交通事故で後遺症が残っても治療をすべき?後遺障害等級認定を申請!
居酒屋のパートを終え、自転車に乗って帰宅していた。帰宅途中にある交差点を渡っていると、蛇行しながら走行していた車が自分の方へ突っ込んできた。この交通事故で怪我を負い、人身事故の被害者となった。
交通事故の怪我を治すために、4ヶ月通院を続けていた。4か月後、交通事故の怪我が完全に治ることはなく、後遺症が残ってしまった。
「後遺症になった後も治療をしていいのかな…。後遺症が残った後の治療費を加害者に請求できないのだろうか。」
このような疑問ありませんか。今回の記事では、
- 交通事故の怪我について
- 交通事故の怪我が後遺症になったら
- 後遺症が残ったときに被害者が受け取れるもの
- 後遺障害等級認定の手続き
について説明していきます。
交通事故の怪我について
交通事故で打撲や骨折などの怪我を負うこともありますが、最も多いとされる怪我は、むちうちです。むちうちについて知らない方もいるかと思います。以下で詳しく説明していきます。
▶︎参考:交通事故で骨折した場合はこちら
▶︎参考:交通事故で打撲した場合はこちら
むちうちとは
むちうちは、交通事故の衝撃で首が鞭のようにしなり、首周辺の筋肉や靱帯などが損傷することで症状があらわれます。むちうちには様々な症状があり、以下のような症状があらわれている場合は、むちうちの可能性があります。
- 首を動かすと痛い
- 首や肩が動きにくい
- 首と背中が凝っている
- 頭痛やめまい
- 腕が痛い、しびれがある
- 後頭部や顔面が痛い
- 吐き気がある
- 耳鳴りがする
- 尿や便が出にくくなった
- 歩行障害が出ている
むちうちの通院先3つ
交通事故の被害者は、加害者の保険会社に治療費や診察費などを請求することができます。加害者に治療費や診察費などを請求する場合、以下の通院先であれば、保険が適用されます。それぞれの通院先についてまとめました。
治療・施術する人 | 治療内容 | |
---|---|---|
整形外科 | 医師 | 痛み止めや湿布の処方、レントゲンやMRIの検査など |
整骨院 | 柔道整復師 | マッサージや手技治療、電気療法、牽引など |
鍼灸院 | はり師・きゅう師 | はりと灸による治療 |
通院先は、被害者自身で決めることができます。自分にあった通院先を見つけましょう。
交通事故の怪我が後遺症になったら
交通事故の怪我を治療していても、症状の緩和がみられない場合もあります。そのとき、担当医から症状固定と診断されます。
症状固定と診断されてしまうと、交通事故の怪我が後遺症として残ったことになります。
▶︎参考:交通事故の怪我が症状固定になるまでの期間についてはこちら
治療は続けるべき?
交通事故の怪我が後遺症になった場合、治療を続けるべきなのでしょうか。
後遺症は症状の緩和がみられない状態なので、治療をしても症状は緩和しないと考えてよいでしょう。治療を続けても症状が緩和することがないため、治療費や診察費を支払う必要性がないと保険会社が判断します。そのため、今まで加害者側の保険会社から受け取っていた治療費や診察費などを受け取ることができません。
後遺症が残ったときに被害者が受け取れるもの
交通事故で後遺症が残った場合、被害者は治療費や診察費を受け取ることができませんが、「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」というものを受け取ることができます。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことにより、被害者が負った精神的苦痛の対価として加害者が支払うものです。ただし、後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められなければ、被害者は後遺障害慰謝料を受け取ることはできません。
後遺障害の等級別慰謝料は、以下をご覧ください!
逸失利益
逸失利益とは、交通事故が原因で後遺症が残ってしまい、労働能力が低下したことで減ってしまった将来の収入分を補うものです。後遺障害慰謝料と同じく後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められなければ、被害者は逸失利益を受け取ることはできません。
逸失利益は、基礎収入(年収)×労働能力喪失率×ライプニッツ係数で計算できます。
交通事故の後遺症は後遺障害等級認定を申請
先程、後遺障害慰謝料や逸失利益は後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められなければ受け取れないといいました。後遺障害等級認定を申請するには、どのような手続きが必要なのでしょうか。
後遺障害等級認定の手続き方法
後遺障害等級認定の手続き方法は、「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります。
事前認定
事前認定とは、後遺障害等級認定の申請手続きを加害者側の任意保険会社に任せる方法です。事前認定の場合、被害者は後遺障害診断書を提出するのみでよいため、手続きの手間を省くことができます。
被害者請求
被害者請求とは、被害者自身が直接、加害者側の自賠責保険会社に対して後遺障害等級認定の申請手続きを行う方法です。被害者は、手続きに必要な書類をすべて自分で集め、加害者側の保険会社に送らなくてはなりません。
被害者自身で必要書類を集め・作成することになるので、どのような内容で後遺障害等級認定が進められているかを把握できます。そのため、被害者は納得のいく後遺障害等級認定を得られるというメリットがあります。
後遺障害等級認定の被害者請求で必要な書類は、以下の通り。
- ①保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払い請求書
- ②交通事故証明書
- ③事故発生状況報告書
- ④医師の診断書
- ⑤診断報酬明細書
- ⑥通院交通費明細書
- ⑦印鑑証明書
交通事故の後遺症についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故で後遺症が残った場合、その後の治療費や診察費などを加害者の保険会社に請求することはできません。その場合は治療費や診察費ではなく、後遺障害慰謝料や逸失利益を加害者の保険会社に請求しましょう。
しかし、後遺障害慰謝料や逸失利益は後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められなければ受け取ることができません。このことをしっかりと覚えておきましょう。