湿布だけでむちうちは治る?どんな効果があるのかも併せて解説!

2019年01月21日

交通事故の怪我で最も多いといわれる「むちうち」。病院でむちうちの治療を受けたとき、「治療は、湿布の処方だけだった。」という方もいると思います。むちうちは湿布だけで治るものなのでしょうか。そこで今回は、湿布によるむちうちの治療について解説していきます。

むちうちとは

むちうちとは、主に車の衝突や追突、急停車などの際に首が鞭のようにしなり、筋肉や靭帯などの軟部組織が損傷したものを指します。医学的には、「頚椎捻挫」や「頚部挫傷」などと呼ばれています。

むちうちになった場合にあらわれる症状は、以下のように様々です。

  • 首や背中、肩などの痛み・こり
  • 首や肩などの関節の可動域制限
  • めまい
  • 吐き気
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 握力低下
  • 手足のしびれ
  • 知覚障害
  • 歩行障害

上記のように様々な症状を引き起こす原因としては、様々な箇所が損傷を負っているためです。以下のような症状の場合は、どこの損傷が原因なのでしょうか。

  • 頭痛
  • 首からボキボキと音が鳴る
  • 首や背中のハリ

頭痛

むちうちによる頭痛の症状は、前頭筋・頭頂金・側頭筋・後頭筋の4つの筋肉が、板状筋(※1)に引っ張られることが原因となっています。そのため、筋緊張性頭痛と呼ばれることもあります。

※1 板状筋は、体の後ろ側、首から背中の上部にかけて伸びている筋肉。

首からボキボキと音が鳴る

むちうちになり、首がボキボキと鳴るのは、骨のズレが原因ではありません。脊柱起立筋(※2)と呼ばれる筋肉のズレが原因となり、引き起こされています。

※2 脊柱起立筋は、脊柱の背中側にある筋肉。

首や背中の張り

むちうちによって、首や背中に張りがある場合は、肩甲挙筋(※3)や菱形筋(※4)が原因となっています。この2つの筋肉は、僧帽筋の下にあり、ほぐすことが難しい筋肉だといわれています。

肩をすくめたり、頭を後ろに傾けたり、首を左右に曲げる際に痛みを感じる場合は、肩甲挙筋に原因があります。懸垂に似た動作、棒にぶら下がったときに痛みを感じた場合は、菱形筋に原因があります。

※3 肩甲挙筋は、体の後ろ側、首から肩甲骨にかけて伸びている筋肉。
※4 菱形筋は、体の後ろ側、背骨と肩甲骨を結んでいる筋肉。

むちうちの症状に気づかない場合もある

交通事故が原因でむちうちの怪我を負ってしまった場合、症状に気づかないことがあります。

交通事故後は、突然の非常事態に身体が興奮状態となることがあります。身体が興奮状態になってしまうと、アドレナリンやβエンドルフィンという物質が体内に分泌されます。この2つの物質には鎮痛作用があるため、痛みに気づきにくい状態になります。したがって、身体の興奮状態が落ち着いた数日後に、むちうちの症状があらわれることがあります。

しかし、むちうちの症状を放置してしまうと、症状が悪化してしまう可能性があるため、事故後は必ず病院で検査を受けるようにしましょう。

湿布によるむちうちの治療


むちうちの場合、病院で湿布が処方されることがあります。湿布でむちうちの治療を行う場合は、冷たい湿布と温かい湿布の使い分けが必要です。

むちうちになった直後は、痛みのある部分が熱を持っていたり、腫れており、筋肉や靭帯などが炎症を起こしています。この時期は、冷たい湿布を使って痛みのある部分を冷やし、炎症を抑えるようにしましょう。

むちうちによる痛みが落ち着いてきたら、炎症が治まっている状態です。この時期は、温かい湿布を使うようにしましょう。痛みのある部分を温めることによって、血行が促進され、痛みを緩和させる効果が得られます。

ただし、湿布だけでは、むちうちを緩和させることができません。なぜならば、湿布は炎症を抑えたり、痛みを緩和させたりする一時的な効果しかなく、痛みの原因部分を治すものではないからです。したがって、湿布による治療だけでなく、様々な治療を受けることをおすすめします。

湿布以外の治療も受けること!

むちうちは、整形外科や整骨院、鍼灸で施術可能な怪我です。そのため、湿布以外にも以下のような治療・施術があります。

  • 手技療法
  • 電気療法
  • 鍼灸
  • 牽引
  • ブロック注射    など

手技療法

手技療法は、皮膚や筋肉、骨、神経系などを手で揉みほぐし、刺激を与えて活性化を図り、生体機能の回復の手助けを行う施術です。手技療法では、痛みのある部分だけでなく、体全体を把握し、症状の原因を突き止めて施術を進めていきます。

手技療法によって得られる具体的な効果は、以下の通りです。

  • 痛みの緩和
  • 筋肉の緊張を和らげる
  • 血行促進
  • 新陳代謝の向上
  • 神経の働きの鎮静    など

電気療法

電気療法とは、体に電気刺激を与えて筋肉をほぐしていく施術で、施術時間はだいたい10~15分程度だといわれています。電気療法によって得られる具体的な効果は、以下の通りです。

  • 痛みの緩和
  • 筋肉の強化
  • 血行促進
  • 自然治癒力の向上

鍼灸

鍼灸とは、はりと灸を使って、全身にある361箇所のツボを刺激する施術のことです。ツボを刺激することで症状が緩和されたり、弱っている生体機能を回復させていきます。

また、鍼灸はむちうちや頭痛、神経症などに効果があると、世界保健機構(WHO)に認められた施術です。

牽引

牽引とは、首や腰などを手や器具を使って引っ張る施術のことです。むちうちの場合、首を牽引して関節の変形を矯正させたり、神経が通っている椎間孔を広げることで、症状が緩和されます。

ブロック注射

ブロック注射とは、痛みを感じる部分に局所麻酔薬を打つ施術のことで、トリガーポイントや星状神経節ブロックなど様々な種類があります。

ブロック注射を行うことで、興奮した神経を落ち着かせ、痛みを緩和させる効果が期待できます。また、血行を促す効果もあるため、一時的な効果だけでなく、麻酔が切れた後でも症状が緩和された状態が持続するといわれています。

むちうちの治療についてのまとめ

いかがでしたか。むちうちを湿布で治療する場合は、受傷直後は冷たい湿布、痛みが落ち着いた後は温かい湿布といったように使い分けることが大切です。冷たい湿布には、炎症を抑える効果があり、温かい湿布には血行を促して痛みを緩和させる効果があります。

しかし、湿布による治療だけでは、むちうちを緩和させることができません。そのため、湿布を貼るだけでなく、手技療法や鍼灸、ブロック注射などの治療・施術も並行して行うようにしてくださいね。