【交通事故の処理】人身と物損の違いって?軽い怪我でも要注意!

2019年02月04日

交通事故で怪我を負った被害者は、軽傷だったとしても人身で処理することが大切です。人身と物損では、被害者が受けられる賠償が大きく異なります。

そこで今回は、交通事故の人身と物損の違いについて解説していきます。

交通事故の人身と物損における定義の違いとは?

交通事故にあった場合、警察を呼び、事故処理を行います。事故処理を行う場合、人身または物損のどちらかに分類されますが、どのように判断すればよいのでしょうか。

事故後に怪我人がいる場合は、人身で処理します。そして、事故後に怪我人がおらず、モノのみが壊れている場合は、物損で処理します。

このことから、人身または物損の判断基準は、「怪我人がいるか・いないか」ということがわかります。例え軽い怪我だったとしても、負傷していることに変わりはないため、怪我人として判断してよいです。したがって、打撲やむちうちでも人身で処理することができます。

人身と物損では受け取れる賠償金にも違いが…

物損と人身では、定義の違いの他にも、被害者が受け取れる賠償金も異なります。

交通事故を起こした加害者は、民事処分を受けるため、被害者に対して賠償金を支払わなければなりません。被害者に対して支払われる賠償金が、人身と物損でどのように違うのか、以下の表にまとめました。

人身の場合
積極損害 手術費
治療費
器具や装具などの購入費
通院交通費
付添看護費          など
消極損害 休業損害
逸失利益
慰謝料 入通院慰謝料
後遺障害慰謝料
死亡慰謝料
物損の場合
壊れたモノに対して支払われる賠償のみ

上記の表から、物損で処理した場合、被害者は治療費や休業損害、慰謝料などの賠償金が受け取れず、壊れたモノに対する賠償金しか受け取れません。

その理由としては、物損が自賠責保険の保障の対象ではないからです。

物損は自賠責保険の保障の範囲外!

そもそも自賠責保険とは、車を所有し、運転する人に対して加入が義務づけられている保険で、強制保険とも呼ばれています。もしも自賠責保険に未加入だった運転者には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

自賠責保険では、交通事故の被害者を救済することを目的に、最低限の保障を行ってくれます。しかし、この保障は人身のみが対象の対人賠償となっています。

したがって、物損のままでは自賠責保険の保障の範囲外となってしまい、被害者は治療費や休業損害、慰謝料などを受け取ることができないのです。

物損から人身への切り替え手続きについて

交通事故による怪我は、以下のような理由で、後日あらわれることもあります。

近藤先生:
「交通事故直後は混乱してしまい、体が興奮状態になるため、痛みに気づきにくくなっています。そのため、怪我の症状がすぐに出てこず、興奮が冷めてから痛みや倦怠感などがあらわれるのです。」

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このように事故直後ではなく、数日経って痛みがあらわれた場合、物損から人身へ切り替えるようにしましょう。一度、物損で処理していても、人身への切り替えは可能です。

物損から人身への切り替えを行う場合は、以下の手続きを行います。

  • 病院で診断書を取得する
  • 事前に警察へ連絡を入れる
  • 管轄の警察署へ行き、手続きを行う

物損から人身へ切り替える際には、交通事故が原因の怪我であると書かれている診断書が必要になります。また、直接警察へ行くのではなく、事前に警察へ「人身への切り替えを行いたい」ということを電話で伝えるようにしてください。

また、物損から人身へ切り替える手続きは、事故日から10日以内に行うようにしましょう。交通事故が発生してから時間が空いてしまうと、怪我と事故との因果関係が疑われてしまいます。したがって、なるべく早く手続きを行うことが大事です。

人身へ切り替えられないときの対処法

人身への切り替えは、必ず認められるという訳ではありません。その場合は、「人身事故証明書入手不能理由書」を加害者側の保険会社に提出しましょう。

人身事故証明書入手不能理由書とは、「人身」と記載されてある交通事故証明書が取得できなかったことを説明する書類です。各保険会社によって書式が異なるため、保険会社に連絡し、書類を取り寄せる必要があります。

人身事故証明書入手不能理由書を提出すれば、被害者は人身の場合に請求できる賠償金を受け取ることができます。

人身と物損の違いについてのまとめ

いかがでしたか。交通事故は、人身と物損の2つに分類することができます。事故後に怪我人がいる場合は人身、事故後に怪我人がおらずモノのみが壊れている場合は物損で処理されます。

ただし、人身と物損では被害者が加害者から得られる賠償金が異なります。したがって、人身と物損のどちらで処理するかが、被害者にとって重要になるのです。