交通事故で打撲を負ったら慰謝料はいくら?計算方法をご紹介!
交通事故で打撲の怪我を負った場合、「怪我が軽症だから、慰謝料を受け取れないのでは?」と思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、打撲でも怪我の治療を受けた場合は慰謝料を請求することができます。
そこで今回は、交通事故で打撲を負った場合に受け取れる、慰謝料の相場について解説していきます。
交通事故で打撲を負うこともある
交通事故で車と衝突した際に、ダッシュボードや窓などに体をぶつけることで、打撲を負うともあります。
打撲の場合、皮膚に傷口ができるわけではなく、痣(あざ)が生じ、腫れや痛みがあらわれます。このような症状があらわれるのは、交通事故の衝撃で皮下組織や筋肉などが損傷し、微小な血管が破壊されるためです。
打撲の治療をせずに放置するのは危険!
打撲は、皮下組織が損傷した状態であるため、外からみた場合に大した怪我ではないと判断してしまう方も多いです。しかし、治療をせずに放置してしまうと、痛みや腫れが悪化したり、慢性化してしまう恐れがあります。したがって、交通事故で打撲を負った場合は、しっかりと治療を受けることが大切です。
打撲は、痛みのある部分を冷却したり、圧迫するといった治療が行われます。しかし、痛みが強い場合は、痛み止めや湿布などの投薬治療を行うこともあります。このような治療を行うことで、打撲は約1ヶ月程度を目安に、症状が緩和されます。ただし、症状が重い場合は、症状の緩和に1ヶ月以上かかることもあります。
打撲でも慰謝料を受け取れる?
打撲は、交通事故で負う怪我の中でも、比較的軽症な部類に入ります。しかし、軽症だった場合でも、被害者は慰謝料を受け取ることができます。
打撲を負って治療を受けると、入通院慰謝料というものが発生します。入通院慰謝料は、交通事故による怪我を負い、入通院したことによる精神的苦痛の対価として支払われるものです。
慰謝料は計算で割り出せる!
交通事故の被害者に支払われる入通院慰謝料は、計算によって割り出すことができます。入通院慰謝料を計算する場合、以下のような3つの基準があり、状況に合わせて使い分けることになります。
- 自賠責基準
自賠責保険を使って慰謝料を計算する際の基準のこと。自賠責基準を使った場合、最も低い慰謝料額になる。 - 任意保険基準
任意保険会社が慰謝料を計算する際に使う基準のこと。任意保険基準を使った場合、自賠責保険よりも高く、弁護士基準よりも低い慰謝料額になる。 - 弁護士基準
過去の交通事故裁判の事例から導き出された慰謝料の算定基準のこと。弁護士基準を使った場合、最も高い慰謝料額になる。
上記の3つの基準うち、任意保険基準や弁護士基準は、計算方法が明確に決まっているものではありません。
任意保険基準は、各保険会社で独自の算定方式があるため、慰謝料の計算時にバラつきが出ます。弁護士基準は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤本)」で公開されています。ただし、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤本)」は毎年改訂版が発行されるため、毎年変動する可能性があります。
そこで今回は、計算式が明確に定められている自賠責基準を使った計算方法をご紹介します。
自賠責基準を使った慰謝料の計算
自賠責基準では、交通事故の被害者に支払われる1日あたりの慰謝料額が、4200円と定められています。そのため、入通院慰謝料の計算式は、以下のようになっています。
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4200円 × 「 ①(入院期間 + 実通院日数 )× 2」または「②入院期間 + 通院期間」(※1)
※1 ①と②を計算して、数字が小さい方を使う。
①(入院期間 + 実通院日数 )× 2
この計算式における実通院日数とは、実際に通院をした日数のことを指します。
②入院期間 + 通院期間
この計算式における通院期間とは、通院を開始した日から治療が終了した日または、症状固定と診断を受けた日のことを指します。症状固定とは、治療を行っても、これ以上の症状緩和がみられない状態のことです。
では、上記の計算式を参考に、入通院慰謝料を計算してみましょう。
打撲の場合の入通院慰謝料を計算してみよう!
交通事故で打撲を負った場合、治療期間の目安は1ヶ月です。したがって、今回は入院期間なし、通院期間 1ヶ月( = 30日)、通院日数 8日と仮定して計算をします。
まずは、「 ①(入院期間 + 実通院日数 )× 2」と「②入院期間 + 通院期間」を計算します。
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①(入院期間 + 実通院日数 )× 2 = (0 + 8)× 2 = 16
②入院期間 + 通院期間 = 0+30 = 30
上記の計算結果を比較すると16 < 30となり、数字が小さい①の計算結果(=16)を使うことになります。次に、この数値を自賠責基準の計算式に当てはめます。
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4200円 ×「 ①(入院期間 + 実通院日数 )× 2」= 4200 × 16 = 67,200円
上記のことから、入通院慰謝料の金額は、6万7200円となります。
慰謝料を受け取るには手続きが必要!
交通事故の被害者が入通院慰謝料を受け取るには、加害者側の保険会社に入通院慰謝料の請求手続きを行う必要があります。入通院慰謝料の請求手続き方法は、以下の2通りあります。
- 加害者請求
- 被害者請求
加害者請求
加害者請求の場合、先に加害者が被害者に対して、入通院慰謝料(その他損害賠償も含む)を支払います。その後で、加害者が保険金を保険会社に請求するといった流れになります。
被害者請求
被害者請求は、加害者が加入している保険会社に、入通院慰謝料(その他損害賠償も含む)を直接請求する方法です。
被害者請求を行う場合は、以下のような書類が必要になります。
- 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書
- 人身事故の交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 医師の診断書
- 診療報酬明細書
- 通院交通費明細書
- 印鑑証明書(受領者が請求者本人であることを証明するため)
場合によっては、上記以外にも必要な書類があります。例えば、仕事を休んだ場合は「休業損害証明書」、入通院で付添看護をしてもらった場合は「付添看護自認書」といった書類が必要になります。
入通院慰謝料の請求には時効がある
入通院慰謝料の請求には、請求期限が決まっています。この請求期限を過ぎてしまうと、入通院慰謝料を請求できなくなってしまいます。
また、入通院慰謝料の請求期限は、加害者請求と被害者請求で、以下のように異なるので注意しましょう。
- 加害者請求:損害賠償の支払い日から3年以内
- 被害者請求:事故発生日から3年以内
交通事故による打撲の慰謝料についてのまとめ
交通事故で打撲の怪我を負い、治療を受けた場合、入通院慰謝料を受け取ることができます。慰謝料は「自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準」のうち、どれか1つの基準を使って計算していきます。
自賠責基準の場合、以下のように計算式が明確に決められているため、被害者が受け取れる入通院慰謝料を計算することも可能です。
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4200円 × 「 ①(入院期間 + 実通院日数 )× 2」または「②入院期間 + 通院期間」
この記事を参考に、自身が受け取れる損害賠償額を計算してみてはいかがでしょうか。