交通事故の加害者は代車費用を受け取れる?請求のルールについて
久しぶりの休日、サーフィンをするために自分の所有する車を運転し、海へ向かっていた。海へ向かう途中、中型トラックが中央線を越えてきた。中型トラックを避けるため、自分が運転している車のハンドルを動かしたが、間に合わず衝突した。
交通事故によって車の後方部分が大きく破損してしており、修理に出すことにした。「自分の車を修理に出してしまうと、通勤が大変になってしまうな。」と思った。
「代車の費用を加害者が負担してくれれば、ありがたいのに…。」
このようなお悩みありませんか?今回の記事では
- 交通事故で車が破損したらどうすべきか
- 交通事故で破損した車を修理すべき場合
- 交通事故で破損した車を買い替えるべき場合
- 交通事故の加害者に代車費用を請求できるか
について説明していきます。
もくじ
交通事故で車が破損した場合
交通事故にあったとき、被害者は怪我を負うだけでなく、車が破損することもあります。交通事故で車が破損した場合、以下の2つの損害に分けることができます。
- ①物理的全損:交通事故によって車が修理できない程、壊れてしまっている状態のこと
- ②経済的全損:修理費用が車の時価額(※1)を超えてしまった状態のこと
交通事故でこのような車の損害を受けた場合、修理費用を加害者に請求することも可能です。しかし、車の修理費用を全額負担してもらえるわけではありません。車の修理費用で負担してくれる金額は、時価額分のみと決められています。
例えば、修理費用が120万円で、時価額が50万円だったとします。その場合、時価額分の50万円のみが加害者が負担してくれる金額となるのです。
車の修理費用が時価額を超えたとしても、被害者には時価額分しか支払われません。しかし、交通事故の被害者になってしまったら自分にとって不利益にならないようにしたいものですよね。では、車を修理するか買い替えるか、どちらを選択すべきなのでしょうか。次で説明していきます。
※1 時価額とは、車が交通事故にあう直前の価格のことを指します。同じ車種・年式・型式・使用状態・走行距離の条件に合った車を中古車市場で買うときの価格と考えてよいです。
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交通事故で破損した車を修理すべき場合
交通事故で破損した車を修理すべき場合は、時価額よりも修理費用が低いときです。
交通事故にあった車の時価額が80万円、車の修理費用が60万円と仮定します。このときの時価額と修理費用を比較したとき、時価額よりも修理費用が20万円低いことがわかります。この場合、時価額が修理費用を上回っているため、修理費用分の60万円を全額請求することができます。
したがって、時価額よりも修理費用が低い場合は、車を修理に出すべきといえます。
交通事故で破損した車を買い替えるべき場合
交通事故で破損した車を買い替えるべき場合は、時価額よりも修理費用が高くなるときです。先ほど述べたように、加害者が負担してくれる修理費用は、車の時価額分のみとなっています。
交通事故にあった車の時価額が80万円、車の修理費用が120万円と仮定したとき、修理費用が車の時価額よりも40万円高いです。ということは、車の時価額を超えてしまった40万円分は自分で支払うことになってしまします。
これに当てはまる場合は、買い替えを選択した方がよいでしょう。
交通事故の加害者に代車費用を請求できる?
交通事故で破損した車を修理や買い替える場合、被害者の手元に車がない状態となってしまいます。修理期間や買い替えまでに、代車を借りて過ごすこともあるでしょう。その場合、代車費用を加害者に請求することが可能です。代車費用を請求するには、「代車を使用するべき」という事実がが、認められなければなりません。
代車費用を請求するときの問題点3つ
代車費用を請求する場合、3つの項目が問題となるでしょう。
- ①代車を使用する必要性があるか
- ②使用する代車の車種
- ③代車を使用する期間
①代車を使用する必要性があるか
代車を使用する必要性があるかの判断は、「通勤や業務上で使用するため」「病院への通院のため」など、日常生活を送る上で代車の必要性が明確にわかるときです。この場合は、代車の必要性が認められる傾向があります。
一方、通勤に代車を利用していたとしても、「事故車以外に車を保有しているとき」「バスや電車などの公共の交通機関で十分代替できる」などの場合は、代車の必要性が認められないと考えられてしまいます。これらに当てはまる場合は、代車の費用が請求できない可能性があるので注意しましょう。
②使用する代車の車種
代車で使用する車種は、好きな車種を選べるとは限りません。実際に代車費用で認められるのは、代替に妥当なグレードの車種になります。
基本的に、代替に妥当なグレードの車種を借りたときの代車費用しか請求できません。高級車を代車として借りた場合は、この条件に当てはまらないので、代車費用を認められないことがあります。
③代車を使用する期間
代車の使用が認められる期間は、以下の通りです。
- 交通事故で車を買い替える場合:買い替えに必要な期間
- 交通事故で車を修理する場合:修理するのに妥当な期間
また、見積りや交渉するための期間も含まれることがあります。交渉によって、修理を開始するまで期間を要した場合でも、その期間中に代車を使用することが認められます。このような場合、被害者は交渉の経緯の記録を残しておかなければ、交渉期間中の代車費用が認められないこともあるので、注意が必要です。
交通事故の代車費用についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故が原因で代車を使用する場合、加害者に代車費用を負担してもらうことができます。代車費用を請求する場合は、「代車を使用する必要性があるか」「使用する代車の車種が妥当なものか」「代車を使用する期間は適切なものか」の3つの点に注意しましょう。