むちうちの後遺症認定が難しいのは何故?後遺障害等級認定のポイント
交通事故で負う怪我のうち、多くの方が「むちうち」と診断されます。「むちうち」は後遺症が残ることもあり、後遺障害等級認定を受けることになるかもしれません。
しかし、むちうちで後遺障害等級が認定されるのは難しいといわれています。そこで今回は、「むちうちの後遺症の認定が難しいといわれる理由」について解説していきます。
むちうちとは?
交通事故で最も多い怪我は「むちうち」といわれています。むちうちは、交通事故の衝撃で首が鞭のようにしなり、首周辺の筋肉や靱帯が損傷することで、様々な症状があらわれます。
むちうちであらわれる症状は、以下の通り。
- 首の痛み
- 肩のこり
- 腰痛
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 耳鳴り
- 手足のしびれ など
上記のように、一見むちうちとは関係のないような、耳鳴りやめまいなどの症状もあらわれるので注意が必要です。そして、むちうちの症状は、後遺症が残ってしまう可能性もあります。
▶︎参考:むちうちは5つの症状型に分類することができる
▶︎参考:むちうちの怪我は3つの通院先から選択可能!
後遺症が残ったら後遺障害等級認定を申請する
むちうちの症状が後遺症になってしまった場合、後遺障害等級認定を申請しましょう。後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認定された場合、認定された等級に応じた金額の後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。
▶︎参考:等級別の後遺障害慰謝料の金額についてはこちら
▶︎参考:逸失利益の計算方法について詳しく知りたい方はこちら
後遺障害等級認定の申請手続き
後遺障害等級認定を申請する場合、事前認定または被害者請求のどちらかで行います。
事前認定
事前認定で後遺障害等級認定を申請した場合、加害者側の保険会社が手続きを進めてくれます。被害者が行うのは、後遺障害診断書を加害者側の保険会社に提出するだけなので、申請手続きの手間を省くことができます。
しかし、どのような書類内容で後遺障害等級認定を申請したかを把握することができません。そのため、思っていた等級よりも低い等級が認定されたり、非該当になることもあります。
被害者請求
被害者請求の場合、被害者が直接、自賠責保険会社に後遺障害等級認定の申請手続きを行うことになります。そのため、後遺障害等級認定に必要な書類を作成・取得しなければなりません。
事前認定と比較すると、被害者請求は手間がかかります。しかし、後遺障害等級認定の申請を被害者自身で進めることで、納得のいく等級が認定される可能性が高くなります。
むちうちが後遺症として認定されるのは難しい?
むちうちの後遺症は神経症状が多く、レントゲンやMRIなどにも写らないため、後遺障害等級認定で等級が認定されるのが難しいといわれています。では、むちうちが後遺症として認定されるには、どうすればよいのでしょうか。
むちうちの後遺症が等級認定されるコツ
先程も述べたように、むちうちの後遺症は神経症状であることが多いため、神経学的テストを受けるのがよいでしょう。神経学的テストを受けることで、医学的に証明でき、第三者に対して後遺症があることを明確に伝えることができます。
神経学的テストは、ジャクソンテスト・スパーリングテスト・深部腱反射テスト・筋委縮検査といったものがあります。
ジャクソンテスト
ジャクソンテストは、頚部から背部、上肢にかけての放散痛やしびれがあるかを診断するためのテストです。
検査方法は、座った状態で後方から前頭葉に両手を置き、頚椎を下方に圧迫し、症状があらわれれば陽性と判断されます。
スパーリングテスト
スパーリングテストは、神経根障害を調べるためのテストです。
検査方法は、座った状態で頭を傾け、後方から頚椎を下方に圧迫し、症状があらわれれば陽性と判断されます。
深部腱反射テスト
深部腱反射テストは、運動系の障害や末梢神経の障害があるかを診断するためのテストです。
検査方法は、打腱器で腱を叩き、反射があるかをみます。反射がなければ陽性になり、どの程度の障害なのかまで判断します。
筋萎縮検査
筋萎縮検査は、頚椎捻挫による上肢の麻痺で、筋肉が細くなっていないかを診断するためのテストです。
検査方法は、両上肢の肘から10㎝の上腕部、前腕部の周径を測ります。そして、左右の周径を比較して、差があるかないかを検査し、差があれば筋萎縮が起こっていると判断されます。
▶︎参考:後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合は、異議申し立てをする!
むちうちの後遺症の認定についてのまとめ
いかがでしたか。むちうちが後遺症になった場合は、後遺障害等級認定を申請しましょう。
しかし、むちうちの後遺症は神経症状が多いため、後遺障害等級認定で等級は認められない可能性もあります。そのため、神経学的テストを受け、「むちうちの後遺症がある」ことを医学的に証明することが大切です。