追突事故の加害者になり、怪我を負った…。使える保険はある?

2019年02月01日

追突事故で怪我を負うのは、被害者だけではありません。加害者も怪我を負うかもしれません。被害者の場合は加害者が治療費を負担しますが、加害者が怪我を負ったときの治療費はどうすればよいのでしょうか。そこで今回は、加害者が使える保険についてを中心に解説していきます。

追突事故後に加害者が行うべき対応

追突事故を起こし、加害者となってしまった場合、加害者がすべき対応があります。加害者がすべき対応の流れは、以下の通り。

①怪我人の救護 怪我人の救護を行い、必要に応じて救急車を手配する。
②道路の危険を防止 事故車両を安全な場所に移動させ、
発炎筒や三角表示板などで後続車に危険を知らせる。
③警察へ連絡 警察に事故が発生したことを連絡し、事故の処理を行う。
④当事者同士の連絡先を交換 今後行う示談交渉のために、被害者と加害者の連絡先を交換する。
⑤保険会社へ連絡 事故の状況や場所などを通知し、被害者と損害賠償のやり取りを保険会社を通して行うことになります。
そのため、自分が加入している保険会社に連絡をする。

①~③までの対応は、道路交通法で定められている義務です。①~③の対応を怠ってしまうと、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることになります。

▶︎あわせて読みたい:交通事故の被害者に謝罪をする場合に菓子折りを持っていくべき?

追突事故を起こした加害者が受ける処分とは

追突事故を起こした加害者は、以下3つの処分を受けることになります。

  • 民事処分
  • 行政処分
  • 刑事処分

民事処分

民事処分は、事故により被害者が負った損害を金銭で賠償する処分です。つまり、加害者が被害者に対して、損害賠償を支払うことをいいます。

被害者に支払われる損害賠償には、以下のようなものがあります。

  • 治療費
  • 手術費
  • 通院交通費
  • 器具や装具の購入費
  • 休業損害
  • 逸失利益
  • 慰謝料            など

▶︎参考:交通事故の損害賠償について詳しく知りたい方はこちら

行政処分

行政処分とは、交通事故の加害者に対して、運転免許の取り消しや停止、反則金の処分を行うことです。過去3年間の交通違反の点数が加算され、一定数を超えた場合に行政処分が行われます。

▶︎参考:行政処分の違反点数について詳しく知りたい方はこちら

刑事処分

刑事処分とは、交通事故の加害者に対して、懲役や禁固、罰金といった刑罰を科す処分のことです。事故処理において、人身事故として処理された場合にのみ、刑事処分を受けることになります。

▶︎参考:刑事処分の刑罰について詳しく知りたい方はこちら

追突事故で加害者が怪我をした場合

追突事故で加害者が怪我を負った場合、以下4つの保険を使うことができます。

  • ①任意保険
  • ②健康保険
  • ③労災保険
  • ④生命保険

①任意保険

任意保険とは、車を運転する人が任意で加入する保険です。自賠責保険でカバーできない部分を補償することができるため、多くの人が加入しています。

▶︎あわせて読みたい:自賠責保険について

②健康保険

健康保険とは、病気や怪我をしたときにかかった費用の一部を、国や会社などが負担する保険のことです。健康保険を使った場合、保険診療で受けることになり、治療費の負担を3割に抑えることができます。そのため、交通事故の治療費に対する負担を少なくすることができるのです。

▶︎参考:健康保険を使うときの手続きについてはこちら

③労災保険

労災保険とは、勤務中や通勤中に交通事故のような災害で、怪我や病気をしたときに補償をしてくれる保険です。そのため、労働者かつ勤務中や通勤中の災害でなければ、補償を受けることができません。

労災の補償 内容
療養(補償)給付 通勤災害や業務災害で負った怪我や病気の治療を行った場合に、
受け取ることができるもの
休業(補償)給付 通勤災害や業務災害で負った怪我や病気の治療で、
仕事を休んでしまった場合に、受け取ることができるもの
障害(補償)給付 通勤災害や業務災害の怪我や病気が後遺障害(※1)として残り、
その症状が後遺障害の等級に該当する場合に、受け取ることができるもの
遺族(補償)給付 通勤災害や業務災害で死亡した場合に、受け取ることができるもの
葬祭料・葬祭給付 通勤災害や業務災害で死亡した方の葬祭を行う場合に受け取れるもの
傷病(補償)給付 通勤災害や業務災害で負った怪我や病気の治療を始めてから、
1年6ヶ月を経過した場合に受け取れるもの
介護(補償)給付 障害(補償)年金または傷病(補償)年金を受け取っている方の中で、
後遺障害の等級が1級・2級の精神や神経の障害および胸腹部臓器の障害があり、介護を受けている場合に受け取れるもの
二次健康損断等給付 事業主が行った直近の定期健康診断において①・②のどちらにも当てはまる場合に受け取れるもの
①血圧検査・血中脂質検査・血糖検査、腹囲またはBMI測定のすべてで異常ありと診断された場合
②脳血管疾患または心臓疾患の症状を持っていないと認められる場合

▶︎参考:労災保険を使う場合の手続き方法についてはこちら

④生命保険

生命保険とは、日々の暮らしの中で起こり得る病気や怪我などで、必要になる費用の負担や損失に備えるための保険です。通常販売している生命保険に特約をつけることで、保証内容を充実させることができます。

交通事故の怪我に使える生命保険の特約は、以下の通り。

  • 災害入院特約:怪我を負って入院をした場合に入院給付金が支給されるもの。
  • 災害割増特約:交通事故によって死亡した場合に、死亡保険金を上乗せして支払うもの。
  • 傷害特約:交通事故によって死亡したり、障害が残ったときに支払われるもの。
  • 特定損傷特約:交通事故によって骨折・脱臼・腱を断裂してしまったときに支払われる一時金のこと。

加害者が使える保険についてのまとめ

いかがでしたか。交通事故の加害者が怪我を負った場合、任意保険・健康保険・労災保険・生命保険を使うことができます。保険を使う場合は、保険内容を内容を確認した上で自分にあった保険を選択し、治療を進めていきましょう。