交通事故の慰謝料を弁護士に相談するとどうなる?相談費用は必要?
5日前のこと、歩道を歩いているところに、ガードレールを突き破って歩道に乗り上げた車とぶつかった。その後、むちうちの症状が出ていたため、治療をすることにした。治療のためにバイトを休んだり、通院したりすることが金銭面や精神面でつらいと感じるようになっていた。
地方に住んでいる親に電話で相談すると、「交通事故で通院すれば慰謝料が受け取れるし、弁護士に相談すると増額もできるよ。」といわれた。「弁護士に慰謝料の相談をしたら、どのくらい増額できるのかな?」
このような疑問ありませんか。今回の記事では、
- 交通事故の慰謝料について
- 弁護士に相談すると、交通事故の慰謝料を増額できるのか
- 弁護士に相談すると、費用はかかるのか
について説明していきます。
交通事故の慰謝料は2つ
そもそも慰謝料とは、精神的苦痛の対価として支払われるものです。交通事故の場合、以下のような2つの慰謝料があります。
入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、交通事故が原因で入院や通院をしたことで負った、精神的苦痛の対価として支払われるものです。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、後遺障害(※1)が残ったことで負った、精神的苦痛の対価として支払われるものです。後遺障害等級認定を申請して、後遺障害の等級が認められなければ、後遺障害慰謝料を受け取ることはできません。
※1 後遺障害とは、交通事故が原因で残った後遺症のうち、後遺障害の等級に該当するものをいいます。
▶︎参考:後障害の等級について詳しく知りたい方はこちら
▶︎参考:後遺障害等級認定について詳しく知りたい方はこちら
▶︎参考:交通事故の損害賠償について詳しく知りたい方はこちら
交通事故の慰謝料を弁護士に相談する
交通事故の慰謝料について、弁護士に相談すると増額を期待できます。その理由は、弁護士基準を使って慰謝料を計算することができるからです。
弁護士相談をすると使える弁護士基準とは?
先程、慰謝料を増額することができる理由に、弁護士基準を使って慰謝料を計算することができるといいました。弁護士基準とは、慰謝料を含む交通事故の損害賠償を計算するときに使う基準の1つです。
弁護士基準の他に、自賠責基準や任意保険基準というものもあり、全部で3つの基準があります。3つの基準のうち弁護士基準は、慰謝料を計算したときに最も高い金額になるという基準です。また、弁護士基準よりも低い金額になる基準が任意保険基準、3つの基準のうち最も低い金額になるのは自賠責基準となっています。
弁護士基準と自賠責基準の慰謝料の相場を比較
ここでは、3つの基準のうち弁護士基準と自賠責基準の慰謝料の相場を比較していきます。任意保険基準に関しては各保険会社ごとで基準が異なり、基準を公表していないため、今回は比較しません。
また、交通事故の慰謝料には①入通院慰謝料と②後遺障害慰謝料があるので、ぞれぞれ分けて比較していきます。
①入通院慰謝料
今回は、3ヶ月・6ヶ月通院したときの入通院慰謝料で比較します。
弁護士基準 | 自賠責基準※2 | |
---|---|---|
3ヶ月通院した場合 | 他覚症状(※3)がある場合 73万円 | 約30万円 |
他覚症状がない場合 53万円 | ||
6ヶ月通院した場合 | 他覚症状がある場合 116万円 | 約60万円 |
他覚症状がない場合 89万円 |
上記の表から、弁護士基準と自賠責基準の入通院慰謝料を比較してみると、弁護士基準の方が金額が高いことがわかります。
自賠責基準での入通院慰謝料の計算方法は、以下のリンクで紹介しています。また、弁護士基準の入通院慰謝料は、赤本で相場を調べることができます。
※2 自賠責保険の計算は、「3ヶ月で36日通院」「6ヶ月で72日通院」したときを仮定して計算しています。また、端数を切り捨てています。
※3 他覚症状とは、自分以外の医師や看護師などが、客観的に捉えることのできる症状のことです。(例:むちうち)
▶︎参考:入通院慰謝料の計算方法について詳しく知りたい方はこちら
▶︎参考:赤本について詳しく知りたい方はこちら
②後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級ごとで金額が異なります。以下の表に弁護士基準の場合と自賠責基準の場合でまとめました。
等級 | 弁護士基準の場合 | 自賠責基準の場合 |
---|---|---|
