交通事故で入院した場合、加害者に請求できる損害賠償について

2019年02月04日

車で妻と県外のショッピングモールに行くことになった。目的地に向かう途中、高速道路を走行していると、反対車線の車が中央分離帯を越え、自分が運転していた車とぶつかった。事故で頭をぶつけたが、エアバッグのおかげで衝撃を吸収することができ、首筋の痛みがある程度だった。

事故後に病院で診察を受けた。むちうちと診断されたが、頭をぶつけたこともあり、一日入院して様子を見ることになった。

「交通事故で入院することになったけど、加害者はどこまで負担してくれるのだろうか。」

このような疑問ありませんか?今回の記事では、

  • 交通事故でよくみられる怪我
  • 交通事故の場合どこに入院するのか
  • 交通事故の加害者に請求できる費用
  • 交通事故の加害者に損害賠償を請求する方法

について説明していきます。

交通事故であらわれる怪我

交通事故でよくみられる怪我は、以下の3つです。

  • 打撲
  • むちうち
  • 骨折

打撲

打撲は、外部から強い衝撃が加わり、筋肉や神経、血管などの組織が損傷した状態のことをいいます。

打撲には以下の2種類のものがあります。

  • 筋膜外血腫(きんまくがいけっしゅ):交通事故の衝撃で筋肉の膜が破れ、血液が流れ出る症状。
  • 筋膜内血腫(きんまくないけっしゅ):筋肉の膜が破れないまま、交通事故の衝撃で血液が筋膜内に溜まる症状。

打撲の場合、内出血が起こったり、痛みや腫れなどの症状があらわれます。治療期間は、1ヶ月程度になります。

むちうち

むちうちは、交通事故の衝撃で首が鞭のようにしなり、首周辺の筋肉や靱帯などが損傷することであらわれます。むちうちの症状はさまざまで、大きく分けて5つに分類できます。

  • 頚椎捻挫型:首や肩、背中の凝りなど
  • バレー・リュー症候群:めまいや耳鳴り、頭痛、吐き気など
  • 神経根症状型:首の痛みや倦怠感、後頭部の痛み、顔面の痛みなど
  • 脊髄症状型:歩行障害や知覚障害、脚部のしびれなど
  • 脳髄液減少症:聴力障害や視力障害、全身の痛み、自立神経症など

むちうちの治療期間は、症状の程度によって異なるため、だいたい3ヶ月と覚えておきましょう。

▶︎参考:交通事故のむちうちについてより詳しく知りたい方はこちら

骨折

骨折は、交通事故の衝撃によって身体の骨が折れてしまうことをいいます。3つの例を挙げをて詳しく説明していきます。

  • 肋骨を骨折した場合
  • ろく軟骨を骨折した場合
  • 骨盤を骨折した場合

肋骨を骨折した場合

肋骨とは、肺のまわりを囲っている骨です。あばら骨ともいわれ、とても衝撃に弱く骨折しやすい骨です。交通事故の場合、「ハンドルやエアバックに胸部を打ちつけたとき」や「バイクで転倒したとき」に骨折するケースがよくみられます。

1本の肋骨が折れたとしても、複数の骨が互いに支え合っているため、他の部位を骨折したときよりも痛みは少ないです。ただし、複数の肋骨が骨折した場合や骨折した肋骨が内臓に刺さった場合は、激しい痛みがを伴うことがあります。

ろく軟骨を骨折した場合

ろく軟骨とは、胸の中心部にある肋骨と胸骨をつないでいる軟骨で、身体をスムーズに動かすという重要な役割を担っています。

ろく軟骨も肋骨と同様で、とても衝撃に弱いです。交通事故の場合、「胸部が車両と接触したとき」や「転倒して地面に胸部を打ちつけたとき」に骨折するケースがよくみられます。

ろく軟骨の骨折では、骨折部分に激しい痛みがあらわれます。また、身体をスムーズに動かす役割を担っているろく軟骨を骨折すると、痛みにより胸部をねじったり曲げたりすることができません。そのため、日常生活に大きな支障が出てしまいます。

骨盤を骨折した場合

骨盤とは、体の中心にある骨で、上半身と下半身をつなぐ役割を果たしています。その他にも、内臓や生殖器などを保護する役割や上半身を支える基盤となる役割を担っています。

骨盤の骨折は、外部から強い衝撃を受けたときに生じることが多いです。そのため、交通事故の場合、「骨盤付近が車両と接触した」や「交通事故の衝撃で転倒しガードレールに骨盤をぶつけた」などの原因で骨折してしまうケースがよくみられます。

