病院で交通事故治療を受ける頻度とは?定期的に通院する理由について
交通事故で怪我を負った場合、病院へ通院しますよね。しかし、「交通事故の治療における妥当な通院頻度がわからない」という方もいるのではないでしょうか。交通事故治療の通院頻度はとても重要です。
そこで今回は、「交通事故治療における妥当な通院頻度」や「定期的に病院へ通院すべき理由」などについて解説していきます。
交通事故治療における病院の通院頻度とは?
交通事故で最も多い怪我は、「むちうち」といわれています。むちうちとは、交通事故の衝撃で首が鞭のようにしなり、首周辺の筋肉や靱帯などの軟部組織の損傷が原因で起こるものです。
むちうちであらわれる症状は様々で、以下のような症状があらわれます。
- 首や腰の痛み
- 肩の凝り
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 吐き気
- しびれ
- 麻痺 など
▶︎参考:むちうちの症状や通院先についてより詳しく知りたい方はこちら
このようなむちうちの怪我の場合、以下のように症状の程度によって、通院頻度の目安が異なります。
症状の程度 | 通院頻度の目安 |
---|---|
首を動かすと軽く痛む程度 | 週1~3回 |
何もしていなくても 首に痛みがある程度 |
週3回以上 |
頭痛やめまい、吐き気などが ひどく日常生活に困難な程度 |
できる限り 毎日通院する |
上記でご紹介した通院頻度は、あくまで目安です。通院先で治療計画や指示があるはずなので、担当医の指示に従って通院するようにしましょう。
交通事故治療で通院頻度を守るべき理由
先程、ご紹介した通院頻度ですが、週3回以上になってくると「通院が大変…。」と思う方も多いのではないでしょうか。しかし、交通事故治療で通院頻度を守らなければ、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 治療費が打ち切られる可能性がある
- 通院頻度の違いで慰謝料の金額が変化する
- 後遺障害等級認定で等級が認定されなくなる可能性がある
治療費が打ち切られる可能性がある
交通事故の被害者であれば、治療費を加害者側の保険会社に請求することができます。加害者側の保険会社は基本的に、「怪我が完治または症状固定(後遺症)」と診断されるまでの治療費を支払う責任があります。
しかし、通院頻度が低いと、加害者側の保険会社は被害者の怪我に対して「治療の必要性があるのか」と不信感を抱いてしまいます。そのため、加害者側の保険会社は、被害者の通院を認めてくれず、治療費の支払いを打ち切りにすることもあるのです。
▶︎参考:加害者側の保険会社に治療費の打ち切りを打診されたときの対処法について
通院頻度の違いで慰謝料の金額が変化する
被害者は、治療費だけでなく慰謝料も加害者側の保険会社に請求することができます。交通事故の被害者に支払われる慰謝料は、自賠責基準の場合、以下のような計算式で割り出します。
▶︎参考:慰謝料の計算に使う3つの基準について詳しく知りたい方はこちら
-
日あたりの慰謝料4200円×「治療期間」または「実通院日数」
- ①治療期間:入院期間+通院期間
- ②実通院日数:(入院期間+実通院日数)×2
①と②の計算結果を比べ、少ない方の数字を使います。
このように慰謝料の計算には、日数や期間が関係しています。実際に計算して確認してみた場合、以下のような慰謝料額が割り出されます。
A:治療期間が30日、通院日数が12日の場合(=週に3回通院した場合)
①治療期間はそのまま30日
②実通院日数は、(通院日数)12日×2=24日
①と②で少ない方は、②の24日です。
これに、慰謝料の日額である4,200円をかけると…
4,200円×24日=100,800円
受け取れる慰謝料は、100,800円(A)ということになります。
B:治療期間が30日、通院日数が8日の場合(=週に2回通院した場合)
①治療期間はそのまま30日
②実通院日数は、(通院日数)8日×2=16日
①と②で少ない方は、②の16日です。
これに、慰謝料の日額である4,200円をかけると…
4,200円×24日=67,200円
受け取れる慰謝料は、67,200円(B)ということになります。
このように「A:週3回」と「B:週2回」のように異なる通院頻度を設定した場合、慰謝料額に33,600円の差が出ます。したがって、通院頻度が多い方が慰謝料は増額されるということがわかります。
後遺障害等級認定で等級が認定されなくなる可能性がある
交通事故による怪我は、後遺症が残る可能性もあります。後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定というものを申請します。後遺障害等級認定を申請し、等級が認められた場合、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。
後遺障害等級認定で等級が認定されるには、以下のような5つの条件を満たしていなければなりません。
医療機関へ定期的に通院していること
交通事故の状況と被害者が申告する症状の程度が一致していること
交通事故当初から、被害者の訴える症状が続いており、一貫性があること
後遺症が医学的に(画像診断や検査結果など)証明できること
症状が重く、日常的に症状が続いていること
上記の5つの条件の中に、「医療機関へ定期的に通院していること」とあるように通院を継続しなければなりません。そのため、通院頻度を守って、通院を継続する必要があるのです。
▶︎参考:後遺障害等級認定の仕組みと手続きについて詳しく知りたい方はこちら
通院頻度で仕事を休むかお悩みの方へ
通院頻度が多いと、仕事を休まなければならず、収入が減ってしまうとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
しかし、交通事故治療の場合、被害者は休業損害というものを加害者側の保険会社に請求することができます。休業損害とは、交通事故が原因で仕事を休まざるを得ず、被害者の収入が減少してしまった場合の減収分を補填するものです。
休業損害を受け取れる対象者は、以下の通り。
- サラリーマン
- 自営業の方
- 専業主婦
- 内定の決まっている学生
- アルバイト など
休業損害を加害者側の保険会社に請求する場合は、休業損害証明書というものが必要になります。休業損害証明書は、勤務先の人事や総務の担当者などが作成しなければなりません。
休業損害証明書に記載する内容は、以下の通り。
- 前年度の源泉徴収
- 仕事を休んだ日
- 仕事を休んだ期間の給与
- 所定勤務時間の記入
- 作成した日付
▶︎参考:休業損害の計算方法について詳しく知りたい方はこちら
交通事故治療の通院頻度についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故治療で病院へ通院する頻度は、以下のように症状の程度で異なります。
- 首を動かすと軽く痛む程度:週1~3回
- 何もしていなくても首に痛みがある程度:週3回以上
- 頭痛やめまい、吐き気などがひどく日常生活に困難な程度:できる限り毎日通院
上記の通院頻度は、あくまで目安なので、担当医の指示に従って通院することをおすすめします。