追突事故防止のポイント!それでも起こしてしまったら?
どれだけ安全運転を心がけていても、交通事故が起こる可能性はあります。今回は、交通事故で最も多い追突事故について取り上げます。具体的な追突事故防止のポイントや、追突事故を起こしてしまった場合の対処法についてご紹介します。
交通事故で最も多い追突事故
追突事故を道路上で見かける事もあれば、意外と周囲に経験されている方もいるのではないでしょうか?
2018年に警察庁交通局が発表した『平成29年度中の交通事故の発生状況』によると、発生した交通事故のうち35.5%が追突事故と、最も多い交通事故の形態となっています。また、追突事故の次に多いのが、出会い頭の衝突による事故(24.5%)です。
▶︎参考:第2節 平成29年中の道路交通事故の状況|平成30年交通安全白書(内閣府)
▶︎参考:平成29年中の交通事故の発生状況(警察庁交通局)
では、どうして追突事故が起こってしまうのでしょうか?
追突事故が起こる原因とは
先程も参照した『平成29年度中の交通事故の発生状況』によると、追突事故が起こった原因のほぼ半数が安全運転義務違反で、そのうち脇見運転が最も多いです。そして動静不注意、漫然運転、運転操作不適(運転ミス)と続きます。
脇見運転
脇見運転とは、文字通り前方ではないところを見ながら運転していた状況のことです。外の景色や看板などを見ていた場合の他に、携帯電話を見ていたり、カーナビを操作していたような状況も当てはまります。
動静不注意
動静不注意とは、相手の車を認識してはいたものの、相手の車の動きに注意を向けていなかったといった状況のことです。例えば、前の車が止まることに気づかなかったり、隣のレーンの車が車線変更することに気づかなかったような状況が当てはまります。
漫然運転
漫然運転とは、考え事をしていたり、疲れでボーッとしたまま運転していた状況のことです。このような場合、顔が前を向いていても、頭は集中できていないため、車の存在や動きに気づかなかったというような事態が発生してしまいます。
前提にある思い込み
上記のように、運転中にもかかわらず注意を怠ってしまう前提には、大丈夫だろうという思い込みがあります。具体的には、前の車は「急に止まったりしないだろう」「スピードを落としたりしないだろう」といった思い込みです。
したがって、追突事故を防ぐには、このような思い込みをせずに集中して運転することが大切になります。
追突事故を防止するポイント
では、前方に注意しながら集中して運転する以外に、追突事故を防止するための対策はあるのでしょうか。運転をする際に気をつけたいポイントを以下にまとめました。
- きちんと睡眠を取り、疲れた状態での運転を避ける
- 出発前に目的地までの走行経路を確認しておく
- 十分な車間距離をとる
- 視線を外すときは、前方を確かめてから見る
- 前の車が曲がるときは信号が青でも、急停止するかもしれないと考え、車間距離を取る
- 信号が黄色に変わりそうなときは、前の車が急停止するかも知れないと考え、車間距離を取る
追突事故を防止する十分な車間距離とは?
追突事故を防止するためには、十分な車間距離を取る必要があります。
しかし、運転者が大丈夫だろうと考える車間距離は、事故の防止に十分な車間距離よりも短いとされています。
追突事故の防止をするために、状況別に十分な車間距離を確認していきましょう。
- 走行中
- 停車時
- 発進時
走行中は、前の車よりもさらに先が見える程度に車間距離をとります。
停車するときは、前の車の後輪のタイヤの接地面が見える程度に車間距離をとります。
発信するときは、信号や前の車の急停止にも対応できる車間距離をとり、その後動き出します。
また、走行中から車を停止させるために必要な距離は、車の速度によって異なります。
時速60kmで走行中の場合、車が停止するまでに約44mの距離が必要です。そのため、追突事故を避けるには、約45m以上の車間距離をとっておく必要があります。
また、より速度の出る高速道路では、時速80kmの場合は約80m、時速100kmの場合は約100mの距離が必要となっています。
車間距離を秒数で確認する
しかし、道路上で正確な車間距離を測るのは、簡単にできることではありません。
その場合は、秒数で車間距離を確認します。
標識や電柱などの目印から、前の車が通過し、自分の車が通過するまでの秒数を数えます。一般道路の場合、ゆっくりと2秒かかる車間距離をとります。また、スピードの出る高速道路では、余裕を持って3秒かかる車間距離をとっておきましょう。
ただし、そのまま「イチ、ニ、サン…」と数えると、実際の秒数よりも短い場合があります。そのため、「ゼロ、イチ、ゼロ、ニ、ゼロ、サン…」と、ゼロを間に入れて数えるといいでしょう。
また、天候で路面の状態が悪い、重い荷物を載せている、カーブや坂道などの状況によって、普段よりも停止に長い距離が必要になる場合があります。その場合は、通常よりも2倍程度を目安に車間距離をとりましょう。
それでも追突事故を起こしてしまったら
どれだけ安全運転を心がけていても、追突事故が起こってしまう可能性はあります。
もし実際に追突事故を起こしてしまったとき、運転者がするべきことをご紹介します。
運転を止め、相手の被害状況を確認する
まずは、すぐに車を停止させましょう。そして、相手の被害状況を確認します。
相手が怪我をしている場合は救護をする
相手が怪我をしていないかどうかも確認しましょう。怪我をしている場合は、すみやかに救護を行いましょう。交通事故における怪我人の救護は、法律上の義務になります。怪我人が自力で病院へ向かえないような状況であれば、119番通報して救急車を呼びましょう。
二次被害の危険を防止する
交通事故後の混乱により、後続車には二次被害の危険があります。二次被害の防止も、法律上の義務です。車をなるべく路肩に寄せて停車させ、ハザードランプを点灯させたり、場合によっては発煙筒も使って事故があったことを知らせましょう。
警察へ連絡する
追突事故が発生したことを警察へ連絡しましょう。警察への報告も法律で義務づけられています。たとえば軽い追突事故で、相手も怪我をしていないといった理由で、報告義務を怠ることは禁物です。
被害者の連絡先を確認する
事故の相手の氏名や住所、連絡先などを交換しておきます。また、車のナンバーや、相手の加入している保険会社なども確認しておきましょう。
事故状況と目撃者の確認をする
追突事故が発生した時の速度、停車位置や信号などを、忘れないうちにメモしておきます。また、目撃者がいる場合には、その方の住所や氏名などの連絡先も確認しておきましょう。携帯電話やスマートフォンで、撮影や録音をしておくと後々の確認にも便利です。
加入する自動車保険会社へ連絡する
警察が事故の現場へ到着するまでの間に、自身の加入する任意保険会社へ連絡しておきましょう。ほとんどの保険会社は、電話での交通事故対応を24時間受け付けています。
交通事故を報告する場合、事故が発生した日時、場所、どのような事故だったか、相手の情報などを確認されます。また、現場での対応のアドバイスを求めることもできます。
追突事故を防止するためのポイント
追突事故を防止するためには、十分な車間距離をとり、運転に集中する必要があります。また運転に集中するためには、きちんと睡眠をとることや、走行経路を事前に確認しておくことも大切です。もし追突事故を起こしてしまった場合は、まずは車を停車させ、怪我人がいる場合には救護を行い、警察へ届け出ましょう。救護や警察への届け出は、道路交通法で定められた義務です。