交通事故の損害賠償問題は民事裁判で解決!判決までの流れとは

2019年02月04日

交通事故の損害賠償問題は民事裁判で解決

交通事故によって発生する問題は、最終的に裁判を行うことで解決されます。

交通事故の裁判は2つ。

  • 刑事裁判
  • 加害者に刑罰を負わせるかの判断と量刑の決定を行うための裁判。

  • 民事裁判
  • 被害者に対して加害者が支払う「損害賠償」で発生した問題について争う。

今回は、損害賠償問題を解決するための「民事裁判」について解説していきます。
刑事裁判について詳しく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。

▶︎参考:交通事故の刑事裁判が行われるまでの流れとは?

交通事故で民事裁判を起こすまでの流れ


刑事裁判を起こすことができるのは検察官のみですが、民事裁判は誰でも提起することができます。ここでは、被害者が加害者を被告人として民事裁判を起こした場合の流れをご紹介いたします。

損害賠償金額によって裁判所が異なる

民事裁判は、被害者が加害者に対して請求する損害賠償金額によって、訴訟を提起する裁判所が異なります。

民事裁判の訴訟提起をする裁判所は、以下の2つ。

  • 簡易裁判所
  • 被害者が求める損害賠償請求額が140万円以下。

  • 地方裁判所
  • 被害者が求める損害賠償請求額が140万円以上。

簡易裁判所と地方裁判所、どちらも全国各地にありますが、以下のいずれかを管轄している裁判所に訴訟提起する必要があります。

  • 被害者の住所
  • 被告人の住所
  • 交通事故の発生場所

以上の条件に対してどこの裁判所が管轄を行っているか、あらかじめ確認しておきましょう。

訴状を提出する

訴訟提起をする裁判所が決定したら、訴状を提出します。

訴状に記載すべき内容は、以下の通りです。

  • 訴訟提起をした当事者の住所氏名
  • 加害者に対して請求したい金額
  • 交通事故の内容
  • 損害賠償金額の内訳 など

民事裁判を起こすと費用が発生する

また、民事裁判の訴訟を起こすと、被害者に対して一定の手数料が発生します。手数料の金額は法律で定められており、加害者に対して請求する損害賠償金額によって異なります。

手数料は、訴状の提出を行う際に収入印紙で貼り付けて提出しましょう。

民事裁判の訴状を提出した後の流れ


裁判所に対して訴状を提出した後の流れは、以下の通りです。

  • 第1回口頭弁論期日の指定
  • 争点整理・証拠の提出
  • 尋問
  • 判決

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

第1回口頭弁論期日の指定

訴状提出から1~2ヶ月が経過すると、裁判所から「第1回口頭弁論期日」が指定され、呼び出しがかかります。被害者は、指定された期日に裁判所へ出向かなければいけません。

一方加害者は、訴状に対して「答弁書」という回答書面を裁判所に提出していれば、第1回口頭弁論期日に出席する必要はありません。また、加害者が第1回口頭弁論期日までに争う意思を示さなかった場合、裁判は終了となります。加害者が争いを拒否した場合は、被害者が請求した通りの判決が下されます。

争点整理・証拠の提出

加害者が民事裁判に応じた場合は、1ヶ月に1回程度のペースで裁判所による話し合いが行われます。

裁判所では、被害者と加害者双方がお互いの主張を行い、何が問題で争っているのかを整理していきます。また、お互いの主張を裏付ける証拠の提出も行わなければいけません。

証拠の収集は、本来であれば交通事故当事者が行います。しかし、民事裁判に限っては、裁判所が交通事故当事者に代わって証拠収集を行う「送付嘱託」という方法が使われることもあります。

尋問

争点の整理や証拠提出が済んだら、交通事故当事者や裁判官による本人尋問が行われます。

交通事故では、過失割合や因果関係などで争いがある場合に、事故の目撃者や医師などに対して証人尋問が行われることもあります。

判決

尋問から1~2ヶ月が経過すると、加害者に対して裁判官が判決期日を言い渡します。判決が確定した場合、加害者側の保険会社から被害者に対して損害賠償が支払われ、解決となります。

民事裁判の途中で和解となることも

ここまで、民事裁判によって判決が下るまでの流れを説明してきましたが、実際のところ「和解」によって解決することが多いようです。

民事裁判の争点が整理され、証拠提出が行われた後、裁判所から和解案が提示されます。そして、当事者双方が和解案に納得した場合、裁判は終了となります。

▶︎参考:交通事故の民事裁判!和解案が提示された後の流れについて詳しく知りたい方はこちら。

交通事故の民事裁判についてまとめ

交通事故の損害賠償問題は、最終的に民事裁判を行うことによって解決されます。民事裁判は誰でも起こすことができますが、費用が発生するため注意が必要です。また民事裁判では、加害者に判決が下ることなく、和解で終了するケースが多くあります。