追突事故は人身事故か物損事故かで違反点数は変わります

2019年04月03日

ご自身が追突事故の加害者となってしまった場合、加算される違反点数をご存知でしょうか?
違反点数は、人身事故と物損事故で変わってきます。また、違反点数通知が届くまでにかかる期間の目安や、通知が届く前に点数を知る方法などについてご説明します。

交通事故の違反点数とは


違反点数制度とは、自動車やバイクなどを運転している際に、交通事故や交通違反を起こした者に対して、事故の状況や違反の種類に応じて点数をつけられ、違反点数が一定の基準を超えてしまうと免許取り消しや、免許取り消し処分を下されます。
この際の点数は、所轄の公安委員会という民主的運営と政治的中立性を保つ、警察を管理する行政委員会が決めることになっています。

安全義務違反(基礎点数)

基礎点数とは、交通事故を起こした際の交通違反に対して加算される違反点数になります。
スピード違反や過労運転、よそ見や脇見、酒気帯び運転などハンドルやブレーキその他装置を正確に操作せず、他人に危害を加えるような状況が安全運転義務違反に該当します。
また、重過失な交通違反として酒酔い運転や麻薬等運転が挙げられ、35点加算される事になります。

被害者の負傷状態(付加点数)

付加点数とは、基礎点数に加えて被害者の状態によって加算される違反点数になります。
違反点数は、以下の基準をもとに判断されます。

  • 死亡事故                 : 20(13)点
  • 重傷事故(治療期間3ヶ月以上、後遺症あり): 13(9)点
  • 重傷事故(治療期間30日以上、3ヶ月未満) : 9(6)点
  • 軽傷事故(治療期間15日以上、30日未満)  : 6(4)点

人身事故と物損事故による違反点数の違いとは?


追突事故の違反点数は、人身事故なのか物損事故なのかによって大きく変わってきます。
交通事故による人身事故とは、被害者が傷害を負ったり、死亡した場合の事故を指します。
物損事故は、死傷者が出ずに、物理的な被害のみで済んだ場合の交通事故です。
基本的に違反点数が加算されるのは、「人身事故」のケースのみとなります。
物損事故では、他人の所有物を破損してしまった際は賠償金を支払う義務が発生しますが、賠償金以外の罰則が科されることはありません。
そのため、追突事故を起こしたとしても被害者が負傷せず、尚且つ他に道路交通法違反を起こしていないのであれば、違反点数の罰則はなく0点になります。

人身事故のケース

追突事故を人身事故として扱われた場合、安全運転義務違反に該当しやすく、基本的には安全運転義務違反の罰則である2点の違反点数が加算されるケースが多いです。
また、軽傷事故(治療期間15日未満)でも3(2)点が加算され、少なくとも4点以上の違反点数が加算されることになります。

人身事故における3つの責任


人身事故を起こすと、加害者には「行政処分」「刑事処分」「民事処分」という3つの責任を負う義務が発生します。それぞれの処分について詳しくご説明します。

「行政処分」

行政処分では、免許停止もしくは免許取り消しという処分を下される場合があります。
俗称で「免停」と呼ばれていますが、正式には「免許停止」と呼ばれ、一定期間車の運転が出来なくなります。
「免許停止」より厳しい処分が、「免取」と呼ばれる「免許取り消し」処分になります。「免許停止」になってしまうと欠格期間という制限期間が設けられ、その期間中は免許自体を取れない状況はもちろん、欠格期間が過ぎたとして免許が戻ってくる訳ではなく、もう一度お金を支払い、免許をはじめから取り直さなければいけません。

「刑事処分」

交通事故の状況によって、懲役刑・禁錮刑、及び罰金刑が科されます
治療期間が15日未満の軽症事故の場合には15万円~20万円の罰金刑ですが、死亡事故の場合には、7年以下の懲役刑・禁固刑となります。
ただし、被害者がいる事故で被害者の負傷状態が軽症であれば、刑事上責任を問われることはない場合もありますが、故意によるスピード違反などの違反が重なっている場合や、被害者の負傷状態が重症である場合には、刑事罰が科される場合があります。

「民事処分」

自動車事故を起こした加害者には、被害者の負傷状況に応じて慰謝料や損害賠償を支払う責任があります。損害賠償額は、被害者との示談交渉により金額が決定されますが、ほとんどの加害者は、「自賠責保険」や「任意保険」会社と保険契約を交わしているので、ご自身が支払うのではなく保険会社が支払ってくれます。
ただし、保険に入っている場合に限るので、万が一保険に加入していない場合は、ご自身で支払わなければいけなくなります。もし保険に加入していない方は、加入しておくと安心できるでしょう。

違反点数の違反通知が届くタイミングはいつ?


違反点数の通知が届くのは事故発生日から1週間~1ヶ月が目安といわれていますが、事故の状況によって違反通知が届くタイミングは異なる場合があります。
違反通知が遅れる理由として、被害者の治療が長引いている状況などの事情により、事故処理が大幅に遅れてしまう場合が挙げられます。

免許停止になる違反点数と免停期間について

違反点数を加算されてしまった場合、現時点の点数からどのくらい加算された場合に免許停止になってしまうのか。また、免許停止になってしまった場合の、期間の目安について説明していきます。

免許停止となる違反点数は?

運転免許証の停止処分の3年間のうちに前歴がない場合には、違反点数6点以上で免停となります。3年間の内に前歴(刑事手続きに関与した履歴)が1回あれば4点以上、2回または3回ある場合には2点で免許停止となります。

免許停止の期間はどれくらいかかるのか?

免許停止期間は、過去3年間の前歴と違反点数の合計によって異なります。
最短で30日間、最大で180日間となり、過去3年間以内に運転免許証の停止処分の前歴がなければ、30日間から60日間の期間になることが多いです。
また免許停止となってしまった場合には、停止処分者講習を受けることで免許停止期間の短縮が可能です。少しでも早く運転を再開したいのであれば、運転免許処分書で指定された運転免許センターにて停止処分者講習の受講を申し込むとよいでしょう。

まとめ

追突事故による違反点数は事故の状況により異なり、人身事故の場合には最低4点以上、物損事故では基本的には0点となります。
前歴がない場合、6点以上で免許停止となり、一定期間車を運転することが出来なくなります。
原則として交通事故は、違反内容と負傷者の状態によって違反点数が異なります。違反通知が届く前に違反点数を知りたい場合は、ご自身で事故の内容を把握しておくと、通知が届く前に違反点数を予想することができますね。