予期せぬ追突、交通事故 加害者の過失割合と減点・罰金はどれくらい?

2018年11月19日

追突事故とは?

交通事故の中で、約4割を占めると言われている追突事故。
「玉突き事故」や「おかまを掘られる」なんて表現を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

レジャーや帰省で高速道路や国道が渋滞を起こすと、運転に集中できなくなった運転手が前方車に追突してしまう。あるいは、高速道路で前方車が何かしらが原因で急停車、止まりきれずに突っ込んでしまう……。

この追突事故、前方不注意という理由から、基本的には100%加害者(追突した側)に過失があるとされることが多いです。ここでは、追突事故が起きた時の過失割合や示談交渉について簡単に述べていきます。

▶︎参考:軽い交通事故、手続き方法はこちら

交通事故で重要な過失割合とは?

交通事故の損害賠償請求において、過失割合は必ず決めなくてはなりません。
過失割合とは、「交通事故が発生した責任は、どちらにどれだけあるのかを示す割合」のことで、これによって事故の加害者・被害者を決めます。

「交通事故にあって、8:2だったよ」「停車してるところに追突されて、10:0の事故に巻き込まれたよ」などと周りのご家族や友人から聞いたことはありませんか?

「この事故が発生した原因は何か」「誰の責任か」を客観的に判断し、損害賠償の金額を決めます。通常は加害者の場合が100%支払う訳ではなく、被害者にも過失が課される場合があります。

しかし、追突事故の場合は、そのほとんどが10:0で加害者に過失があるとされます。

交通事故の過失割合を決める

交通事故における過失割合はあらかじめ基準が定められています。たとえば、信号が設置されていない交差点における事故の場合を見てみましょう。

    両車ともに減速した場合
    左方車:右方車の過失割合は4:6

    両車ともに減速した場合
    左方車:右方車の過失割合は4:6

    左方車は減速せず、右方車が減速した場合
    左方車:右方車の過失割合は6:4

    左方車は減速し、右方車が減速しなかった場合
    左方車:右方車の過失割合は2:8

このようにケースごとに、あらかじめ過失割合はある程度決められています。
しかし、こうした過失割合が納得できないということもあるでしょう。この場合には裁判などで争うことになります。

▶︎参考:交通事故の裁判について詳しく知りたい方はこちら

交通事故の被害者が過失を認められる場合

後続車の過失が高くなる追突事故。しかし、追突事故でも被害者の過失が認められることがあります。以下にまとめました。

  • 前方車が故意に急ブレーキをかけた場合
  • 被害者が停車禁止の場所に車を停車させたが、必要な措置を怠ったため、後続車が追突を防げなかった場合

  • 視界が悪い夜の時間帯に、被害者の車はライトを点灯せず、後続車の死角になるような道路の曲がり角付近に停車していた場合
  • 被害者が酒気帯び、酒酔い、無免許などで運転をしていた場合

これらの場合に当てはまる場合は、状況を考慮した過失割合に修正されます。

▶︎参考:過失割合についてより詳しく知りたい方はこちら

過失割合は損害賠償請求等に関わってくる

過失割合は損害賠償請求額に影響します。たとえば、事故の被害者であっても、被害者の過失割合が高ければ損害賠償請求ができないこともあります。こうしたことも過失割合について争うことが多い理由です。他に、過失割合によって罰金刑も変わってきますし、刑罰に問われた際の判決も影響されます。このように、過失割合は交通事故において大変重要ですから、その基本を理解しておきましょう。

▶︎参考:交通事故発生から示談交渉までの流れについてはこちら

示談交渉は被害者と加害者側の保険会社が行う

追突事故が起きた場合、被害者には損害が出るわけで、この損害を賠償するように請求することを「損害賠償」と言います。
怪我をした時の治療費や、通院するための交通費などを加害者側の保険会社に請求します。

被害者・加害者が話し合いで、金銭的にも落ち着き和解することを「示談」と言いますが、事故発生から示談までの話し合いをするのは、被害者と加害者側の保険会社になります。

