交通事故後に残った顔の傷を整形したら、加害者に費用を請求できる?
先日、横断歩道を渡っているところに、雨でスリップした車が突っ込んできた。横断歩道に突っ込んできた車は横転し、自分はその車を避けることができず、下敷きになってしまった。事故時に、車の窓ガラスが割れていたため、顔の至るところにガラスが刺さってしまった。
その後、病院でガラスを取り除いたものの、顔に傷痕が残ってしまっていた。
「交通事故が原因で顔に傷痕が残った場合、整形費用を加害者に請求できるのか…」
このような疑問ありませんか。今回の記事では、
- 顔の傷を綺麗にする整形手術や費用について
- 外貌醜状について
- 後遺障害等級認定の申請
などについて説明していきます。
交通事故による顔の傷を整形して綺麗にしたい!
交通事故が原因で残る顔の傷には、以下のような種類のものがあります。
- 線状痕(せんじょうこん):ガラスで皮膚を切ったときのような、切り傷痕のこと
- 肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん):傷を縫った後、傷口を補強するための線維組織が過剰に生産され、赤く盛り上がった傷痕のこと
- ケロイド:ケロイドは、肥厚性瘢痕がいつまでたっても消えず、どんどん広がっていく傷痕のこと
これらの傷痕を綺麗にするには、整形手術を行う必要があります。
顔の傷を綺麗にする整形手術とは?
顔の傷を綺麗にする整形手術にもいくつかの方法があります。
- 傷跡修正手術:傷痕を目立たなくするための治療のことです。
- スターラックス:傷痕やニキビ跡など、肌の凹凸を目立たなくするために行う治療のことです。
- ケナコルト注射:ケナコルト注射はケロイドの治療に行われ、ケロイドで赤く盛り上がってしまった部分を抑えることができます。
このほかにも、傷痕にあった整形手術を行います。
▶︎参考:顔の傷を綺麗にする整形手術についてより詳しく知りたい方はこちら
顔の傷を綺麗にするための整形費用はどうする?
交通事故が原因で整形手術を行った場合、その必要性が加害者側の保険会社から認められれば、整形手術にかかった費用を負担してもらえることもあります。
しかし、美容外科の治療は、健康保険が適用されないため、高額な治療費になってしまいます。したがって、事前に加害者側の保険会社の確認をとってから、整形手術を行うようにしてください。
整形手術を受けても顔に傷痕が残った場合
交通事故後に整形手術を受けても、顔の傷痕が残ってしまうことがあります。そのとき、外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)と呼ばれる状態であるといえます。
外貌醜状
外貌醜状とは、交通事故により皮膚が裂けてできた傷や擦り傷などの傷が、人目につく部分(※1)に残ってしまった状態のことをいいます。
※1 人目につく部分とは、顔や首、頭など誰でも日常的に目についてしまう部分のことです。
外貌醜状は後遺障害等級認定を申請する!
外貌醜状は、交通事故後に残る後遺症です。交通事故が原因で後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を申請しましょう。
後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認められると、後遺障害慰謝料や逸失利益を
加害者に請求することができます。
- 後遺障害慰謝料:後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことにより、被害者が負った精神的苦痛の対価として加害者が支払うもの。
- 逸失利益:逸失利益とは、交通事故が原因で後遺症が残ってしまい、労働能力が低下したことで減ってしまった将来の収入分を補うもの。
▶︎参考:逸失利益の計算方法について詳しく知りたい方はこちら
外貌醜状の後遺障害等級と慰謝料の相場
後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級によって金額が異なります。ここでは、外貌醜状における後遺障害の等級と後遺障害慰謝料の相場についても説明していきます。
外貌醜状の後遺障害等級と後遺障害慰謝料の相場は、以下の通り。
後遺障害の等級 | 認定の条件 | 具体的な内容 | 後遺障害慰謝料の相場 |
---|---|---|---|
7級12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの | 頭部に残った手の平大(指の部分は含まない)以上の瘢痕(はんこん※2)または頭蓋骨の手の平大以上の欠損 | 409万円 |
顔面部に残った鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没 | |||
頚部に残った手の平大以上の瘢痕 | |||
9級16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの | 顔面部に残った長さ5㎝以上の線状痕 | 245万円 |
12級14号 | 外貌に醜状を残すもの | 頭部に残った鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損 | 93万円 |
顔面部に残った10円硬貨以上の瘢痕または長さ3㎝以上の線状痕 | |||
頚部に残った鶏卵大以上の瘢痕 |
上記の表にある後遺障害慰謝料は、自賠責保険基準で計算した場合のものです。自賠責保険基準以外にも、任意保険基準や弁護士基準で後遺障害慰謝料を計算することもあります。
※2 瘢痕とは、傷やできものなどが治った後、皮膚に残る傷痕。
▶︎参考:後遺障害慰謝料を計算する場合の3つの基準について詳しく知りたい方はこちら
後遺障害等級認定の申請方法
後遺障害等級認定を申請する場合、以下の2つの方法があります。
- 事前認定
- 被害者請求
事前認定
事前認定とは、後遺障害等級認定の申請手続きを加害者側の任意保険会社に任せる方法です。被害者は後遺障害診断書を提出するのみでよいため、手続きの手間を省くことができます。
被害者請求
被害者請求とは、被害者自身が直接、加害者側の自賠責保険会社に対して後遺障害等級認定の申請手続きを行う方法です。被害者は、手続きに必要な書類をすべて自分で集め、加害者側の保険会社に送らなくてはなりません。
被害者自身で必要書類を集め・作成することになるので、どのような内容で後遺障害等級認定が進められているかを把握できます。そのため、被害者は納得のいく後遺障害等級認定を得られるというメリットがあります。
後遺障害等級認定の被害者請求で必要な書類は、以下の通り。
- ①保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払い請求書
- ②交通事故証明書
- ③事故発生状況報告書
- ④医師の診断書
- ⑤診断報酬明細書
- ⑥通院交通費明細書
- ⑦印鑑証明書
▶︎参考:後遺障害等級認定の仕組みについて詳しく知りたい方はこちら
交通事故後の顔の整形についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故後に残った顔の傷痕は様々です。交通事故によって残った顔の傷痕は整形手術の必要性が認められた場合に限り、整形手術にかかった費用を加害者側の保険会社に負担してもらえることもあります。
しかし、美容外科の治療は、健康保険が適用されないため、高額な治療費になってしまいます。したがって、事前に加害者側の保険会社の確認をとってから、整形手術を行うことをおすすめします。