交通事故で罰金? 人身事故について知りたいこと

2019年02月04日

もしも人身事故を起こしてしまったら…交通事故にまつわる不安や疑問は尽きませんよね。今回は人身事故が発生した場合に、加害者に対する罰金について解説します。

人身事故とは?

そもそも交通事故における人身事故とはどのようなものなのでしょうか?
まず、交通事故には物損事故と人身事故の2種類があります。
交通事故の当事者に死傷者が出た場合は、人身事故になります。交通事故の当事者に死傷者が出ずに、自動車や建物などにのみ損害が出た場合は、物損事故となります。

物損事故と人身事故の違い

交通事故が起きたら、必ず警察へ届け出なければいけません。警察へ届け出られた場合、必ず人身事故か物損事故のどちらかに分類されます。その後、物損事故と人身事故では、処分における扱いが異なります。

物損事故

物損事故の場合も、警察へ届け出はもちろん必要ですが、行政処分や刑事処分上では、事故扱いにはなりません。つまり、基本的に免許の点数が加点されたり、反則金や罰金が生じることもありません。
しかし、それは道路交通法違反をしていない前提での話です。当て逃げや無免許運転、家屋やビルなどを損壊した場合は、行政処分や刑事処分が発生します。
また、たとえ行政処分や刑事処分がなくとも、損害が発生しているため、損害賠償責任があります。

人身事故

人身事故は、交通事故の当事者が怪我の診断書を警察に提出し、警察がそれを受理すると成立します。人身事故の場合は、加害者は免許の点数が加点されたり、反則金が生じる場合があります。また、場合によって、罰金刑や懲役刑が科せられる可能性もあります。

人身事故で加害者が受ける処分

では、具体的に人身事故の加害者は、どのような処分を受けることになるのでしょうか。

行政処分

行政処分とは、道路交通の安全確保を目的とする公安委員会による処分です。交通事故の内容や、責任の重さに応じて、違反点数が運転免許に加算されます。
点数があらかじめ設けられた基準に達すると、点数に応じた処分を受けます。
具体的には、免許の取り消しや、一定期間の免許の停止などの処分があります。

刑事処分

刑事処分とは、法による社会秩序の維持を目的とする処分です。自動車の運転による死傷事故に対して、現在は厳罰化が進んでいます。人身事故が刑事事件として立件されると、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷、殺人罪などに問われ、罰金刑や懲役刑などの刑罰が科される場合があります。
人身事故の刑事処分には、道路交通法の違反によるものと、自動車運転死傷処罰法の違反によるものがあります。自動車運転死傷処罰法は、傷害や死亡への処分となるため、道路交通法違反よりも刑罰が重くなります。
また、自動車運転死傷処罰法の中で、危険な高速運転や飲酒運転といった、特に悪質な場合には、危険運転致死傷罪が適用されます。

民事処分

民事処分とは、被害者が被った損害を金銭に換えて補う、損害賠償を行う責任が生じることです。人身事故における損害には、被害者がかかった治療費や自動車の修理費だけでなく、精神的な苦痛に対する慰謝料や、事故にあわなければ得られたはずの収入などがあります。
人身事故における損害賠償は、運転者の強制保険である、自賠責保険で120万円までは賄われます。しかし、それ以上の金額に関しては加害者自身の負担となるため、任意保険などから賠償することになります。

人身事故における罰金

人身事故によって罰金刑が確定した場合、主に被害者の負傷の程度や、被害者にも過失があったかどうかで罰金は変化します。あくまで目安ですが、以下のようになります。

被害者の負傷 被害者の過失 罰金
治療が3ヶ月以上または後遺障害あり なし 懲役刑・禁固刑または罰金30万~50万円
治療が3ヶ月以上後遺障害あり あり 懲役刑・禁固刑または罰金30万~50万円
治療が30日以上3ヶ月未満 なし 30万~50万円
治療が30日以上3ヶ月未満 あり 20万~50万円
治療が15日以上30日未満 なし 15万~30万円
治療が15日以上30日未満 あり 15万~30万円
治療が15日未満 なし 12万~20万円
治療が15日未満 なし 12万~20万円

また、人身事故であっても、被害者の怪我の程度が軽い場合もあり、必ずしも刑事処分が決まり、罰金刑を受けるわけではありません。
交通事故の内容により、どのような処分を受けるか大きく異なります。

交通事故を起こしてしまったらするべきこと

交通事故を今まさに起こしてしまった。そのようなときに、あなたが運転者なら何をしなくてはならないのでしょうか。

  • (1) すぐに運転を止める
  • (2) 相手の被害状況や車の損傷を確認する
  • (3) 相手が怪我をしている場合は119番通報や救護をする
  • (4) 警察や保険会社に連絡する

以上のように速やかな対応が求められます。

交通事故の被害者になったらできること

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交通事故にあったらすぐに警察に連絡することは、被害者も同じです。
また、怪我を負った場合は医療機関を受診し、医師に診断書を発行してもらいましょう。診断書を警察に提出し、受理されることで人身事故が成立します。
また、交通事故の直後は、脳が興奮状態にあることで、すぐには痛みを感じないことがあります。そのため、痛みが出たときには物損事故として扱われてしまっている場合があります。そのようなときでも、痛みが交通事故によるものだと示す診断書を取得し、警察に提出すれば、人身事故へと変更することができます。

  • 加害者と連絡先を交換しておく
  • 現場の証拠写真を撮影しておく
  • 病院や車の修理の領収書は捨てずに保管する

その他にも以上のように、後々の様々な手続きのために気をつけておきたいポイントがいくつかあります。

人身事故による罰金は事故内容で大きく異なる



今回は、人身事故における罰金について紹介しました。人身事故は、被害者が警察へ診断書を提出し、警察が受理した時点で成立します。人身事故に必ずしも罰金刑が科されることはありませんが、もし罰金刑が確定した場合には、被害者の負傷の程度で金額は大きく異なります。