交通事故で不起訴になる基準とは?被害者は不服申し立てできる?
先日、交通事故で怪我負い。そのため、人身事故で処理されると、加害者は起訴か不起訴の判断をされ、場合によっては刑事処分を受けることになります。
「起訴と不起訴どちらになるのか。」「不起訴になる基準はあるのか。」とった疑問はありませんか。今回の記事では、交通事故における起訴・不起訴について解説していきます。
もくじ
交通事故の起訴・不起訴は刑事処分
交通事故の加害者が受ける「起訴・不起訴」の処分は、刑事処分にあたります。起訴とは、検察官が裁判所に対して訴訟を起こし、加害者に対して有罪判決を求めることをいいます。不起訴では、裁判所に対する訴訟は行われません。
また、交通事故の加害者は刑事処分だけでなく、様々な処分を受けることになります。
交通事故の加害者は3つの処分を受ける
交通事故の加害者が受ける処分は、大きく分けて以下の3つ。
- ①刑事処分
- ②行政処分
- ③民事処分
①刑事処分
刑事処分は、人身事故を起こした交通事故の加害者が受けるものです。物損事故の場合、刑事処分を受けることはありません。交通事故の刑事処分には、「罰金刑」と「自由刑」の2つの刑罰があります。
罰金刑
罰金刑とは、交通事故の加害者に対して強制的に金銭を取り立てる刑罰のことです。罰金
の金額は、罪の重さに応じて異なります。
自由刑
自由刑とは、加害者の自由を大きく制限する刑罰のことです。「禁固」と「懲役」の2つに分かれています。
- 禁固:刑事施設に30日以上収容され、身柄を拘束される
- 懲役:刑事施設に30日以上収容され、刑務作業が科せられる
②行政処分
行政処分は、交通違反をした場合に科せられる免許に関する処分や反則金などの処分です。
具体的には、過去3年分の違反点数が加算されて一定数を超えたとき、免許停止や免許取り消しになります。交通事故の行政処分を担当する機関は、警察と公安委員会です。
③民事処分
民事処分は、交通事故の被害者が受けた損害を金銭で賠償するという処分です。いわゆる損害賠償というもので、治療費や慰謝料、通院交通費、逸失利益、休業損害などを支払うことになります。損害賠償の金額は、示談交渉で決まります。しかし、示談交渉がスムーズに進まなかった場合は、裁判になることもあります。
加害者に対しての起訴・不起訴判断は誰が行う?
交通事故の加害者が「起訴・不起訴」のどちらになるのか、という判断は検察官が行います。したがって、被害者が加害者を直接起訴することはできません。
起訴された加害者は、裁判所で何かしらの有罪判決を受けることになります。一方、不起訴になる加害者もいます。ここでは、不起訴になる基準について説明していきます。
交通事故で不起訴になる基準とは?
交通事故で不起訴になる判断基準があります。不起訴となる基準は、以下の3つに分けることができます。
- ①嫌疑なし不起訴
- ②嫌疑不十分による不起訴
- ③起訴猶予
①嫌疑なし不起訴
「交通事故の犯人でないことが明確である。」
「犯罪が成立することを認めれるような証拠がないことが明確である。」
といった場合に、嫌疑なし不起訴処分になります。
②嫌疑不十分による不起訴
交通事故について犯罪を認める証拠が十分でない場合、嫌疑不十分による不起訴処分となります。
③起訴猶予
交通事故で犯罪の疑いが十分にあったとしても、特別な事情が配慮され、起訴猶予という不起訴処分になります。
交通事故の加害者が不起訴になるまでの流れ
交通事故の加害者が不起訴になるまでに流れは、以下の通りです。
- 警察による取り調べ
- 検察官へ送検
- 不起訴の判断
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
警察による取り調べ
人身事故が起き被疑者が逮捕されると、まずは警察による取り調べが行われます。
警察署での取り調べでは、主に交通事故当時の状況について詳しく聞かれるようです。そして、逮捕後48時間以内に警察官から検察官へ、事件が送検されます。
検察官へ送検
事件の送致を受けた検察官は、被疑者の身柄を拘束するかどうかの決定をします。身柄を拘束された場合は、最大20日間刑事施設へ拘留され、捜査が行われます。身柄を拘束されない、いわゆる「書類送検」となった場合、被疑者は釈放され、定期的に呼び出しをしながら取り調べが行われます。
不起訴の判断
検察官が、被疑者に対して不起訴の判断をし、身柄が拘束されている場合は、被疑者に対して不起訴処分の告知を行います。ただし、書類送検された場合は被疑者が問合せを行わない限り、不起訴処分になったことを知ることができません。
交通事故で不起訴になったその後について
交通事故の加害者が起訴された場合、前科がつくことになります。しかし、交通事故の加害者が不起訴になってしまったら、前科はつくのでしょうか。
加害者に前科はつくのか
加害者が不起訴になった場合、前科はつくことはありません。前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けたという経歴を残すためのものです。したがって、加害者が不起訴になった場合、有罪判決を受けていないため、前科はつかないのです。
しかし、不起訴だった場合でも前歴は残ってしまいます。加害者が前歴とは、犯罪を犯したと疑われて、捜査の対象になった事実のことです。
例え不起訴処分になっとしても、警察や検察などの操作対象になってしまったことに変わりありません。そのため、前歴は残ってしまうのです。前歴は、警察、検察、本籍のある市区町村に記録されています。
不起訴処分に対して不服申し立てはできるのか
加害者が起訴されず、不起訴となってしまったとき、処分に納得のいかない場合もあるかと思います。その場合、検察審査会という制度を利用する手段があります。
検察審査会が審査を行う
検察審査会では、検察官が起訴を行わなかったことが適切であるかを審査するもので、被害者から申し立てがあった場合に審査会が開かれます。審査員は、20歳以上の選挙権を持つ国民の中から11人を選んで行います。また、審査をするための費用はかかりません。
審査の結果、起訴すべきという判断に至った場合は、起訴の手続きを行うことになります。
交通事故の不起訴についてのまとめ
いかがでしたか。今回の記事をまとめると
- 交通事故の起訴・不起訴に関する処分は、刑事処分にあたる。
- 交通事故で起訴・不起訴の判断ができるのは、検察官のみ。
- 加害者が不起訴になる基準は、「嫌疑なし不起訴・嫌疑不十分による不起訴・起訴猶予」の3つ。
- 不起訴になった加害者は、前科はつかないが前歴が残る。
- 不起訴に納得がいかない被害者は、検察審査会で起訴の再検討を行ってもらえる。
交通事故の不起訴処分についてわからないことがあれば、この記事を参考にしてくださいね。