交通事故で脳みそに損傷を受けたら?あらわれる症状や後遺症を解説!

2019年02月01日

交通事故で大きな衝撃を受けると、脳を損傷してしまうことがあります。脳に損傷を受けたとき、どんな症状があらわれ、後遺症が残ったらどうしようと不安にりますよね。

そこで今回は、交通事故で脳みそが損傷したらあらわれる怪我について説明していきます。

交通事故で脳みそが損傷したらあらわれる怪我


交通事故にあい、脳みそが損傷してしまうと「脳挫傷」になることがあります。

脳挫傷とは?

脳挫傷とは、交通事故や転倒などで頭部に強い衝撃を受け、脳に損傷が起こった状態のことをいいます。

脳挫傷であらわれる症状は、以下の通り。

  • 激しいめまいや頭痛
  • 吐き気
  • 手や足など半身の麻痺
  • 感覚障害
  • 言語障害
  • けいれん発作
  • 意識障害
  • 視覚障害         など

脳挫傷の治療方法

脳挫傷は、怪我を負ってすぐの「急性期」と病状が安定し始めた「回復期」によって治療方法が異なります。

急性期における脳挫傷の治療内容

急性期の場合、以下のような治療を行います。

  • 呼吸や血圧など全身状態の管理
  • 脳の中にできた血腫を取り除く手術
  • 高くなった脳の中の圧を下げる手術    など

また、脳挫傷で意識が戻らない状態であれば、体を動かさないことで起こる機能障害を防ぐためにベットの上で手足をさすり、感覚刺激を与えます。

回復期における脳挫傷の治療内容

回復期は、日常生活や社会生活を送る上で支障をきたしてしまう運動麻痺や感覚麻痺、言語障害などを回復させるためのリハビリを行います。

具体的には、作業療法理学療法言語聴覚療法などから、症状に合ったリハビリ行うことになります。

交通事故時に脳みそが損傷すると後遺症が残る?

交通事故時に脳みそが損傷した場合、後遺症が残る可能性もあります。

脳みそが損傷した場合に残る後遺症としては、以下のようなものがあります。

  • ①高次脳機能障害
  • ②遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)
  • ③外傷性てんかん

①高次脳機能障害

高次脳機能障害は、脳挫傷の後遺症で最も多くみられる後遺症です。脳が損傷したことにより、言語や記憶に関する知的障害があらわれます。

高次脳機能障害でできなくなる行為の一例

  • 感情をコントロールする
  • 計画を立てる
  • 集中する
  • 作業の反復と継続     など

上記のように、高次脳機能障害になると、生きる上で必要な脳の機能に障害があらわれます。そのため、社会に復帰することが難しくなってしまいます。

②遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)

遷延性意識障害は、交通事故の衝撃で脳の大脳部分が損傷したり、壊死(えし)してしまい、昏睡状態が続きます。

意識がない状態で、しゃべることや身体を動かすこともできなくなってしまうので、植物状態とも呼ばれます。

③外傷性てんかん

そもそも「てんかん」とは、脳がけいれん発作を繰り返す慢性の脳疾患のことです。交通事故により頭部を負傷した後に発症するため、外傷性てんかんと呼ばれます。

交通事故で頭部に衝撃を受けてから数ヶ月後に、けいれんが連続して起こったり、突然意識を失ったり、記憶が飛ぶといった症状があらわれます。

交通事故で後遺症が残ったらどうすべき?


先程述べた、高次脳機能障害・遷延性意識障害・外傷性てんかんのような後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を申請しましょう。

後遺障害等級認定を申請する

後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級に認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料逸失利益を受け取ることができます。

それぞれの後遺症において、認定されるかもしれない後遺障害の等級

  • 高次脳機能障害:1級、2級、3級、5級、7級、9級
  • 遷延性意識障害:1級
  • 外傷性てんかん:5級、7級、9級、12級

後遺障害等級認定で後遺障害の等級が認定されるには、以下で提示する5つの条件を満たしていなければなりません。

  • ①医療機関へ定期的に通院していること
  • ②交通事故の状況と被害者が申告する症状の程度が一致していること
  • ③交通事故当初から、被害者の訴える症状が続いており、一貫性があること
  • ④後遺症が医学的に(画像診断や検査結果など)証明できること
  • ⑤症状が重く、日常的に症状が続いていること

後遺障害等級認定の申請手続き

後遺障害等級認定を申請する場合、「事前認定」または「被害者請求」で申請します。

  • 事前認定:加害者側の保険会社に後遺障害等級認定の申請手続きを全て任せる方法。
  • 被害者請求:後遺障害等級認定に必要な書類を自分で集め、保険会社に直接申請する方法。

▶︎参考:後遺障害等級認定で被害者請求を行うべき理由とは?

【必読!】交通事故時に役立つ応急処置の仕方

交通事故が起きたときに応急処置を知っていれば、怪我人を助けることができるかもしれません。いつ起こるかわからない交通事故に備えて、応急処置の仕方を会得しておきましょう。

今回ご紹介する応急処置は、以下の2つです。

  • ①心肺蘇生(人工呼吸と心臓マッサージ)
  • ②止血方法

①心肺蘇生(人工呼吸と心臓マッサージ)

人工呼吸と心臓マッサージは、交通事故によって怪我を負った人の呼吸が止まり、心臓も動いていない場合に行うものです。そのため、人工呼吸と心臓マッサージを行う前に、呼吸や心臓の動きを観察してから行うようにしましょう。心肺蘇生において、人工呼吸と心臓マッサージを行う手順は、以下の通り。

