合計3万円程度で交換できるケースがほとんどです。しかし、部品入手のしやすさによって、費用は大きく変わってくるので注意しましょう。

フレームの修理代

フレームは、車を構成する部品の中で最も重要なパーツの1つです。フレームが損傷を受けると、真っ直ぐ走行することができなくなったり、乗り続けることが不可能になるくらい、様々な不具合があらわれます。

車のフレームがゆがんでしまった場合は、板金加工で修理を行います。
フレームの板金補修は10万円程度で修理可能ですが、損傷の程度によっては、100万円程度の費用がかかってしまうこともあります。また、周囲パーツの解体や、組み立てをするための工賃が必要になる場合もあります。

事故車の修理代が変わる原因とは?

交通事故による車の修理費用が変わってくる原因は、4つ。

  • 故障箇所
  • 故障程度
  • 修理工程
  • 車両の種類

故障箇所

車の部位によって、簡単に修理ができる箇所と、修理をするのが難しい箇所があります。修理が難しい箇所を損傷してしまった場合、必然的に修理代も高くなってしまいます。バンパーが故障した場合、修理をすることが可能ですが、エンジンが故障すると、交換しなければいけなくなる場合がほとんどです。修理と交換では、交換の費用が高くなってしまうでしょう。

故障程度

同じ部位でも、損傷の程度によって修理代は大きく変わってきます。小さなかすり傷や、ひっかき傷程度ならば、数千円で修理できる場合がほとんどです。しかし、大きな傷がついたりへこみが深い場合は、数十万円の修理代がかかってしまう場合もあります。

修理工程

車の傷を修理する際、パーツを交換するか、板金で修理を行うかによって、修理代は大きく変わってきます。修理ではなく交換をした場合、倍以上の金額がかかることもあるようです。修理の見積もりを出してもらう際は、「この工程で修理を行うと、これくらいの費用がかかる」ということをしっかりと確認しておきましょう。

車両の種類

車種によっても、修理にかかる費用は大きく変わってきます。外車と国産車の修理代を比べた場合、国産車よりも外車にかかる修理代の方が大きくなるといえるでしょう。なぜなら、故障した部位のパーツを取り寄せるための労力と費用が発生するからです。国産車の場合でも、一般車と高級車では使用している塗料やパーツが異なるため、高級車の修理代が高くなるといえます。

車の修理が不可能な場合はどうなるの?

車の修理が不可能な場合は、その車は「全損」となります。

全損とは、交通事故にあった車が完全に破壊され、修理が不可能な状態のことをいいます。また、修理をするよりも同じ型・年代の中古車に買い替えた方が、費用を安く抑えることができる場合も、全損扱いとなります。

全損になった場合、被害者は加害者に対して損害賠償を請求することも可能です。例えば、車両の買い替えにかかる費用、登録手続き関係費、休車損害、代車使用料といった費用です。全損になったからといって諦めず、加害者に損害賠償を請求するようにしましょう。

▶︎参考:事故後、車が全損した場合に被害者が加害者に請求できる損害賠償について詳しく知りたい方はこちら

事故車の修理代についてまとめ

交通事故で車が破損すると、被害者は加害者に対して、修理代を請求することができます。

被害者に過失がない場合は、修理代として時価額分の全額を請求することが可能です。しかし、被害者にも過失がある場合は、過失分の補償は行われません。

また、故障箇所や故障程度などによって、修理にかかる費用は大きく変わってきます。どれくらいの修理代がかかるのか、把握しておくとよいでしょう。