交通事故で警察を呼ばないとどうなる?絶対連絡するべき理由

2019年02月01日

交通事故で警察へ連絡をしないのは違法

交通事故にあってしまった場合、必ず警察に連絡をしなければなりません。もしも警察に連絡せずにやり過ごしてしまうと、後で大きな不利益を被ることがあります。

このように、交通事故にあったときの対応を知らない場合、損をしてしまう可能性があるのです。ここでは、警察に連絡した時に伝えるべき情報や、警察を呼ばなかった時のリスクなどについて説明していきます。

▶︎参考:交通事故の原因で多いのは?

警察へ連絡した時に伝えるべき情報5つ


交通事故を起こしてしまったとき、何をどのように警察に伝えればいいのかわからない方もいると思います。警察に連絡をする際に、伝えるべき情報は、以下の5点です。

1.事故が発生した場所

場所は道路の名前や町丁目まで伝えた上で、近くにある大きな建物なども併せて伝えるのが望ましいでしょう。道路の名前と町丁目がはっきりとわからない場合や、自信がない場合には、おおよその場所と近くの建物などでも大丈夫です。

また、近くに自動販売機がある場合には、住所表示ステッカーに書かれている住所を伝えてもよいでしょう。余裕がある場合は、電柱に貼り付けられている街区表示板や電柱番号を伝えてもよいです。

2.死傷者に関する情報

次に死傷者に関することを伝えます。死亡している可能性のある人の人数、負傷者の人数です。負傷者に関しては、怪我の程度も伝えておきましょう。

3.物損に関する情報

車両やガードレール、電柱などが破損しているかどうか伝えます。怪我の場合と同様に、破損の程度も伝えておくのが望ましいです。

▶︎参考:物損事故の特徴とは?

4.事故車両の積載物

トラックなど、荷物を積んでいる車の場合には、積載物に関しても伝えておきましょう。危険物を積んでいる車であれば、この情報がかなり重要です。一般の乗用車で特に荷物を積んでいない場合には、その旨を伝えれば大丈夫です。

5.現在行っている措置

最後に現在どんな措置を行っているのか、伝えておく必要があります。主に怪我人の救出や周りの交通の邪魔にならないよう、行っている措置です。警察が到着するまで、どのような措置をとれば良いのかわからない場合には、警察官の指示を仰ぎましょう。

▶︎参考:交通事故発生から示談成立までの流れについてはこちら

その場での示談に応じてはいけない

小さな交通事故だとしても、被害者と加害者同士のみが話し合い、事故現場で解決してはいけません。その場で解決してしまったことは、口約束でも示談成立となってしまいます。

交通事故による怪我は、事故後すぐに症状が現れないこともあります。被害者と加害者のみの判断で物損事故として処理してしまった場合、被害者は加害者に対して、治療費の請求をすることができなくなってしまいます。事故現場での示談は、被害者に大きな不利益が生じる可能性もあります。交通事故が起きたら、どんなに小さな事故でも警察を呼ぶことが大切です。

警察が到着するまでにかかる時間は?


交通事故を起こしてしまったら、警察に電話をしますが、電話で情報を伝えてからどれくらいの時間で現場まで到着するのでしょうか。

到着までは7〜8分

交通事故病院編集部が調べたところ、電話をかけて用件を伝えてから現場に到着するまではおよそ7〜8分かかるそうです。

110番通報の方が早く到着する

地域の警察署に電話をする人と、110番に電話をする人では、110番通報の方が若干早いということも分かりました。110番通報から現場到着までの平均時間は6分53秒です(編集部調べ)。

警察署に電話をした場合には、電話に出た人から、交通事故を扱う部署の警察官へ電話を代わってから状況を説明することになります。同じ説明を2度することになり、警察官が出発するまでに時間がかかります。そのため10分以上かかってしまうことが多いです。

どちらに電話をしてもきちんと連絡をしたことになるため、問題はありません。

最寄りの交番に誘導されることもある

事故の状況によっては、警察官が事故現場に来るのではなく、最寄りの交番に誘導されることもあります。その場合とは、車両同士のごく軽い接触事故のときなどです。

軽い物損のみで、車両も安全に走行できる場合には、警察官の指示に従って近くの交番に向かいます。そして、交番の中で加害者と被害者の話を聞くという流れです。時間的には、警察官が事故現場に来る場合とさほど変わらないでしょう。

家族や会社に電話してもよい?

警察へ連絡した後、家族へ電話をしてもよいのでしょうか。また、通勤中や勤務中に交通事故にあってしまった場合、「会社へ連絡しなければ」と思いますよね。

しかし、警察が到着するまでは、家族や会社には連絡しないようにしましょう。なぜなら、警察が事故現場へ向かっている間に、折り返しの電話がかかってくる場合があるためです。折り返しの電話がきている時に家族や会社と話している場合、警察の到着が遅れてしまう可能性があります。家族や会社への連絡は、警察が到着した後にしましょう。

警察への通報義務は法律で定められている?