  • ①負傷者の反応を確認する
  • ②大声で叫んで助けを呼び、119番通報をしてAEDを手配する
  • ③気道を確保し、呼吸を確認する
  • ④人工呼吸を2回行う
  • ⑤心臓マッサージを行う
  • ⑥心臓マッサージ30回と人工呼吸2回を繰り返す
  • ⑦AEDを使用して「除細動」を行う

上記の手順について、詳しく解説していきます。

①負傷者の反応を確認する

1 負傷者の反応を確認する
●負傷者を発見したときは、周囲を見回して安全を確認し
たうえで、負傷者の肩をやさしくたたきながら大声で呼
びかけます。
●目を開ける、何らかの返答がある、痛みで体を動かすな
どのしぐさが認められないときは「反応なし」とみなし
ます。なお、心臓停止直後には引きつるような動き(け
いれん)が起こることもありますが、けいれんしか見ら
れない場合も、「反応なし」として対応します。

交通事故におけるドライバーの責任と応急救護処置(PDF)

②大声で叫んで助けを呼び、119番通報をしてAEDを手配する

2 大声で叫んで助けを呼び、
119番通報をしてAEDを手配する

●負傷者に反応がない場合は、「誰かきてください!」など
と大声で叫んで助けを呼び、119番に通報します。また、
近くにAEDがあるときは、それを持ってくるように頼み
ます。
●大声で叫んでも誰もこない場合、手元に電話がないとき
は、負傷者のそばを離れてでも119番通報し、近くにAED
があることがわかっていれば、自分で取りに行きます。

交通事故におけるドライバーの責任と応急救護処置(PDF)

③気道を確保し、呼吸を確認する

3 気道を確保し、呼吸を確認する

●負傷者をあお向けに寝かせ、片手で負傷者のひたいを押
さえながら、もう一方の手の指先をあごの先端にあてて
持ち上げ、のどの奥を広げます。
●気道を確保したら、顔を負傷者の口元に近づけ、胸の動
きや息の有無を観察します。5~10秒間観察してみて、
普段通りの息(正常な呼吸)がなければ、「心肺停止」と判
断し、「心肺蘇生」を開始します。
●反応はないが普段通りの息がある場合は、負傷者を注意
深く観察しながら、救急車の到着を待ちます。

交通事故におけるドライバーの責任と応急救護処置(PDF)

④人工呼吸を2回行う

4 人工呼吸を2回行う

●負傷者の気道を確保したまま、口を大きく開いて負傷者
の口をおおって密着させ、ゆっくりと息を吹き込みます。
この際、吹き込んだ息が負傷者の鼻から漏れ出さないよ
うに、ひたいを押さえているほうの手の指で負傷者の鼻
をつまんでおきます。

交通事故におけるドライバーの責任と応急救護処置(PDF)

⑤心臓マッサージを行う

5 心臓マッサージを行う

●2回の人工呼吸が終わったら、直ちに心臓マッ
サージを開始します。胸の真ん中に一方の手の
ひらの基部(手掌基部)をあて、その手の上にも
う一方の手を重ねて置きます。
●垂直に体重が加わるように両ひじを真っすぐに
伸ばし、肩が圧迫部位の真上になるような姿勢
をとり、圧迫を繰り返します。

交通事故におけるドライバーの責任と応急救護処置(PDF)

⑥心臓マッサージ30回と人工呼吸2回を繰り返す

6 心臓マッサージ30回と人工呼吸2回を繰り返す

●心臓マッサージを30回続けたら、その後は人工呼吸を2回
行います。この心臓マッサージ30回と人工呼吸2回の組み
合わせを絶え間なく続けます。
●特に疲れてくると圧迫が弱くなったり、テンポが遅くなった
りしがちですので、もし他に手伝ってくれる人がいる場合は、
2分を目安に交代します。

交通事故におけるドライバーの責任と応急救護処置(PDF)

⑦AEDを使用して「除細動」を行う

7 AEDを使用して「除細動」を行う

●AEDはコンピュータ作動によって、自動的に心電図を解
析して「除細動」が必要かどうかを決定し、電気ショック
を音声メッセージで指示するため、簡単・確実に操作す
ることができます。

交通事故におけるドライバーの責任と応急救護処置(PDF)

※心肺蘇生はいつまで続けるべきか?

【心肺蘇生はいつまで続けるか】

●負傷者が動き出す、うめき声を出す、
普段通りの息を始めるまで
●AEDを装着するまで
●救急隊などに引き継ぐまで

交通事故におけるドライバーの責任と応急救護処置(PDF)

②止血方法

交通事故で怪我をした人が出血している場合もあるでしょう。その場合、止血を行う必要があります。

止血方法は、以下のような2通りの方法があります。

  • ①直接圧迫止血
  • ②間接圧迫止血

①直接圧迫止血

傷口に直接ハンカチ・タオルを当てて押さえる方法です。高い位置に持ち上げて止血すると、より効果的です。

もしものときに備えた交通事故直後の応急処置と対処方法

②間接圧迫止血

傷口の上にある動脈を圧迫し、止血を助ける方法です。出血を一時的にコントロールすることができます。

もしものときに備えた交通事故直後の応急処置と対処方法

※止血をする際の注意点

なお、止血の際は感染防止の為直接血液に触れないよう、グローブやビニール手袋などを装着して行いましょう。

もしものときに備えた交通事故直後の応急処置と対処方法

脳に関わる交通事故の怪我についてのまとめ

いかがでしたか。交通事故で脳を損傷した場合、脳挫傷になる可能性があります。脳挫傷は、後遺症として「高次脳機能障害・遷延性意識障害・外傷性てんかん」が残る場合もあります。

後遺症が残った場合は、後遺障害慰謝料逸失利益を受け取れるよう、後遺障害等級認定を申請するようにしましょう。