交通事故を起こすと生じることになる処分・責任

人をハネるなどすると、色々な処分を受けることとなります。
交通事故の処分は

  • 行政処分
  • 刑事処分
  • 民事処分

上記の3つに分けることができ、それぞれの違いを押さえておくことが大事です。

行政処分
運転免許の停止などが関わってくるのが行政処分です。行政処分は累積点数式で処分が決まります。

刑事処分
道路交通法違反をすると罰金刑が科せられるのが刑事処分です。人を死傷させてしまうと、自動車運転死傷行為処罰法違反にも問われます。

民事処分
交通事故の被害者が受けた損害を金銭で賠償するのが民事処分です。被害者と加害者が話し合い、損害賠償額を決めて支払いをするといやりとりを行います。

このように処分にも色々ありますから、その違いを区別しておくことが大事です。

▶︎あわせて読みたい:交通事故で警察が行うこと

交通事故の「点数」について

交通事故を起こすと事故に応じた点数が累積されていきます。累積点数が一定基準を超えると「免停」「免許取り消し」などの行政処分を受けることになります。どんな場合に、どのくらい点数が加算されるのかも見ていきましょう。

たとえば、安全運転義務違反をした程度であれば点数は2点です。死亡事故を起こした場合で被害者にも過失があった場合には3点、加害者の不注意の度合いが激しい場合には20点になります。また、ひき逃げは35点となり、即座に免許取り消しとなります。このように、基本的に累積点数が15点を超えると免停になります。

点数の計算期間ですが、交通違反や交通事故を起こした日から起算し、3年間の点数が計算されます。しかし、「過去一年以上に渡って無事故・無違反である」「違反者講習を受講した」「免停を受けて停止期間を過ごした」といった場合には点数が一旦リセットされます。

また、基本的に物損事故の際には点数は加算されません。たとえば、塀などを壊してしまっても点数も溜まらず免停を始めとした処分を受けることもありません。

▶︎参考:交通事故の違反点数について詳しく知りたい方はこちら

免許停止と免許取り消しの違い

両者は似ているようで全く違います。免許停止の場合、一定期間だけ免許が使用できなくなります。免許停止期間は30日から180日まであり、累計点数によって停止期間が決定されます。一定期間を無事に過ごせば免許も問題なく使えるようになります。

一方、免許取り消しの場合には免許そのものが取り上げられます。これに加えて、免許を一定期間取得できなくなる「欠格期間」も設けられます。欠格期間は1年から3年であり、累積点数によって変わってきます。

たとえば、ひき逃げの場合には3年が欠格期間です。免許を取得する前には講習を受けないといけないといった制約もついてきます。このように、免許取り消しは大変処分が重いですから気をつけておきたいところです。

罰金を支払わなければいけない場合

罰金は自動車運転過失致死傷罪などに違反すると払う必要性があります。たとえば、人を死傷させた場合には「7年以上の懲役もしくは100万円以下の罰金」が科せられます。緊急措置義務違反の責任に問われると「5年以上の懲役または50万円以上の罰金」となります。殺意があって轢いてしまった場合には殺人罪も科せられます。この場合、罰金はありませんが、死刑・もしくは無期・5年以上の懲役となります。

被害者を負傷させた時には

死亡などには至らなくとも、被害者を負傷させた場合にはその負傷の度合いによって刑罰が変わります。

  • 15日未満の治療期間を要するケガをさせた場合:罰金刑は12万円から20万円
  • 治療期間が15日以上30日未満を要するケガをさせた場合::罰金額は15万円から30万円
  • 治療期間を3ヶ月以上も必要とする重症事故の場合:罰金額は30万円以上

また、懲役刑などが科せられる可能性が存在します。これに加えて、不注意の程度によって罰金額も加算・減額されることもあります。

追突事故のまとめ

交通事故を起こしてしまうと、その社会的な責任は重大です。処分も罰金などで済めば良い方ですが、懲役刑が科せられてしまう場合もあります。免許取り消しなどになってしまうこともあります。被害者から慰謝料請求をされる可能性も大いにあります。このように、交通事故を起こすと色々な責任や義務が生じることは理解しておきましょう。

▶︎参考:交通事故マニュアルのまとめ