追突事故の過失割合とは 被害者の過失が認められる場合もある?
車を運転しているときに、後ろから追突されてしまった…! 追突した側に100%の過失が認められる場合がほとんどですが、実は追突された側の過失が認められる場合もあります。それは一体どのような状況なのでしょうか? 今回は、追突事故の過失割合についてや、交通事故に伴う損害賠償などについて解説します!
過失割合とは
過失割合とは、自分と相手側にどれだけ過失があったかを割合で示すものです。この過失割合によって、交通事故の加害者と被害者が決まります。また、この交通事故の過失割合には事故の状況ごとに、前もって基準が設けられています。
例として、信号のない交差点での事故の場合を見てみましょう。
- 両車ともに減速した場合
- 左方車は減速せず、右方車が減速した場合
- 左方車は減速し、右方車が減速しなかった場合
左方車:右方車の過失割合は4:6
左方車:右方車の過失割合は6:4
左方車:右方車の過失割合は2:8
このように、交通事故の状況ごとに、ある程度過失割合が決められています。
あらかじめ決められた過失割合に納得できないような場合には、弁護士への相談といった手立てが考えられます。
追突事故の過失割合
それでは、追突事故の場合は、どのような過失割合になるのでしょうか?
一般的な追突事故の過失割合
自動車を停車している状態で、後方から追突された場合、基本的に追突した側:追突された側の過失割合は10:0となります。
また、双方の車が走行していた場合でも、原則的には後方車に10割の過失があるとされます。
追突された側の過失が認められる場合
追突事故であっても、追突された側の過失が認められる場合があります。
道路交通法を違反していた場合
- 前方の車が、停車や駐車を禁止している場所に駐停車していた場合
- 駐停車方法が道交法違反だった場合
- 灯火義務に違反していた場合
以上のように追突された側が道路交通法を違反していると、追突した側:追突された側の過失割合は9:1や8:2となる場合があります。
不要な急ブレーキを行った場合
前方を走行する車両が、危険の防止といった場合を除いて、不要な急ブレーキを行うことは道路交通法に違反しています。不要な急ブレーキを行ったことで、追突事故が発生した場合、追突された側に3割の過失が認められる場合があります。
損害賠償とは
交通事故において過失割合が重要となるのは、加害者側から支払われるお金が減額されたり、自分が賠償をすることになったりと、損害賠償に大きく影響するためです。
そもそも損害賠償とはどういうものなのでしょうか?
損害賠償とは、交通事故により被害者が被った損害を、加害者が埋め合わせすることです。そして被害者が加害者に請求できる損害賠償には「積極損害」、「消極損害」、「慰謝料」の3つがあります。
積極損害
積極損害とは、交通事故によって実際に支払いが発生したお金のことです。治療費や通院の交通費、手術費などが含まれます。
消極損害
消極損害とは、交通事故がなければ得られるはずだったお金が損なわれた場合に発生します。消極損害には「休業損害」と「逸失利益」の2つがあります。
休業損害
休業損害とは、交通事故によって仕事を休むことになり、収入が減少した場合の損害です。交通事故による減収分が補われます。
逸失利益
逸失利益とは、交通事故にあわなければ、将来得られるはずだった収入が減少した場合の損害です。交通事故による怪我が後遺障害となり、思い通りに働けなくなった場合に認められます。
慰謝料
慰謝料とは、交通事故によって被害者が受けた精神的苦痛を、加害者が金銭で補うものです。慰謝料には「入通院慰謝料」と、「後遺障害慰謝料」の二種類があります。
入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、入通院することになった交通事故の被害者が負う精神的苦痛を、金銭で補うものです。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、交通事故による怪我が後遺障害となった場合の、被害者の精神的苦痛を金銭で補ったものです。後遺障害には1〜14級までの後遺障害等級があります。後遺障害等級認定の申請を行い、認定されると後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
追突事故に多いむちうちとは
追突事故による怪我で多くみられるものに、むちうちがあります。
