交通事故にあった車は、買い替えと修理どちらにするべき?

2018年11月12日

休みの日に、片側3車線の大きな道路を走っていたときのこと。後ろを走行していた車のブレーキが間に合わず、自分の車とぶつかった。この交通事故により、自分の車の後方がつぶれてしまった。「車を買い替えた方がいいのかな。」

そんな悩みを抱えていませんか。
今回の記事では、

  • 物理的全損と経済的全損について
  • 事故車を買い替えるべきなのか、修理すべきなのかについて
  • 事故車の買い換え費用や修理費を誰が負担するのか

について説明していきます。

事故車は2つに分類できる

交通事故によって車が損害を受けた場合、以下の2つに分類することが可能です。

  • ①物理的全損
  • ②経済的全損

①物理的全損

物理的全損とは、交通事故で車の修理ができない程、大きな損害を受けている状態を指します。

②経済的全損

経済的損害とは、修理費用が車の時価額(※1)を上回った状態のことを指します。

※1 時価額とは、車が交通事故にあう直前の価格のことを指します。同じ車種・年式・型式・使用状態・走行距離の条件に合った車を中古車市場で買う際の価格と考えるとわかりやすいかと思います。

事故車を買い替えた方がいいとき

事故車を買い替えた方がいいときは、時価額よりも修理費が高くなるときです。
そもそも加害者が負担してくれる車に関する損害は、事故車の時価額分のみとなっています。

事故にあった車の時価額が80万円、事故車の修理費が120万円と仮定したとき、修理費の方が40万円高くなっています。先程も述べましたが、加害者が負担してくれる車に関する費用は時価額分のみです。ということは、車の時価額より高い40万円分は自分で支払うことになってしまします。

これに当てはまる場合は、買い替えを選択した方がよいでしょう。

事故車を修理に出した方がいいとき

一方、事故車を修理に出した方がいいときは、時価額よりも修理費が低いときです。

事故にあった車の時価額が80万円、事故車の修理費が60万円だと仮定します。時価額と修理費を比較すると、時価額よりも修理費が20万円低いことがわかります。この場合、時価額が修理費を上回っているため、時価額分までである修理費の60万円全額が支払われることになるのです。

したがって、時価額よりも修理費が低い場合は、修理に出した方がいいといえます。

車の買い替えや修理する費用は誰が負担する?

交通事故にあって怪我を負ったとき、治療費や診察費などを加害者に請求します。このように、事故車に関する費用は、誰に請求すべきなのでしょうか。

  • 加害者が負担してくれる場合
  • 自分が加入している保険会社が負担してくれる場合

事故車に関する費用は、上記の2つに負担してもらうことができます。

加害者が負担してくれる場合

対物賠償責任保険から、事故車の時価額分までの修理費用・代車費用・様々な買い替え費用を負担してもらえます。
事故車の時価額分までの修理費用は、先程述べた通りです。

代車費用は、過失割合が10対0で加害者に落ち度がある場合に認められるものです。車を買い替えるときや修理するときに代わりの車を利用した場合に負担してもらえます。

様々な買い替え費用の具体例

  • 自動車取得税申請手数料
  • 登録手続き代行料
  • 車庫証明費用
  • 車庫証明手続き代行費用
  • ナンバー交付手数料
  • 納車費用
  • 車両整備費用
  • 廃車費用
  •         

加害者が対物超過修理費用特約に加入していて、修理費が時価額より超えていたがプラス50万円の範囲内で修理ができるときに負担してもらえます。しかし、この費用を受け取る場合は、必ず修理する必要があるので注意が必要です。

▶︎参考:加害者に車の修理費用を請求する流れについてはこちら

自分が加入している保険会社が負担してくれる場合

事故車に関する費用は、自分が加入している保険が負担してくれる場合があります。

車両保険

車両保険は、全損の場合に支払われるものです。この場合は、同じ型の車を中古車で購入した場合の市場価格が支払われます。

新車特約

新車特約では、契約時に設定した金額が新しい車の購入費用として支払われます。ただし、新しい車の購入費用が契約時に設定した金額を超えた場合は、超えた金額分を自分で負担することになります。

買替時諸費用特約

買替時諸費用特約では、車を買い替える場合に車両保険金額の15%(上限40万円)が支払われます。ただし、全損保険金や新車特約の登録諸費用保険金を一緒に受け取ることはできません。

全損超過修理特約

全損超過修理特約では、車両保険金額プラス30万円~50万円が修理費用として支払われます。ただし、必ず修理をしなければ受け取ることができません。

代車費用特約

代車費用特約では、事故が原因で車を修理したり、買い替えるために車を使えない間のレンタカー費用が支払われます。ただし、1日当たりのレンタカー費用は、契約時に設定した金額が上限です。また、支払われる期間はレンタカーを使い始めてから30日間となっています。

上記で紹介した、自分が加入している保険会社が負担してくれる費用は、契約内容によって支払われる場合と支払われない場合があります。一度、保険会社に問い合わせることをおすすめします。

事故車を買い替えるときのまとめ

いかがでしたか。

  • 事故車を買い替えた方がいい場合は、時価額よりも修理費が高くなるとき
  • 事故車を修理に出した方がいいときは、時価額よりも修理費が低いとき

上記を基準に、事故車の処理を行うようにしましょう。また、加害者が負担してくれるのは、事故車の時価額分です。自分の時価額がどの程度になるかしっかり調べることをおすすめします。