交通事故に逮捕される場合ってどんなとき?その後の流れについて

2018年11月09日

交通事故を起こしてしまったとき、「自分は逮捕されて、罪の問われるのだろうか」と不安になりますよね。そこで今回は、交通事故の加害者になったとき逮捕されるのか、逮捕された場合にどんな刑罰を受けるのかなどについて解説していきます。

交通事故の加害者が逮捕される場合とは?

交通事故を起こした加害者が逮捕されるとき、以下のような罪や違反にあたる場合です。

  • ①過失運転致死傷罪
  • ②危険運転致死傷罪
  • ③負傷者の救護と危険防止の処置違反
  • ④事故報告の義務違反
  • ⑤酒酔い運転・酒気帯び運転
  • ⑥無免許運転
  • ⑦速度超過

それぞれの罪や違反について、一つひとつ解説していきます。

①過失運転致死傷罪

過失運転致死傷罪とは、交通事故で被害者を死傷させた場合に問われる罪です。量刑は「7年以下の懲役刑・禁固刑または100万円以下の罰金刑」となります。

ここでの過失とは

  • 前方不注視
  • 巻き込み確認を怠る
  • 方向指示器の点滅し忘れた   など

このように、広い範囲で過失が認められます。

②危険運転致死傷罪

故意があり、交通事故が起きた原因が悪質だった場合、危険運転致死傷罪の罪に問われます。

危険運転は、以下のような運転の仕方が当てはまります。

  • 飲酒をしたり、薬物使用した後に運転をしたとき
  • 信号無視、走行禁止区域で事故が起きてしまうような速度での運転をしたとき
  • 法定速度50kmでの速度超過
  • 無免許で運転をしたとき     など

危険運転致死傷罪では、

  • 被害者が負傷した場合:15年以下の懲役刑
  • 被害者が死亡した場合:20年以下の懲役刑

という刑罰が科せられます。どちらの場合も懲役刑となるため、量刑は重いことになります。

③負傷者の救護と危険防止の処置違反

負傷者の救護や危険防止の処置を怠った場合、つまりひき逃げをしたときの違反です。この場合「10年以下の懲役刑及び100万円以下の罰金刑」という罪が科せられます。

④事故報告の義務違反

交通事故後に警察を呼ばなかった場合、事故報告の義務違反に当てはまります。交通事故を起こした場合、必ず警察を呼ばなければならないという義務があるのです。そのため、「3ヶ月以下の懲役刑及び5万円以下の罰金刑」の罰金が科せられます。

⑤酒酔い運転・酒気帯び運転

お酒を飲んだ後に運転してしまうと、この違反行為に当てはまります。

  • 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑
  • 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑

が科せられます。

⑥無免許運転

運転免許を取得していない人や免停・免許取消しになっている人が運転をした場合、この違反行為に当てはまります。

  • 無免許運転の場合:「3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」
  • 免許不携帯(※1)の場合:「3000円の罰金刑」

が科せられることになります。
※1 免許不携帯とは、運転免許を携帯し忘れていたときに当てはまる。

⑦速度超過

速度超過は、簡単にいえばスピード違反のことです。速度超過の場合、「6ヶ月以下の懲役刑または10万円以下の罰金刑」が科せられます。しかし、スピード違反のみでは実刑判決がされることなく、罰金刑になる人が多いです。

交通事故で逮捕された加害者が受ける刑罰

先程、禁固刑や懲役刑、罰金刑といった刑罰の種類が出てきました。しかし、どんな刑罰なのかイメージがつかないものもあると思います。ここでは、刑罰の内容について説明していきます。

①禁固刑

禁固刑とは、刑務所か交通刑務所に拘置される刑罰です。拘置されている期間中に刑務作業を行うかは、自由に選択できます。

②懲役刑

懲役刑とは、刑務所に拘置される刑罰です。禁固刑とは異なり、拘置されている期間中、必ず刑務作業を行うことになります。

③罰金刑

罰金刑は、裁判所の判決によって決められた金額を納めるという刑罰です。納める金額は1万円以上になります。しかし、裁判所の判決によって決められた金額が納められない場合は、1日以上2年以下の間、留置(※2)されます。

※2 留置とは、一定の間留置所で身柄を拘束すること。

交通事故で逮捕されたときの刑事手続きの流れ

交通事故で逮捕された場合、刑事手続きは以下のような流れになります。

  • ①逮捕される
  • ②勾留される
  • ③起訴される

①逮捕される

交通事故で警察に逮捕された加害者は、警察官の取り調べ実況見分などを行います。その後、48時間以内に検察庁の検察官の元へ送られることになります。

加害者が検察官の元へ送られると、24時間以内に勾留(※3)されるかの判断を行います。この期間中の面会は、弁護士のみに限られています。また、弁護人は自分で選んだ弁護士が弁護人になります。

※3 勾留は、逮捕された人を刑事施設に留置して拘束することです。勾留を行う理由としては、逃亡や証拠隠蔽を防ぐためです。

②勾留される

逮捕された後、検察官によって勾留請求をされた場合、裁判官が勾留するべきかの判断を行うことになります。

裁判官が勾留を認めた場合、加害者は警察署の留置場に10~20日間留置されます。一方、勾留されない場合は、釈放となります。

勾留されると、会社や学校など外に出ることはできません。また、勾留されている期間中は、取り調べを連日行うことになります。

③起訴される

検察官が加害者を起訴するかの判断を行います。このとき、逮捕や勾留されているかは、判断基準に入りません。また、起訴する場合は起訴内容も決めます。

起訴には、略式裁判正式裁判があります。

  • 略式裁判の場合:裁判所に出向く必要がなく書類で判決を言い渡される。
  • 正式裁判の場合:一般的な裁判形式で、裁判所に出向いて判決を言い渡される。

▶︎参考:略式裁判について詳しく知りたい方はこちら

交通事故で逮捕された場合のその後について

交通事故で逮捕された場合、前歴が残ることになります。前歴とは、逮捕された場合に残る経歴のようなものです。不起訴の場合は前歴のみ残ることになります。

しかし、起訴された場合は、前科が残ることになります。前科は、懲役刑や禁固刑、罰金刑などの刑罰を受けた経歴のようなものです。前科がある場合、弁護士や金融関係、警備員などに就職することができない恐れがあります。

前歴や前科は、警察署や検察庁、本籍地の市区町村の3つの機関でデータが保管されています。前歴や前科は消すことができませんが、3つの機関から情報が漏れ出すことはないです。

交通事故で逮捕されてしまう場合のまとめ

いかがでしたか。交通事故で逮捕されるのは、故意に事故を起こした場合や重大な交通違反を犯した場合です。

交通事故で逮捕されると、刑事施設に留置されることになります。また、逮捕されると前歴が残り、さらに起訴されると前科が残ってしまいます。前歴や前科は、消すことができないということを覚えておいてください。