むちうちとは、交通事故やスポーツによる衝撃で、首がむちのようにしなることからむちうちと呼ばれています。正式には頚椎捻挫(けいついねんざ)や頚部挫傷(けいぶざしょう)と診断されるような症状です。
むちうちの種類
むちうちの症状は幅広く、いくつか種類があります。
頚椎捻挫型(けいついねんざがた)
むちうちの7割を占めるといわれています。首の捻挫で、頚椎(首部分の骨)を支えているじん帯や筋肉が損傷しています。頭痛、首や肩の痛み、首が前後左右に動かないなどの症状があります。
神経根損傷型(しんけいこんそんしょうがた)
脊髄から出ている神経の根元を損傷しています。首の痛み、肩から腕にかけての痛み、知覚障害、しびれ、脱力などの症状があります。
脊髄症状型(せきずいしょうじょうがた)
頚椎の中にある脊髄や、脊髄からのびる神経が損傷しています。腕や足に、痛みやしびれなどの症状があらわれます。
バレー・ルー症候群型(ばれー・るーしょうこうぐんがた)
自律神経が損傷しています。むちうちが原因となりおこったと考えられる自律神経失調症状のことです。頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、難聴などの症状があります。
脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)
脳髄液腔から脳髄液が漏れ、さまざまな症状がでます。慢性的な頭痛や首の痛み、めまい、耳鳴り、聴覚障害、吐き気や視力低下、全身の倦怠感などの症状があります。
むちうちの通院先
むちうちの症状について解説しましたが、こうした症状にはどういった通院先があるのでしょうか?
交通事故にあったらまずは整形外科へ
交通事故にあったらまずは整形外科へ行きましょう。むちうちの場合、症状が軽いものから重いものまで幅広くあります。また、交通事故直後に脳が興奮状態にあることで、すぐに痛みを感じない場合もあります。MRIやCTなどの検査や薬の処方、交通事故後の様々な手続きに必要な診断書の発行は、医師のいる整形外科でなければできません。正確な症状を知り適切な治療を受けるためにも、交通事故にあったらまずは整形外科で医師の診察を受けましょう。
整骨院(接骨院)
整骨院では、国家資格である柔道整復師が施術を行います。手術や薬を使わずに、主に手技療法で施術を行います。また、物理療法や運動療法を用いて施術を行うこともあります。むちうちは、CTやレントゲン検査などに写らない場合もあります。整骨院の手技療法は、柔道整復師が直接痛みのある部分に触れて施術するため、症状が把握しやすいというメリットがあります。
整骨院と接骨院は名称が異なるだけで、施術内容は整骨院と変わりません。
鍼灸院
鍼灸院では、国家資格であるはり師・きゅう師が施術を行います。はりやお灸が自律神経系や免疫系に作用し、症状の回復を手伝います。
▶︎参考:むちうちでの鍼灸施術について詳しく知りたい方はこちら
交通事故にあったら、まずは整形外科で医師の診察を受けましょう。整骨院や鍼灸院は土日祝日や夜の時間帯に営業しているところもあり、通いやすいというメリットがあります。整形外科への通院が難しい場合は、整骨院や鍼灸院との併用も検討し、自分に合った通院先を選びましょう。
整骨院でのむちうち施術
整骨院ではむちうちに対して、具体的にどんな施術が行われているのでしょうか?
柔道整復師が行う施術は主に「整復法」、「固定法」、「後療法」の3つがあります。
整復法
整復法とは、脱臼や骨折したときに、手で揉んだり伸ばしたりして元の状態に戻すための方法です。
固定法
固定法とは、脱臼や骨折したときに、包帯やギブスなどを使い患部を固定する方法です。
後療法
後療法とは、患部を回復させるために、さまざまな刺激を加える方法です。後療法には大きく分けて「手技療法」、「物理療法」、「運動療法」の3つがあります。
- 手技療法
- 物理療法
- 運動療法
手で患部に触れ、刺激を与えることで自然治癒力を高める方法です。
電気や熱などの物理エネルギーで、刺激を与える方法です。
運動によって身体の機能の回復を図る方法です。
追突事故の過失割合についてのまとめ!
いかがでしたでしょうか。追突事故では、基本的に追突した側に10割の過失があるとされます。ただ、道路交通法を違反していた場合には、追突された側の過失が認められることもあります。また、追突事故に多い怪我にむちうちがあります。交通事故にあったら、まずは整形外科へ行きましょう。その後整骨院や鍼灸院なども検討し、自分に合った通院先を選びましょう。