後遺障害等級認定の申請期間はいつまで?申請のコツを紹介!

2019年02月01日

交通事故による怪我は後遺障害が残った場合、後遺障害等級認定を申請することになります。しかし、後遺障害等級認定の申請には期限があり、注意が必要です。

そこで今回は、「後遺障害等級認定の申請期間はいつまでなのか」や「申請するときのコツ」などを解説します。

後遺障害等級認定とは?

後遺障害等級認定とは、交通事故が原因で後遺症が残ったときに行う手続きです。後遺障害等級認定には、1~14級の等級があり、症状ごとに等級が決められています。

後遺障害等級認定で後遺障害の等級が認められた場合、被害者は「後遺障害慰謝料」「逸失利益」を受け取ることができます。

  • 後遺障害慰謝料とは、交通事故が原因で後遺症が残ったことで、被害者が負った精神的苦痛の対価として支払われるもの。
  • 逸失利益とは、交通事故後に残った後遺症が原因で労働能力が低下してしまい、減少してしまった将来の収入を補填するもの。

後遺障害等級認定を申請するときのポイント


後遺障害等級認定を申請する場合は、「5つの条件」「申請方法」がポイントになります。以下で詳しく説明していきます。

後遺障害等級認定における5つの条件

後遺障害等級認定で後遺障害の等級が認められるには、以下の5つの条件を満たしていなければいけません。

  • ①医療機関へ定期的に通院していること
  • ②交通事故の状況と被害者が申告する症状の程度が一致していること
  • ③交通事故当初から、被害者の訴える症状が続いており、一貫性があること
  • ④症状が重く、日常的に症状が続いていること
  • ⑤後遺症を医学的に(画像診断や検査結果など)証明できること

後遺障害等級認定の申請方法

後遺障害等級認定の申請方法は、以下の2つです。

  • 事前認定
  • 被害者請求

事前認定

加害者側の保険会社に、後遺障害等級認定の申請手続きを任せる方法です。被害者が加害者側の保険会社に提出するのは、後遺障害診断書のみです。そのため、被害者は後遺障害等級認定の申請手続きの手間を省くことができます。

しかし、加害者側の保険会社に申請手続きを任せるため、どのような内容の書類を作成して申請を行っているのか、被害者は把握することができません。

被害者請求

被害者が直接、加害者側の保険会社に後遺障害等級認定の申請を行う方法です。そのため、被害者は後遺障害等級認定に必要な書類を収集・作成しなければならず、手間がかかってしまいます。

被害者請求で被害者が収集・作成しなければならない書類は、以下の通り。

書類名 入手先
保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書 自賠責保険会社より取り寄せ
交通事故証明書 自動車安全センター
事故発生状況報告書 被害者が作成
医師の診断書 治療を受けた医療機関
診療報酬明細書 治療を受けた医療機関
印鑑証明 住民登録をしている市区町村(区役所等)
後遺障害診断書 治療を受けた医療機関

しかし、これらの必要書類を被害者自身で収集・作成することで、後遺障害の等級が認定されるような書類を作成することが可能です。したがって、納得のいく後遺障害等級認定になります。

このことから、後遺障害等級認定を申請する際は、「被害者請求」で行うことをおすすめします。

後遺障害等級認定の申請期間は決まっている?

後遺障害等級認定の申請期間には決まりがあり、事前認定と被害者請求によって異なります。

それぞれの請求方法における後遺障害等級認定の申請期間は、以下の通り。

  • 事前認定の場合:加害者が被害者または医療機関に賠償金を支払ってから3年以内
  • 被害者請求の場合:症状固定を診断された日から3年以内

このように、後遺障害等級認定を申請する場合、申請期間に決まりがあるため注意が必要です。特に被害者請求の場合、被害者自身で様々な書類を収集・作成しなければならず、申請の準備に時間がかかる可能性もあります。したがって、被害者請求を行う場合は、早めの行動を心がけましょう。

後遺障害等級認定を申請して結果はいつ出る?

後遺障害等級認定には、申請期間が決められていることがわかりました。しかし、後遺障害等級認定を申請した場合、認定結果はいつ出るのでしょうか。

損害保険料率算出機構によると

(2)損害調査の所要日数

 2016年度において、自賠責損害調査事務所における受付から30日以内に調査が完了した自賠責保険の割合は、死亡では全体の79.5%、後遺障害では同80.3%、傷害では同98.7%となっています。

自動車保険の概況 2017年度版 2018年4月発行

このように、後遺障害等級認定を申請した場合、30日以内に終了する事案がほとんどであることがわかります。

後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合

後遺障害等級認定は書類のみで審査が行われます。そのため、「予想していた等級と違う…。」「等級が非該当だった。」というように、後遺障害等級認定の結果に納得がいかないこともあるでしょう。

その場合は、「異議申し立て」というものを行います。

異議申し立てとは、納得がいかない後遺障害等級認定の結果に対して、自身にとって妥当な認定をしてもらうように、再び後遺障害等級認定を申請することです。

しかし、異議申し立てをすれば、必ず妥当な等級を認定されるとは限りません。異議申し立てを行う場合は、以前提出した書類よりも説得力のある根拠が必要になるのです。

異議申し立ての方法

異議申し立ての方法は、以下の3つです。

  • ①自賠責保険会社に対して異議申し立てを行う。
  • ②自賠責紛争処理機構に対して異議申し立てを行う。
  • ③裁判を起こす。

①自賠責保険会社に対して異議申し立てを行う。

以前、後遺障害等級認定を申請した窓口に異議申し立て書を提出して、異議申し立てを行います。この方法で行う場合、何度でも異議申し立てを行うことが可能です。

しかし、前回と同じ機関が再度、後遺障害等級認定を行うことになるため、提出書類の見直しをした方がよいでしょう。

②自賠責紛争処理機構に対して異議申し立てを行う。

異議申し立ては、自賠責紛争処理機構に対して行うことも可能です。自賠責紛争処理機構とは、自賠責保険に関する紛争が発生した場合に、公正・中立な判断を行う第三者機関です。

自賠責紛争処理機構は、前回後遺障害等級認定を行った機関と異なる機関です。そのため、後遺障害等級認定の結果が変動する可能性が期待できます。しかし、自賠責紛争処理機構に対して行う異議申し立ては、原則1回しかできないので、注意しましょう。

③裁判を起こす。

後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合の最終手段として、裁判を起こすことも可能です。裁判の場合は、書面のみだけでなく、主張・立証を行うことになります。

後遺障害等級認定の申請期間についてのまとめ

いかがでしたか。後遺障害等級認定の申請期間は決まっており、申請方法によって異なります。

後遺障害等級認定を事前認定で行った場合は、加害者が被害者または医療機関に賠償金を支払ってから3年以内となっております。一方、後遺障害等級認定を被害者請求で行った場合は、症状固定と診断された日から3年以内となっております。

また、後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合は、異議申し立てを行い、再度後遺障害等級認定を行うことも可能です。妥当な等級が認定されるまで諦めず、異議申し立てをしてみることをおすすめします。