交通事故の病院代の実費は被害者が支払う?保険の仕組みについて

2019年02月01日

交通事故の被害にあい、怪我をしてしまった場合、病院代が必要になるでしょう。交通事故の被害者の病院代は、健康保険を使うと実費3割分を被害者が支払うことになります。今回の記事では、健康保険を使ったときの病院代についてを中心に説明します。

交通事故後、健康保険を使って治療した場合

交通事故後、怪我を負ったとき、健康保険を使って治療を受けることも可能です。健康保険を使った場合、被害者が病院代の実費3割負担にすることができます。

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健康保険で被害者に給付されるもの

交通事故による怪我の治療に健康保険を使った場合、以下のような給付金を受け取ることができます。

給付金の種類 どんなものに給付されるか
療養の給付 健康保険の加入者が病気や怪我をし、健康保険を使って治療を受けたときの診察や薬、処置などの費用に対して支給されるもの
傷病手当金 健康保険の加入者が病気や怪我で労働できず、その期間の賃金が減額されたり、受け取れなかった場合に支給される
療養費 健康保険の加入者がやむを得ない事情により、医療機関で保険診療を受けることができず、自費で受診した場合に支給される
埋葬料 健康保険の加入者が死亡した場合、健康保険の加入者の埋葬を行う人に支給されるもの
移送費 移動が困難な健康保険の加入者のうち、医師の指示で一時的・緊急性があり、移送された場合に支給されるもの

では、これらの給付金を受け取るには、どのような手続きが必要なのでしょうか。

病院代の支払いに健康保険を使うための手続き

健康保険を使い、交通事故の治療を受けた場合の手続きの流れは、以下の通り。

  • ①治療を受ける医療機関に、健康保険を使いたい旨を伝える
  • ②自分が加入している健康保険組合に必要書類を提出する

①治療を受ける医療機関に、健康保険を使いたい旨を伝える

交通事故の治療で健康保険を使う場合は、健康保険証を提示するだけでなく、健康保険を使って交通事故治療を受けるという意思表示をするようにしましょう。

また、「初診時に健康保険証を提示できず、健康保険の対象にできなかった…。」ということがあるかもしれません。その場合は、一度、通院先の医療機関に相談してみてください。後日、健康保険証を提示できれば、初診の病院代から健康保険の対象として扱ってくれる医療機関もあります。

②自分が加入している健康保険組合に必要書類を提出する
健康保険を使う場合の必要書類として一番大事な書類は、「第三者行為による傷病届」です。

交通事故の被害者が治療のために必要になる病院代は、加害者である第三者の行為が原因です。そのため、基本的に交通事故の加害者が負担すべきものです。

健康保険の保障を受けた場合でも、最終的には健康保険組合が、交通事故の加害者に病院代を請求します。そのときに必要な書類が「第三者行為による傷病届」です。

また、第三者行為による傷病届以外にも、以下のような書類が必要です。

  • 負傷原因報告書
  • 事故発生状況報告書
  • 念書
  • 損害賠償金納付確約書
  • 同意書

交通事故で使われる一般的な保険とは?

交通事故にあったとき、被害者が使える保険は、健康保険だけではありません。そもそも交通事故の被害者が使う保険で一般的なものは、以下の2つです。

  • 自賠責保険
  • 任意保険

①自賠責保険

自賠責保険とは、車を所有し、運転する人が必ず加入しなければならない保険です。自賠責保険では、交通事故の被害者を救済するため、最低限の保障をすること目的としています。そのため、自賠責保険から交通事故の被害者に支払われる限度額が、120万円と決められます。

▶︎参考:自賠責保険について詳しく知りたい方はこちら

自賠責保険を使う場合でも健康保険を使うこと!

先程も述べたように、自賠責保険は支払い限度額が120万円と決められています。しかし、病院代だけで支払い限度額である120万円を超えてしまうこともあります。120万円を超えてしまうと、自賠責では、その他損害賠償(通院交通費や慰謝料など)として受け取るべきものを受け取れなくなってしまいます。

また、交通事故の加害者が任意保険に入っていなかった場合、支払い限度額の120万円を超えてしまった分は自己負担しなければなりません。

このような事態にならないためにも、健康保険を使いましょう。健康保険を使うことで病院代を3割負担に抑えることができます。病院代を抑えることで、自賠責保険で通院交通費や慰謝料も補えるようにすることも可能です。

このように、健康保険を使えば、自賠責保険を有効活用することができます。

②任意保険

任意保険は、自賠責保険でカバーできない部分を補償するための保険です。そのため、任意保険の加入が自由にもかかわらず、車を運転する人の多くが加入しています。

任意保険の場合、被害者だけでなく、加害者となったときにも補償を受けることができます。

▶︎参考:任意保険について詳しく知りたい方はこちら

交通事故後の病院代についてのまとめ

いかがでしたか。交通事故による怪我の病院代に健康保険を使うと、3割負担にすることができます。それによって、被害者が負担すべき病院代を抑え、自賠責保険を有効活用することが可能です。

健康保険を使う場合、医療機関への申し出や第三者行為による傷病届を健康保険組合に提出しなければなりません。健康保険を使って通院できるよう、忘れずに手続きを行いましょう。