交通事故の人身!示談金の内訳や相場について解説
交通事故の被害者は、相手側の保険会社との示談が成立することによって、示談金の支払いを受けることができます。それでは、交通事故の示談金にはどのようなものが含まれているのでしょうか。また、示談金に相場があるのならば、あらかじめ把握しておきたいですよね。
今回は、交通事故の被害者が受け取れる示談金の内容や相場について、詳しく解説していきます。
示談とは
交通事故における示談とは、事故の当事者双方が損害賠償について話し合いを行い、お互いが納得して和解することをいいます。
示談を行うタイミングは、怪我が完治した後または後遺障害等級認定の結果が分かった後です。
示談金に含まれる内容
示談交渉を行い示談が成立すると、被害者は示談金を受け取ることができます。示談金の内容は、交通事故によって怪我人や死亡者が発生する人身事故と、死傷者が出ず車や公共物などのモノのみが破損する物損事故とで異なります。
今回は、人身事故の被害者に支払われる示談金の内容について、ご紹介していきます。
積極損害
人身事故によって怪我を負ってしまった場合、被害者は治療をしなければいけません。治療をするには治療費が発生しますし、通院先までの交通費もかかります。また、怪我が重症の場合は入院をしなければいけなかったり、手術を行うこともあるでしょう。
このように、交通事故にあったことによって出費を余儀なくされた場合は、積極損害にて補われます。
積極損害では、主に以下のような費用を請求することができます。
- 治療費・診察費
- 通院交通費
- 入院雑費
- 入院費
- 手術費
- 装具や器具等の購入費 など
消極損害
消極損害とは、交通事故によって被害者が本来得られるはずであった収入や利益が、失われてしまった場合に発生する損害です。
消極損害は、「休業損害」と「逸失利益」の2つに分けられています。
- 休業損害
- 逸失利益
交通事故の怪我による入通院で仕事を休み、収入が減少した場合の減収分が補われます。
交通事故の後遺障害が原因で労働能力が低下し、本来受け取れるはずであった将来の利益が減少した場合の、損失分が補われます。
慰謝料
慰謝料とは、交通事故によって被害者が負った精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。人身事故の慰謝料は、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つに分けられています。
入通院慰謝料
交通事故で怪我を負ってしまった場合、被害者は治療を受けるために入院または通院をしなければいけません。入通院の際、「交通事故にあわなければ入院することもなかったのに」「わざわざ通院するのが面倒…」と不満に思うこともあるでしょう。交通事故の被害者は怪我による肉体的苦痛の他に、精神的苦痛も負わなければいけません。
このように、交通事故の怪我で入通院をした際に、被害者が負った精神的苦痛は、入通院慰謝料によって補われます。
後遺障害慰謝料
交通事故の怪我が後遺障害になってしまった場合、後遺障害等級認定を受けることで、後遺障害慰謝料を請求することができます。
後遺障害慰謝料は、1級から14級まである後遺障害等級に応じて金額が異なります。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、人身事故によって被害者が死亡してしまった場合に、被害者本人と親族に対して支払われる慰謝料です。
被害者本人は死亡慰謝料を受け取ることができないため、相続人にまとめて支払われます。
慰謝料を計算する際の3つの基準
人身事故の慰謝料を計算する際は、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの基準が使われます。
それぞれの基準によって、被害者に支払われる慰謝料の金額は異なり、以下のような順番になります。
弁護士基準 > 任意保険基準 >自賠責基準
それでは、3つの基準にはどのような違いがあるのか、具体的に見ていきましょう。
自賠責基準
自賠責基準は、車を所有する全ての人に加入が義務付けられている、「自賠責保険」を基準に計算されたものです。自賠責保険は人身事故のみに適用され、事故で被害を受けた人の損害を、最低限補うことを目的としています。
自賠責保険が適用されると、通院1日につき4200円の慰謝料が発生します。また、損害賠償の限度額は120万円までとされています。
自賠責基準で入通院慰謝料を計算する際は、まず以下2つの計算を行います。
- ① 治療期間 = 入院期間 + 通院期間
- ② 実通院日数 = (入院期間 + 実通院日数) ×2
そして、①と②の計算結果が少ない方に4200円を掛けた金額が、自賠責基準による入通院慰謝料の相場となります。
任意保険基準
任意保険基準は、車の所有者が任意で加入する「任意保険」を基準にしたものです。任意保険は、自賠責保険の限度額を超えた場合に、不足分を補う役目をしています。
任意保険基準は各保険会社によって慰謝料の金額が異なり、詳細については公表されていません。
弁護士基準
弁護士基準は、交通事故における過去の判例を参考に計算されています。交通事故に関する相談や示談交渉を弁護士に依頼することで、弁護士基準での慰謝料を請求することができます。
示談金の相場はどれくらい?
これまで、人身事故の被害者に支払われる損害賠償の内容や、慰謝料の計算基準について説明してきました。示談金を受け取ることができるのは、相手側との示談が成立した後です。
一度成立した示談は、原則としてやり直しすることができません。したがって、「あらかじめ示談金の相場を把握しておき、不利益がないようにしたい」と思う方も多いのではないでしょうか。
示談金に相場はない
しかし、示談金には明確な相場がありません。なぜなら、治療にかかる日数や仕事を休む期間は人によってそれぞれ異なるためです。
示談金そのものに相場はありませんが、先ほどご紹介した方法で、慰謝料の相場は知ることができます。おおよその示談金を把握するには、診療明細書の確認や、慰謝料の相場を計算してみるとよいでしょう。
示談交渉が不安な場合は弁護士に相談
示談交渉は、基本的に被害者本人と相手側の保険会社とで行われるため、慣れないやり取りに不安を感じる方も多いでしょう。そのような場合は、弁護士に示談交渉を依頼するとよいでしょう。弁護士が被害者に代わって、相手側の保険会社とやり取りを行なってくれます。
示談交渉を弁護士に依頼する際の注意点
示談交渉を弁護士に依頼することで、示談金を大幅に増額できることができます。ただし、被害者に支払われる金額は、示談金から弁護士費用が差し引かれたものです。
軽い人身事故の場合、弁護士費用が損害賠償の金額を上回ってしまい、費用倒れとなってしまう可能性があります。
示談交渉に限らず、交通事故の対応を弁護士に依頼・相談する際は、自分が弁護士特約に加入しているか確認しておきましょう。弁護士特約に加入していることで、弁護士費用の全額、または一部を補ってもらうことができます。
人身事故の示談金についてまとめ
いかがでしたか。交通事故は大きく分けて「人身事故」と「物損事故」の2種類。今回は、人身事故の示談金についてご紹介しました。示談交渉を行う際に、この記事が参考になれば幸いです。