交通事故の示談書作成方法、注意点をご紹介します!
示談交渉において、成立のために必ずしも示談書を書かなければいけないということはありませんが、書いていないと将来的なトラブルの原因になってしまう恐れがあります。誰しも示談交渉の経験があるわけではないでしょうし、示談書と言われても何から書けばいいのか分からないという方が多くいらっしゃるかと思います。そんな時はこの記事を参考の一つとしてご覧ください。
交通事故の示談とは
交通事故の場合の示談とは、交通事故によって発生した被害者と加害者問題を、話し合いによって解決することをいいます。
- どのような損害賠償が生じたのか
- 損害額はいくらになるのか
- 支払方法はどのようにするのか
これらの問題について、双方が納得する形で話し合いが終われば示談成立となります。また、後からトラブルにならないように、合意した内容についてしっかり文書にしておくことが重要です。その文書のことを、示談書といいます。
口約束での示談は応じないこと
示談そのものは、交通事故の当事者同士が口頭で約束を交わした場合にも成立とみなされます。したがって、通院が長引いて治療費が予想以上に
かかってしまったり、後遺障害が残った場合に、損害賠償金を増額させる
ことができなくなります。
当事者同士が合意した内容を明確に記し、具体的な条件を示談書として
書面に残すことが、将来的なトラブルの予防につながります。
示談交渉はいつから始まるのか
示談交渉は、交通事故による怪我が「完治」か「症状固定」とされ、後遺障害等級が決定し、損害賠償の金額を正確に出せるようになってからが
スタートとなります。保険会社の担当者から治療費の打ち切りを打診されることもありますが、症状が残っているのに焦って治療を終えて示談交渉を始めてしまうと、その後の治療費や休業損害などを加害者側に請求できなくなってしまいます。保険会社に治療打ち切りを促されても、まだ症状が残っているのであれば、主治医とよく相談してから決めましょう
示談には時効があります!
自賠責保険に対する被害者請求には時効があります。
交通事故が発生した日から3年を過ぎてしまうと、損害賠償を請求する権利が失われてしまう可能性がありますので注意が必要です。
示談書作成のポイント
示談書の用紙サイズや紙の材質、フォーマットは法的に定められている
わけではありません。ただし後になってトラブルが発生してしまうことを防ぐためにも、必ず記載しておくべき項目があります。
交通事故の当事者
交通事故の当事者は誰と誰なのか
お互いの情報で必要な項目があれば追記(氏名、住所、など)
交通事故の発生した具体的な状況
交通事故が発生した年月日、場所、加害者の車両登録番号など。
示談内容
示談金額、加害者が被害者に損害賠償金や慰謝料をいつどのような方法で支払うのか、加害者の被害者の損害額や過失割合など。
支払いが行われなかった場合について
指定の期日までに損害賠償金や慰謝料が支払われなかった場合の、遅延損害金や
違約金など。
清算条項
相互に合意した内容以外、今後一切の請求をしないことを記載。
示談後の後遺障害発生について
示談後に当該交通事故が原因とされる後遺障害が発生した場合、損害賠償金や慰謝料については別途協議すること。
示談成立日、または示談書取り交わし日
示談成立、もしくは示談を取り交わした年月日を記載。
加害者と被害者の氏名・押印
手書きの署名とハンコでの押印。シャチハタは不可。
このような内容を記した示談書を、加害者側1通と被害者側1通、合計2通作成します。
注意するべきこと
一度示談が成立すると、基本的に内容を変更することはできません。したがって、示談書を作成する際は慎重に内容を確認しながら進めていくことが大切です。少なくとも、
損害賠償の項目に漏れがないか
金額に誤りはないか
の2点は慎重に確認しましょう。
示談書は公正証書にしておきましょう
示談書は「私文書」に該当されるため、法的拘束力はありません。加害者からの示談金の支払いを確実なものとするために、公正証書にしておく必要があります。もしも加害者が示談金の支払いを行わなかった場合は裁判を起こさなければなりません。
公正証書とは?
公正証書とは、公証役場にいる法律の専門家である公証人が、公証人法や民法などの法律に従って作成する公文書のことをいいます。交通事故の場合は、記載されている加害者が示談金の支払いを怠ることで、裁判を起こさずに強制執行手続きに移ることが可能です。
公正証書を作成するには
公正証書は、交通事故の加害者と被害者の双方が、示談書、実印、印鑑証明書、免許証などの身分証明書を公証役場へ持参して、公証人に作成を依頼します。
公正証書作成には手数料が必要で、示談額が100万円以下の場合は5000円、100万円超200万円以下は7000円など、示談額によって手数料が異なりますので事前に公証役場に確認しておきましょう。
まとめ
正当な金額の賠償金を受け取るためにも、事故が発生してからその場で示談をしたりせず、しっかりと治療を終了させてから示談交渉を始めることが大切です。
示談交渉の経験がなく、どのように示談書を書けばいいのか分からないという方は、今回の記事を参考にし慎重に書いていただければと思います。