交通事故で全治二週間の怪我!軽傷でも慰謝料は請求できる?

2019年02月04日

全治二週間の軽傷…慰謝料は請求できる?

小さな交通事故の場合、被害者の怪我も軽傷である場合があります。しかし、「怪我を負った」という事実に変わりはありません。また、交通事故で負傷したことによって、被害者は精神的苦痛も負わなければならないでしょう。

交通事故で怪我を負い、「全治二週間」という軽傷であったとしても、被害者は加害者に対して慰謝料を請求することができます。

今回は、

  • 交通事故の全治二週間に対する慰謝料の種類
  • 適切な慰謝料を受け取る方法

などについて、詳しくご紹介していきます。

交通事故の被害者に支払われる慰謝料

まず慰謝料とは、交通事故が原因で被害者が受けた精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。

交通事故の被害者に支払われる慰謝料は、2種類。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故の被害者が入通院をする際に受けた精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。

入通院慰謝料の金額は、治療期間や実通院日数によって異なります。実通院日数とは、治療にかかった期間の中で、実際に医療機関へ通院した日数のことをいいます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故の怪我が後遺障害になってしまったことで被害者が受けた精神的苦痛を、加害者が金銭で補ったものです。

後遺障害慰謝料の金額は、1級から14級まである後遺障害等級によって異なります。1級が最も高額になり、14級が最も低額になります。

交通事故の慰謝料には3つの計算基準がある

交通事故の慰謝料を計算する際は、3つの基準が使われています。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

それぞれの基準で、計算方法や慰謝料の金額が異なります。詳しく見ていきましょう。

自賠責基準

自賠責基準は、すべての運転者に加入が義務付けられている「自賠責保険」を基準としたものです。

自賠責保険は、交通事故の被害者が受けた損害の保障を、最低限行うことが目的とされています。したがって、自賠責基準による慰謝料の金額は、3つの基準の中で最も低額になります。

任意保険基準

任意保険基準は、運転者の任意で加入を決めることができる「任意保険」を基準として計算されます。

任意保険は、損害賠償の金額が自賠責基準の限度額を超えた場合に、不足分を補う役目を果たしています。任意保険基準は各保険会社で異なっているため、ほとんど公表されていません。一般的には、自賠責基準よりも高額になり、弁護士基準よりは低額になるといわれています。

弁護士基準

弁護士基準は、交通事故における過去の判例を参考に、弁護士会が公表しているものです。
「赤い本」や「青い本」とよばれる法律書で確認することができます。

慰謝料を弁護士基準で計算した場合、被害者に支払われる金額は3つの基準の中で最も高額になります。

通院頻度によっては慰謝料が減額になることも…

交通事故の入通院慰謝料は、あまりにも通院頻度が低い場合、減額されてしまう可能性があります。しかし、途中から通院頻度を増やしたからといって、適切な慰謝料を受け取れるというわけではありません。なぜならば、急激に通院頻度を上げたことによって、治療の必要性や効果が疑われてしまうからです。

適切な慰謝料の支払いを受けるには、一定の通院頻度を保ちながら、定期的な通院を続けることが大切です。

レントゲンに症状があらわれない場合

交通事故で打撲やむちうちなどの軽傷を負い、レントゲンに症状が写らない、つまり他覚所見が見当たらない場合、入通院慰謝料の計算方法が通常よりも異なります。

まず、他覚所見がある場合の入通院慰謝料は、以下のように計算されます。

    ①治療期間 = 入院期間 + 治療期間
    ②実通院日数 = ( 入院期間 + 実通院日数 ) ×2

    ①と②の計算を行い、計算結果が少ない方に4,200円を乗じます。
    その金額が、被害者に支払われる入通院慰謝料の金額です。

他覚所見が見られない場合は、実通院日数の3倍を基準として計算されます。

全治二週間のはずが後遺症に…?

交通事故後は「全治二週間」と診断を受けたにもかかわらず、治療が長引いて後遺症になってしまう可能性があります。

後遺症になってしまうと、これまでの治療費や慰謝料などの支払いは打ち切られてしまいます。後遺症になった後も慰謝料の支払いを受けるには、後遺障害等級認定を受ける必要があります。

後遺障害等級認定を受けるには、まず以下5つの条件を満たし、後遺症が後遺障害と認められなければいけません。

  • ①交通事故と怪我との因果関係があること
  • ②交通事故による怪我が、今後生きていく上で完治する見込みがないこと
  • ③交通事故の怪我により、労働能力が低下してしまうこと
  • ④後遺症が医学的に証明、または説明されていること
  • ⑤怪我の症状が自賠責保険の等級認定に値すること

後遺障害診断書を取得

後遺障害等級認定の申請を行う前に、被害者は「後遺障害診断書」を取得しておかなければいけません。

後遺障害診断書には、怪我の受傷日時や症状固定日、被害者の怪我に対する自覚症状などが細かく記載されています。後遺障害等級が認定されるかどうかは、後遺障害診断書の内容によって決まるといっても過言ではありません。

後遺障害診断書の作成を医師に依頼するタイミングは、交通事故の怪我が「症状固定」と判断された時です。取得する際は、自分の自覚症状を医師にしっかりと伝え、納得のいく後遺障害診断書を作成してもらうようにしましょう。

後遺障害等級認定の申請方法

後遺障害等級認定の申請方法は、2つ。

  • 加害者請求
  • 被害者請求

それぞれの手続き方法を見ていきましょう。

加害者請求

加害者請求とは、後遺障害等級認定の申請手続きを、すべて加害者側の保険会社に任せる方法です。被害者がすべき事は、加害者側の保険会社に対して後遺障害診断書を提出することのみです。

被害者は手続きを行う手間を省くことができるため、精神的ストレスを軽減することができるでしょう。しかし、どのような内容で手続きが行われているか知ることができないため、被害者にとって不利な結果になってしまう可能性があります。

被害者請求

被害者請求は、被害者本人が加害者側の保険会社に対して、後遺障害等級認定の申請手続きを直接行う方法です。

被害者は申請に必要な書類を自分で集め、加害者側の自賠責保険会社へ送ります。被害者請求は、被害者自身がすべての手続きを行うため、加害者請求に比べて時間がかかってしまうでしょう。しかし、被害者は手続きの内容を把握しながら進めることができますし、自分にとって有利な結果になるような書類を付け足すこともできます。

全治二週間の軽傷でも慰謝料は請求できる

被害者が交通事故で怪我を負い、「全治二週間」という軽傷であったとしても、加害者に対して慰謝料を請求することができます。しかし、通院頻度が少なかったり不規則である場合は、慰謝料が減額されてしまう可能性もあります。適切な慰謝料の支払いを受けるには、通院を怠らず定期的な治療を受けることが大切です。