交通事故を起こした場合、警察へ連絡を入れることは、道路交通法で義務づけられています。これを破ると、以下のように処罰の対象になります。

3万円以下の懲役または5万円以下の罰金が定められています。

警察を呼ばないとどんなことが考えられるのか

  • 加害者は処罰対象になってしまう
  • 交通事故証明書が発行されない
  • 後から身体の痛みが出ても保険の対象外
  • 二次的な事故が起こる可能性

警察を呼ばないで済ませると、被害者・加害者共にかなり大きなリスクを背負うことになります。比較的軽い事故の場合や急いでいるときなど、警察を呼ばずに済ませようとする人も稀にいますが、その場合のリスクを認識しておきましょう。

加害者側のリスク

交通事故で相手に怪我をさせてしまったら、危険を防止し、相手を救助する義務を負います。また、警察に通報することも行わなければなりません。

このような対応は、道路交通法で加害者に定められた義務です。もしも加害者がこれらの対応を怠ってしまうと、罰則を受けることになります。軽い事故や忙しく時間のない場合でも、必ず警察を呼ぶようにしましょう。

被害者側のリスク

事故で負った怪我の治療をしたり、壊れた車両の修理をする際に保険を使うことになりますが、保険を適用する場合には交通事故証明書が必要です。これは、警察を呼び、実況見分をしてもらわないと発行されません。

つまり、警察を呼ばなければ、交通事故証明書が発行されず、保険が使えないということになります。警察を呼ばなかった場合には、事故そのものがなかったことになってしまい、保険金の請求をすることもできません。

加害者と被害者双方にとってのリスク

事故後、異なる事故をさらに引き起こす「二次災害のリスク」が考えられます。

警察が現場に来ると、周囲の交通に危険が生じないように取り計らってくれます。
しかし、警察を呼ばないで済ませてしまうと、周囲の交通が危険に晒されてしまうこともあります。

    例:事故により落下した積載物に気付かず道路上に放置されてしまった場合
    後から来た車がそれにぶつかり、二次的に事故が発生してしまう可能性もあります。それが原因で、損害賠償を請求されてしまうこともあるので、注意が必要です。

警察が到着後にやってくれること4つ

交通事故後、警察が現場に到着してからの流れは以下4つになります。

  • ①状況確認
  • ②実況見分(実況見分調書)
  • ③供述書作成
  • ④事故証明書発行

実況見分(じっきょうけんぶん)とは

警察官が事故現場に到着した後は、実況見分が行われます。

実況見分とは、事故が発生したときの状況について、加害者と被害者の双方から詳しく聞き出し、調書(※これを実況見分調書という)をとります。事故が発生したときのスピードや信号の状況、目撃者の有無など、何が原因で事故が起きたのかといった事故の状況を明確にします。それと併せて、事故現場の状況を写真に撮って収めます。それらの情報は警察官が実況見分調書を作成するために使われるものです。

実況見分を行う際に加害者と被害者は、ある程度距離をとった上で話を聞かれるため、警察官と話している内容が相手に聞こえてしまうことはありません。実況見分で警察官に話したことは、過失割合を決定する上で重要な証拠になります。

また、警察は民事不介入の原則があるため、民事上の慰謝料には関与しません。実況見分は刑事訴訟法に基づいて行われ、刑事事件の証拠収集を目的としています。

供述調書

供述調書とは、交通事故の被害者が警察からの尋問に対して事実を述べ、書面にしたものをいいます。この供述書は、のちに過失割合(どちらにどのくらい責任があるのかの割合)を決めるときに必要になります。

    被害者供述のポイント

  • 真実を話すこと
  • 証拠があれば提出(ドライブレコーダーなどで記録する、目撃者を呼んでくる)
  • 署名・押印は慎重に(記載内容に納得ができなければ書き直しをお願いする)

ちなみに交通事故の過失割合は、警察が決めるものではありません。実況見分調書や被害者供述を参考に、加害者側の保険会社が過去の判例を交えて過失割合を決めています。

▶︎参考:加害者の過失割合と罰則について

▶︎参考:むちうち症は治らない?治療費が打ち切りになる前に知っておきたい自動車保険の仕組みとは

交通事故後に痛みがある場合は?


交通事故現場の実況見分が終わったら、一度病院に行くことをオススメします。
なぜかというと、交通事故直後は身体が興奮状態にあり、何か症状があったとしても気がつきにくいからです。

物損事故で処理をされたままですと、治療費や慰謝料を含む損害賠償を加害者に請求できません。したがって、痛みがなくても病院へ行き、記録を取っておくことが大切です。

また、痛みが出てきたら、事故によって怪我をしたという診断書を医師に発行してもらいましょう。その診断書を持って警察へ行き、物損事故から人身事故へ切り替え手続きを行いましょう。

▶︎参考:物損事故から人身事故に切り替えるには?

▶︎参考:軽い事故でも病院にいくべき理由と考えられる怪我

▶︎参考:後遺症になることも…

警察への連絡は義務!

いかがでしたか?これまでの流れを、以下にまとめました。

  • 交通事故にあったら必ず警察を呼ぶ
  • 現場の状況を記録する
  • 被害者供述は正直に
  • 過失割合を決めるのは加害者側の保険会社
  • 実況見分が終わったら病院で診察を受ける

交通事故を起こしてしまった場合に警察に連絡するのは、自動車を運転する人の義務です。警察を呼ばないで済ませようとすると、大きなリスクを背負ってしまい、後悔することになってしまう可能性があります。もしも事故を起こしてしまったら、必ず警察を呼ぶようにしましょう。

▶︎参考:警察とのやり取りがおわったら、診断書を取得しましょう

▶︎参考:交通事故にあったときによくある質問