後遺障害等級認定とは|慰謝料や申請方法を詳しく解説!

2019年02月05日

「後遺障害等級認定」という言葉を聞いたことがありますか?あまり聞きなじみのない言葉だと思います。
この記事では、後遺障害等級認定を知らない方も理解できるように、後遺障害等級認定について詳しく解説していきます。交通事故の被害にあわれた方にとってはとても大切なものですので、ぜひ読んでみてください。

後遺障害等級認定について


後遺障害等級認定はどんな時に考えるものなのでしょうか?
ここでは、後遺障害等級認定を受ける経緯についてご説明します。

後遺障害等級認定を受ける経緯

交通事故の被害にあって怪我を負った場合、通院をして治療を受けると思います。
骨折や打撲などの怪我では、ある程度の治療期間が経過すると症状はなくなり完治と判断されることが多いでしょう。中には、半年近く通院していても症状がなくならないケースがあります。特にむちうちは治療期間が長引くことが多いといわれています。
ある程度治療期間が長くなると、医師や保険会社から症状固定の提案がされます。症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態を指しています。
後遺障害等級認定は、この症状固定になった時点での症状を、後遺障害として等級を認定するものです。

後遺障害とは

後遺症と後遺障害は似ている言葉ですよね。後遺症は、完治せずに残っている症状を指します。その一方で、後遺障害では以下のような要件があります。

  • 怪我が今後も完治しない
  • 怪我と交通事故に因果関係がある
  • 怪我によって労働能力が低下する
  • 医師に後遺症を認められている

等級について


後遺障害等級認定の等級とはどのようなものなのか気になりますよね。
そこで、等級について解説していきます。

等級を決める基準がある

等級の認定は被害者による申請をもとに、自賠責損害調査事務所が、あらかじめ設けられた基準に沿って等級を決めています。
後遺障害の等級は1~14級まであり、数字が低いほど症状は重い、ということになります。また、一つずつの等級の中で症状や部位別に数字(号)が振られており、「第4級3号」のように表現されます。例えば、第1級は1号が両目の失明、3号が両ひじから下の切断となっています。
むちうちの場合は、12級または14級を認定されるケースが多いといわれています。下記で12級と14級の症状を表にしています。

等級 後遺障害
第12級 1号 1眼(片目)の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2号 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3号 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4号 1耳(片耳)の耳殻の大部分を欠損したもの
5号 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6号 1上肢(片腕)の3大関節(肩関節・肘関節・手関節)中の1関節の機能に障害を残すもの
7号 1下肢(片足)の3大関節(股関節・膝関節・足関節)中の1関節の機能に障害を残すもの
8号 長管骨に変形を残すもの
9号 1手(片手)のこ指を失った(第2関節以上)もの
10号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃した(第1関節以上を失ったり運動障害を残す)もの
11号 1足の第2の足指(手でいうひとさし指)を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指(なか指)を失ったもの(中足指節関節以上)
12号 1足の第1の足指(おや指)又は他の4の足指(くすり指)の用を廃したもの
13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14号 外貌に醜状を残すもの
等級 後遺障害
第14級 1号 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2号 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3号 1耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4号 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5号 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6号 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7号 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節(第1関節)を屈伸することができなくなったもの
8号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
9号 局部に神経症状を残すもの

認定を受けるとどうなる?


ここまで後遺障害や等級について述べましたが、そもそも後遺障害等級認定を受けるメリットはあるのでしょうか?気になる方も多いと思います。

請求できる損害賠償が変わる

後遺障害等級認定を受けることで、請求できる損害賠償の項目が増えるのです。
後遺障害等級認定を受けていない場合に請求できる損害賠償は、

  • 治療費
  • 通院交通費
  • 入通院慰謝料
  • 休業損害

が主ですが、後遺障害等級認定を受けた場合、上記に加えて後遺障害慰謝料逸失利益も請求できるようになります。
どちらも聞き慣れない言葉だと思いますので、一つずつ解説していきます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は名前の通り、後遺障害が残ってしまったことに対する慰謝料のことです。
認定された等級ごとに慰謝料の金額は変化します。金額の基準は自賠責基準任意保険基準弁護士基準(裁判基準)の順で高額になっていきます。

逸失利益

逸失利益は後遺障害が残ったために、将来得られるはずの収入が得られなくなった場合の減収部分を指します。
休業損害と逸失利益は似ているように感じるかもしれませんが、休業損害は症状固定までの期間の減収部分のことですので、対象となる期間が違うということになります。

後遺障害等級認定を受けるには


後遺障害等級認定を受けた場合のメリットについてお分かりいただけたかと思います。
では、後遺障害等級認定を受けたいと思った場合、何をすれば自賠責損害調査事務所に審査してもらえるのでしょうか?

書類を送付して審査を受ける

まずは、後遺障害等級を認定してもらうための申請が必要になります。
この申請の方法は

  • 被害者自身が申請手続きを行う被害者請求
  • 加害者の保険会社に申請手続きを任せる事前認定

の2種類があります。
被害者請求はご自身で申請する分、適正な後遺障害等級が得られる可能性が高いといわれています。
ここでは、被害者請求をする際の流れを説明していきます。大まかな流れは下記の通りです。

    被害者が手続きに必要となる書類の収集・作成をして、保険会社に提出する。
    保険会社が各書類の内容を確認して自賠責損害調査事務所に送付する。
    自賠責損害調査事務所が書類を審査し、審査結果を保険会社に報告する。
    保険会社がその結果を被害者に報告する。

必要になる書類とはどんなものなのでしょうか?

被害者請求に必要な書類とは

後遺障害等級認定を被害者請求で行う場合に必要な書類を、取得方法と併せてご紹介していきます。

必要書類 取得方法
保険金請求書 各保険会社に書式を請求
交通事故証明書 自動車安全運転センターで入手
事故発生状況報告書 被害者が作成
診断書 通院した病院で入手
診療報酬明細書 通院先で入手
交通費明細書 タクシーの領収書や、ICカードの明細を入手
印鑑証明書 市区町村の役場で入手
休業損害証明書 勤務先で記入してもらう
後遺障害診断書 通院した病院で入手
レントゲン写真等 通院した病院で入手

以上のように、自分で入手できるものもあれば、発行の依頼が必要なものもあります。また、記入ミスや漏れがあると十分な審査がされない場合がありますので、慎重に進めるようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
交通事故の怪我が後遺障害として残ってしまった場合に、後遺障害等級認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。
等級を認定してもらうためには、被害者請求事前認定の方法で審査を依頼しましょう。
この記事が、後遺障害の手続きでお困りの皆様を、少しでも手助けできていることを願っています。