人身の交通事故を起こしたら免停になる?処分の軽減も可能!
人身の交通事故を起こした場合、加害者は違反点数が加算されることになります。違反点数が加算されてしまうと、免停または免許取り消しの処分を受ける可能性があります。そこで今回は、人身事故の加害者は免停の処分を受けるのかについて解説していきます。
もくじ
人身の交通事故を起こしたら免停になる?
人身事故を起こした場合、加害者は行政処分を受けることになります。
行政処分とは、道路交通法に従い、違反点数を加算し、免停または免許取り消しを行うものです。ただし、交通違反の場合は、反則金の支払いを命じられます。
免停や免許取り消しは、違反点数が一定数加算された場合に執行され、免停は違反点数によって免停の期間が異なります。免停や免許取り消しになる点数は、以下の通り。
前歴(※) | |||||
---|---|---|---|---|---|
0回 | 1回 | 2回 | 3回 | ||
免許停止の期間 | 30日 | 6~8点 | |||
60日 | 9~11点 | 4~5点 | |||
90日 | 12~14点 | 6~7点 | 2点 | ||
120日 | 免許取消 | 8~9点 | 3点 | 2点 | |
150日 | 免許取消 | 4点 | 3点 | ||
180日 | 免許取消 | 免許取消 |
免許取り消しになってしまうと、免許を再取得しなければ、車を運転することができません。また、免許取り消しには欠格期間という期間が設けられており、欠格期間が終わらなければ、免許の再取得ができません。
※ 前歴とは、「以前にも交通違反や交通事故を起こしたことがあるか」という経歴のことを指します。
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違反点数の仕組み
違反点数が一定数を超えると、免停や免許取り消しの処分を受けますが、どのように違反点数は加算されるのでしょうか。
行政処分によって加算される違反点数は、3年間累計され、以下のような仕組みになっています。
- 人身事故を起こしたら加算される点数
- 被害者の怪我の程度によって加算される点数
- 措置義務違反をした場合に加算される点数
このように、人身事故を起こした場合、必ず違反点数が2点加算されます。また、被害者が
全治15日未満の怪我を負った場合、責任が重い場合は3点、責任が軽い場合は2点が加算されます。この時点で、加害者には4~5点の違反点数が加算されてしまいます。
したがって、前歴が1回以上あった場合は、免停の処分を受けることになります。
ゴールド免許の場合は注意!
交通事故時に、ゴールド免許だった加害者は、次の免許更新でブルー免許に降格してしまいます。
ゴールド免許を保有し続けるには、「交通事故や違反を起こしていない」ことが条件です。したがって、日々の安全運転を心掛けることが大切です。
免停になったら罰金は発生する?
免停になったからといって、罰金が発生するわけではありません。行政処分を受けた場合に支払うのは、反則金です。
反則金とは、違反点数制度による6点未満の軽微な交通違反に対して、違反者が支払うお金のことです。
では、罰金と反則金にはどのような違いがあるのでしょうか。
罰金は刑事処分
そもそも罰金は、行政処分ではなく、刑事処分にあたります。罰金の処分を受けた場合、被害者が負った怪我の程度によって、支払う金額が異なります。
怪我の程度 | 罰金の金額 |
---|---|
治療期間が3ヶ月以上 または 後遺障害あり |
50万円 (場合によっては 懲役・禁固) |
治療期間が30日以上 3か月未満 |
30万~50万円 |
治療期間が15日以上 30日未満 |
20万~30万円 |
治療期間が15日未満 (または物損事故) |
12万~30万円 |
また、罰金が科せられた加害者は、前科(※)がついてしまいます。一方、反則金には、前科はつきません。
※ 前科とは、以前法律に違反し、刑罰を受けているかという経歴のこと。
【疑問】罰金は保険で支払える?
交通事故の加害者が民事処分を受け、被害者に支払うことになる損害賠償は、保険会社からの保険金で補填されます。しかし、刑事処分で受ける罰金に対して、保険を使うことはできません。
なぜならば、保険会社が加害者に支払う保険金は、民事処分の賠償金を補填するものだからです。
人身事故で免停になったらいつ執行される?
人身事故で免停になった場合、1週間~1ヶ月前後に免停通知書が届くことになります。そして、この免停通知書には、意見の聴取通知書と出頭要請通知書があります。
意見の聴取通知書
意見の聴取通知書とは、1回の違反で免停・免許取り消しの処分を受けたときに送られてくる通知書です。
この通知書が届いた場合、検察庁に出向き、免停・免許取り消しが妥当な処分であるかの事実確認が行われます。処分を受けた加害者が事故の状況や意見を述べて、処分が妥当ではないと認められた場合は、処分が軽くなることもあります。
出頭要請通知書
出頭要請通知書とは、違反点数が免停の処分に達した場合に送られてくる通知書です。
この通知書が届いた場合、指定された日時・場所に出頭しなければなりません。ただし、指定された日時に出頭できない場合は、前もって通知書に記載されている場所へ連絡を入れるようにしましょう。そうすることで、出頭する日時の変更を行うことができます。
出頭要請通知書が送られて出頭すると、その日から免停処分が執行されることになります。また、免停期間中に車の運転をしてしまうと、無免許運転に該当するため注意してください。
免停は講習を受けることで軽減できる!
免停になると、その期間中は車の運転ができないため、不便ですよね。しかし、免許停止処分者講習を受講することによって、免停の期間を短くすることができます。
免許停止処分者講習は、受けた処分日数によって、短期講習・中期講習・長期講習と異なります。また、講習を受けるには、受講料や受講時間も異なります。
免停期間 | |||
---|---|---|---|
30日 | 60日 | 90~180日 | |
講習 | 短期講習 | 中期講習 | 長期講習 |
受講料 | 13,200円 | 22,000円 | 26,400円 |
受講時間 | 1日のみ 6時間 |
2日間で 計10時間 |
2日間で 計12時間 |
免許停止処分者講習では、講習の終わりに試験を受けます。この試験の結果によって、停止処分がどれだけ短くなるのかが決まります。短縮できる日数の上限は、以下の通り。
- 免停30日の場合:20~29日間まで
- 免停60日の場合:24日から30日間まで
- 免停90~180日の場合:35日から80日間まで
上記のように、免許停止処分者講習を受講すれば、免停の処分を軽くすることができます。免停の期間を減らしたい場合は、免許停止処分者講習を受講することをおすすめします。
人身事故で免停になるかについてのまとめ
いかがでしたか。免停になるかというのは、違反点数によって決まります。そのため、人身事故を起こした加害者が、必ず免停になるとは限りません。
免停の処分を受けた場合は、免許停止処分者講習を受講すれば、免停の期間を減らすことができます。ただし、免停の期間がどれだけ減らせるかは、免許停止処分者講習で行われる試験の結果次第です。免許停止処分者講習を受講する際は、講習をしっかりと聴き、試験に臨むようにしましょう。