後遺障害等級認定に必要な書類は何がある?取得先も紹介!
交通事故で怪我を負ったら、治療をするでしょう。しかし、治療を続けても症状が緩和されないことがあります。
そんなとき、後遺障害等級認定を申請することをおすすめします。今回の記事では、後遺障害の概要や必要な書類、申請方法などについて解説していきます。
後遺障害とは?
交通事故で怪我を負い、治療を続けてもこれ以上症状の緩和が見込めない状態になると、症状固定と診断されます。症状固定となった場合、後遺症が残ることになるのですが、後遺症と後遺障害は、意味合いが少し異なります。
後遺症と後遺障害の違いは、以下の通りです。
- 後遺症:病気や怪我がある程度治った後、治らず残ってしまった機能障害や傷痕などの症状
- 後遺障害:交通事故が原因で残ってしまった後遺症のうち、後遺障害の等級に該当する症状
このように、後遺障害は後遺症に含まれますが、後遺障害の等級に該当している症状に限られているのです。
では、後遺障害が残ってしまった場合、何かすべき対応があるのでしょうか。
後遺障害が残ってしまったら
後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を申請します。後遺障害等級認定を申請すれば、交通事故の被害者は後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。
しかし、後遺障害等級認定を申請すれば、誰でも後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取れるとは限りません。後遺障害等級認定で後遺障害の等級が認定されなければならないのです。
後遺障害等級認定では、以下の5つの条件を満たしていなければ、後遺障害の等級が認められない可能性が高いです。交通事故の被害者は、申請前に一度確認しておきましょう。
- ①「被害にあった事故の程度」と「被害者が医師に申告する症状の程度」が一致している
- ②事故の被害にあってから、医療機関へ定期的に通院を続けている
- ③事故の被害にあってから、被害者の訴える症状が続いており、かつその症状に一貫性がある
(※例:痛みが再発したものではない) - ④症状が重たいと認められ、かつ日常生活において継続していると認められている
(※例:日常的に症状が出ており、痛みが長引いている状態) - ⑤症状にズレや矛盾がなく、画像診断結果や検査結果などで第三者が確認できる状態である
▶︎参考:逸失利益を受け取ることができる対象者についてはこちら
後遺障害等級認定の申請方法は2つ
後遺障害等級認定を申請する場合、以下2つの方法から選択することができます。
- 事前認定
- 被害者請求
事前認定
事前認定は、加害者側の保険会社に手続きを任せる申請方法です。交通事故の被害者は、後遺障害診断書を医師に書いてもらい、加害者側の保険会社に提出します。後遺障害診断書を提出すれば、後は認定結果を待つのみで、手続きの手間を省くことができます。
被害者請求
被害者請求は、被害者自身が直接、自賠責保険会社に対して後遺障害等級認定を申請する方法です。被害者自身が申請手続き進めていくことになるため、被害者自身で必要な書類を取得・作成しなければなりません。
被害者請求は手続きに手間がかかりますが、被害者自身で書類を取得・作成することになるので、書類の内容を把握しながら進めることができます。したがって、後遺障害等級認定において、事前認定よりも納得のいく認定結果が得られます。
後遺障害等級認定の申請で必要な書類
事前認定の場合は後遺障害診断書のみで事足りますが、被害者請求の場合は、以下の書類を被害者自身で取得・作成しなければなりません。ここでは、被害者請求で必要な書類とその取得先についてご紹介します。
書類名 | 取得先 |
---|---|
自賠責保険金請求書 | 自賠責保険会社 |
交通事故証明書 | 自動車安全運転センター |
事故発生状況報告書 | 自分で作成 |
診断書 | 通院している医療機関 |
診療報酬明細書 | 健康保険組合 |
印鑑証明書 | 市区町村 |
後遺障害診断書 | 通院している医療機関 |
レントゲンやMRIなどの検査結果 | 通院している医療機関 |
これらの書類が集まったら、自賠責保険会社に提出します。そして、一般的に1~2ヶ月すれば、後遺障害等級認定の結果が出ます。しかし、後遺症の1つである高次脳機能障害の場合は、判断が難しいため、半年以上かかることもあります。
▶︎参考:高次脳機能障害の症状について詳しく知りたい方はこちら
後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級ごとに金額が異なります。後遺障害の等級は1~14級まであり、14級が最も低い等級となっています。
後遺障害慰謝料は、以下にある3つの基準から1つ選択して計算をすることになります。しかし、どの計算基準を使うかによって、後遺障害慰謝料の金額に差が出ます。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
自賠責基準
自賠責基準とは、自賠責保険会社に請求を行う際に、使われる計算基準です。
自賠責保険は、車を買うときに加入が義務づけられている保険で、交通事故の被害者に対して最低限の保障を行います。そのため、自賠責基準で後遺障害慰謝料を計算すると、3つの計算基準の中で最も低い金額になります。
任意保険基準
任意保険基準とは、任意保険会社に請求を行う際に、使われる計算基準です。
任意保険は、自賠責保険でカバーできない部分を補償してくれます。また、自賠責保険とは異なり、加入するかを自由に決めることができます。
日本国内の任意保険会社は、20社以上も存在しており、各任意保険会社ごとで計算基準を設定しています。そのため、等級が同じだったとしても、任意保険会社それぞれで後遺障害慰謝料の金額に差が出ます。しかし、各任意保険会社の計算基準は公開しておらず、詳細がわかりません。
弁護士基準
弁護士基準は、弁護士が示談交渉をしたり、裁判をするときに使われる基準です。そのため、弁護士に依頼しなければならず、弁護士費用がかかってしまいます。
しかし、弁護士費用は、自身や家族などが加入している保険に弁護士特約がついていれば、保険会社が一部負担してくれます。
弁護士基準で後遺障害慰謝料を計算すると、3つの計算基準の中で、最も高い金額になります。
等級別の後遺障害慰謝料
今回は、1~14級まである後遺障害の等級について、調べることが可能な「自賠責基準」と「弁護士基準」の後遺障害慰謝料の相場をご紹介します。
後遺障害の等級 | 後遺障害慰謝料 | |
---|---|---|
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
1級 | 1100万円 | 2800万円 |
2級 | 958万円 | 2370万円 |
3級 | 829万円 | 1990万円 |
4級 | 712万円 | 1670万円 |
5級 | 599万円 | 1400万円 |
6級 | 498万円 | 1180万円 |
7級 | 409万円 | 1000万円 |
8級 | 324万円 | 830万円 |
9級 | 245万円 | 690万円 |
10級 | 187万円 | 550万円 |
11級 | 135万円 | 420万円 |
12級 | 93万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
後遺障害等級認定の書類についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故の怪我で後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を申請することをおすすめします。後遺障害等級認定で等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。
後遺障害等級認定の申請方法は、「事前認定」または「被害者請求」で行います。被害者請求で行う場合は、被害者自身で書類を取得・作成しなければなりません。この記事を参考に書類を取得・作成し、納得のいく後遺障害等級認定が受けられるようにしましょう。