交通事故の怪我で通院! 健康保険証を使うメリット・デメリットは?

2019年02月01日

交通事故で怪我を負った場合、医療機関を受診するでしょう。 そのとき「交通事故治療でも健康保険証は使えるのだろうか…。」と疑問に思うかもしれません。

そこで今回はその疑問を解決すべく、交通事故による怪我の治療で健康保険を使用する場面や、使用する際の注意点等をご説明します。

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交通事故の怪我でも健康保険証は使える?

前述した通り、交通事故による怪我の治療は、自賠責保険を使用して治療を受けるのが一般的です。しかし、加害者側の保険会社との連絡が取れない、当て逃げやひき逃げの被害にあったといった場合は、「被害者自身で、健康保険証を使用して治療を受ける」こともあります。

また、交通事故が起こったときの状況に関わらず、怪我の治療を進めていくうえで、健康保険証を使用することも可能です。

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健康保険の保険証を使うメリット4つ

健康保険証を使った場合、保険診療となり診療点数の数え方、単価が決まっています。そのため、どこの病院へかかっても同じ治療には、同じ金額しかかかりません。
一方、交通事故の治療を自由診療で受けた場合、同じ治療であっても病院ごとに代金が違います。

そんな健康保険証を使用するメリットは、以下の4つです。

  • ①3割負担となる為、窓口で負担する金額が低くなる
  • ②医療費を自賠責保険の範囲内におさめることができる
  • ③自分の過失割合が高いとき(5割)は、健康保険を使ったほうが治療費を抑えられる
  • ④加害者が見つからない交通事故においては、自分の健康保険を使って治療するしかない

交通事故治療で自賠責保険を使った場合、自由診療になるため、毎回初診料が加算されるということです。今まで健康保険証を使う治療しかしたことがない方にとっては、驚きの事実ですよね。

交通事故による怪我の治療を健康保険証と使って受けると、自賠責保険の限度額におさまる可能性が高くなります。自賠責保険では、120万円(限度額)を超えると任意保険に切り替わるため、120万を超えてしまった分は任意保険が支払うことになります。

つまり、相手が任意保険に加入していなければ、120万以上の治療費は保障されず、ひき逃げなど加害者が見つからないときは、自分の健康保険を使うしかありません。

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交通事故で健康保険証を使うと給付されるもの

交通事故で健康保険証を使うと、以下のものが給付されます。

療養の給付 被保険者が病気や怪我をし、健康保険で治療を受けたときの診察や薬、処置などの費用に対して支給される
傷病手当金 被保険者が病気や怪我で労働できず、その期間の賃金が減額されたり、
受け取ることができなかった場合に支給される
療養費 被保険者がやむを得ない事情により、保険医療機関で保険診療を受けることができず、
自費で受診したといった場合に支給される
埋葬料 被保険者が死亡した場合、被保険者の埋葬を行う人に対して支給される
移送費 移動が困難な被保険者が、医師の指示で一時的・緊急性があり、
移送された場合に支給される

交通事故治療で健康保険証を使用するには?

実際に、治療で健康保険の保険証を使用する場合、実際にはどんな手続きが必要になるのでしょうか。

健康保険を使う場合は、以下のような手続きが必要です。

  • 医療機関へ健康保険を使う旨を伝える
  • 健康保険組合に届出を出す

健康保険組合に届出を出す際に重要なのが、「第三者行為による傷病届」です。

「第三者行為による傷病届」を提出する

交通事故の怪我で健康保険証を使用する場合は、「第三者行為による傷病届」が必要です。加害者のいる交通事故の場合、相手方の保険(自賠責保険や任意保険)に怪我の治療費を負担してもらいます。

つまり、加害者に負担してもらうべき治療費を、健康保険組合に一部立て替えてもらうことになります。第三者行為による傷病届は、後日健康保険組合から加害者側の保険会社へ健康保険給付した費用を請求するために必要な書類なのです。

その他に必要な書類

交通事故の怪我で健康保険証を使用する場合、第三者行為による傷病届以外にも必要な書類があります。以下にまとめました。

  • 負傷原因報告書
  • 事故発生状況報告書
  • 念書
  • 損害賠償金納付確約書
  • 同意書

上記の書類も併せて準備しましょう。

交通事故治療で健康保険証を使用すべきケース

自由診療で、加害者側の保険会社が治療費を支払ってくれるのなら何も問題はないのですが、健康保険を使用した方がいい場合もあります。
健康保険を使用する3つのケースを以下にまとめました。

  • ①加害者の保険会社が治療費を支払ってくれない場合
  • ②加害者の保険会社に通院治療費の支払いを打ち切られた場合
  • ③自分の過失割合が大きい場合

第三者行為による傷病届を出せば、加害者のいる事故であっても健康保険証は使えます。また、健康保険証は使えば、窓口負担も3割で済みます。したがって、「すべての交通事故の治療において、健康保険証が使えない」というのは間違いです。

健康保険証を使用する場合の注意点


健康保険証を使用する場合の注意点は、以下の3つです。

  • ①健康保険証が適用される治療しかできない
  • ②病院や医師によって対応可否がある
  • ③労災保険が使える場合は健康保険証を使えない

健康保険証が適用されない治療については、当然ながら健康保険証を使えません。質の高い医療を受けたいと思っても、健康保険証が使えないということで諦めざるを得ない場合もあるかもしれません。

また、開業している医師の中には、自由診療をメインにとして場合もあります。健康保険証を使いたいと言ったとたんに態度を変える人も残念ながらいるようです。診断書を気持ち良く書いてもらえないなど、嫌な思いをすることにも繋がりかねません。
健康保険証を使って治療をすることと、その病院にお世話になることのどちらが大事かをよく考える必要があります。

さらに、勤務中や業務中といった労災保険が使える交通事故の場合は、健康保険証を使うことができませんので、注意が必要です。

健康保険証を使用する場合は、きちんと確認

交通費事故治療において健康保険証が使えないというのは、「そのままでは使えない」というだけであることをご理解いただけましたでしょうか。

第三者行為による傷病届をご加入中の健康保険組合に出せば、いつも通り健康保険証を使うことが可能です。健康保険証を使って交通事故治療を受ける場合は、病院の窓口で「第三者行為による傷病届」を提出することを忘れないようにしてください。

また、保険会社から「健康保険証を使って欲しい」と言われたときや、相手側が自賠責保険しか入っていないときなどといった場合は、よく話し合うようにしましょう。