交通事故で入院する場合

交通事故で怪我をしたとき、「整形外科」や「総合病院」に入院する場合があります。整形外科や総合病院には、入院患者用のベッドがあるため入院することが可能です。

整形外科・総合病院の治療とは

整形外科や総合病院で行う治療は、手術やMRI・レントゲンなどの検査、痛み止めや湿布の処方などを行います。

また、整形外科や総合病院は、国家資格の一つである医師免許を持つ医師がいます。医師が書いた診断書は、保険会社に提出するものです。保険会社に診断書を提出することで、加害者に損害賠償を請求することができます。

退院後の通院先は以下の2つ

退院後は、怪我の症状が緩和するまでは通院することになるでしょう。退院後の通院先は、整形外科や病院だけではなく、「整骨院」「鍼灸院」で施術を受けることもできます。

▶︎参考:交通事故の転院する方法についてはこちら

整骨院の施術
整骨院は、柔道整復師(※1)による施術が受けられます。施術内容は、手技やマッサージ、電気療法、牽引などです。

※1 柔道整復師とは、国家資格を持つ人のことで、手術や薬を使わずに症状を緩和することができます。

鍼灸院の施術
鍼灸院は、はり師と灸師による施術が受けられます。はりと灸による施術で、身体に刺激を与えて、痛みを抑えたり、自然治癒力を高めたりすることができます。

交通事故の加害者に損害賠償を請求する

交通事故の被害者は、加害者に損害賠償を請求することができます。損害賠償とは、交通事故の損害を負った人に対して、金銭で補填することをいいます。

交通事故の加害者に請求できる損害賠償

交通事故で入院した場合、請求できる損害賠償は入院費だけではありません。そもそも損害賠償は、「積極損害・消極損害・慰謝料」の3つに分類できます。以下で詳しく説明していきます。

積極損害

積極損害とは、交通事故が原因で被害者の出費を余儀なくされた損害のこと。

例えば

  • 治療費
  • 診察費
  • 通院交通費
  • 看護付添費
  • 器具や装具の購入費    など

消極損害

消極損害は、交通事故にあわなければ得られたであろう利益に対する損害のこと。

  • 休業損害:交通事故が原因で仕事を休んだときの減収分を補うもの。
  • 逸失利益:後遺障害が残ったことで労働能力が低下してしまい、減収してしまった収入を補うもの。

慰謝料

慰謝料とは、交通事故の被害者が負った精神的苦痛の対価として支払われるものです。

  • 入通院慰謝料:入通院により、精神的苦痛を負ったことに対して支払われるもの。
  • 後遺障害慰謝料:後遺障害が残り、精神的苦痛を負ったことに対して支払われるもの。

交通事故の加害者に損害賠償を請求する方法

交通事故の加害者から損害賠償を受け取るには、どのような手続きを行う必要があるのでしょうか。

損害賠償の請求方法は、以下の2つ。

  • 加害者請求
  • 被害者請求

加害者請求

加害者請求では、先に加害者が被害者に対して損害賠償金を支払い、自分が加入している保険会社に保険金を請求します。

▶︎参考:加害者請求の手続きについて詳しく知りたい方はこちら

被害者請求

被害者請求は、加害者側から賠償が受けられないときに、加害者が加入している保険会社に被害者が直接、損害賠償を請求する方法です。
▶︎参考:被害者請求の手続きについて詳しく知りたい方はこちら

【参考】損害賠償を請求するときに必要な書類一覧

損害賠償を請求するときに必要な書類を以下にまとめました。

  • 保険金・損害賠償額・仮渡金支払請求書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 医師の診断書
  • 診療報酬明細書
  • 通院交通費明細書
  • 印鑑証明書        など

また、必要に応じて、添看護自認書・休業損害証明書・レントゲン写真・後遺障害診断書などを提出します。

交通事故の入院についてのまとめ

いかがでしたか。今回の記事をまとめると

  • 交通事故で入院した場合、積極損害・消極損害・慰謝料を請求することができる。
  • 交通事故で怪我を負った場合、整形外科や総合病院に入院することになる。
  • 退院後は、整骨院や鍼灸院に通院することも可能。
  • 交通事故の加害者に損害賠償を請求する場合、加害者請求や被害者請求で行う。

交通事故の入院に関してわからないことがあれば、この記事を参考にしてくださいね。