第1級 | 2,800万円 | 1,100万円 |
第2級 | 2,370万円 | 958万円 |
第3級 | 1,990万円 | 829万円 |
第4級 | 1,670万円 | 712万円 |
第5級 | 1,400万円 | 599万円 |
第6級 | 1,180万円 | 498万円 |
第7級 | 1,000万円 | 409万円 |
第8級 | 830万円 | 324万円 |
第9級 | 690万円 | 245万円 |
第10級 | 550万円 | 187万円 |
第11級 | 420万円 | 135万円 |
第12級 | 290万円 | 93万円 |
第13級 | 180万円 | 57万円 |
第14級 | 110万円 | 32万円 |
上記の表から、後遺障害慰謝料を比較してみると
-
後遺障害の等級が第1級のとき
弁護士基準:2,800万円
自賠責基準:1,100万円
2つの基準の差を見てみると、弁護士基準の方が自賠責基準よりも1,700万円も多く後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
-
後遺障害の等級が第14級のとき
弁護士基準:110万円
自賠責基準:32万円
2つの基準の差を見てみると、弁護士基準の方が自賠責基準よりも78万円も多く後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
このように、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料のどちらの場合でも、弁護士基準を使った方が慰謝料の増額を期待できることがわかります。
交通事故の慰謝料を弁護士に相談すると費用がかかる?
交通事故の慰謝料を弁護士に相談した場合、弁護士費用というものが必要になります。今回は、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料に関係する、以下2つの弁護士費用について説明していきます。
- (入通院慰謝料に関係する)示談交渉の弁護士費用
- (後遺障害慰謝料に関係する)後遺障害等級認定の弁護士費用
弁護士費用について
示談交渉と後遺障害等級認定の弁護士費用には、着手金と報酬金の2つの費用が必要になります。
着手金
弁護士に相談した案件に、着手してもらうための費用です。この費用は、案件の成功・不成功問わず必要になる費用です。また、案件の難易度によって費用に差があります。
報酬金
弁護士に相談した案件が終了したときに、成功の程度に応じて支払う費用です。
以下の表にまとめました。
費用 | 相場 | |
---|---|---|
示談交渉 | 着手金 | 10~20万円 |
報酬金 | 15万円+賠償額の8% | |
後遺障害認定 | 着手金 | 10~20万円 |
報酬金 | 経済的利益(※4)の10% |
これらの弁護士費用は、各弁護士事務所で自由に決めることができるため、金額に差が出てしまうかもしれません。そのため、ここで説明している弁護士費用は、目安として考えておくのがよいでしょう。
※4 経済的利益とは、相談した案件をお金に換算した金額のことをいいます。
弁護士特約を使う
交通事故の慰謝料に関して相談するとかかってしまう弁護士費用。しかし、弁護士特約を使えば、弁護士費用を保険会社が負担してくれます。この弁護士特約は、自分の加入している保険会社のオプションとしてつけている方が多いです。一度、確認してみることをおすすめします。
一方、弁護士特約をつけてなかったという方。家族の弁護士特約を使うことも可能です。以下に当てはまる場合、自分が弁護士特約をつけていなかったとしても、弁護士特約を使うことができます。
- 保険に加入している人の配偶者
- 保険に加入している人と同居している配偶者の親族(既婚未婚問わず)
- 保険に加入している人と別居している配偶者の子ども
- 保険に契約している車に乗っていた人
- 保険に契約している車を所有している人(契約車の交通事故に関して弁護士を利用した場合)
交通事故の慰謝料問題は弁護士に相談しよう!
いかがでしたか。今回の記事をまとめると
- 交通事故の慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つ。
- 弁護士に相談すると、弁護士基準を使って計算できる。
- 弁護士基準は、3つの基準の中で最も高い金額の慰謝料計算になる。
- 弁護士に相談したとき、弁護士費用が必要になる。
- 弁護士と特約を使えば、弁護士費用の心配がなくなる。