交通事故の冤罪被害を防ぐにはどうする?巻き込まれたら弁護士に相談

2018年11月09日

休日に友人とカフェへ行ったとき、友人が交通事故の被害にあった話をしてくれた。

友人が車を運転していると、前の車が方向指示器を点滅させず、いきなり交差点で右折を始めた。友人は、前の車は直進するものだと思い、そのままのスピードで走行していた。そのため、友人は車のブレーキを踏むのが遅れ、前の車に追突してしまった。

警察が現場検証を行ったとき、加害者は「方向指示器を出していたじゃないか!」と主張した。その主張をした加害者の勢いに圧倒され、友人は何も言えずにいた。

そこに、休憩中だったタクシーの運転手がきて、「あんた、方向指示器出してなかったよ。」と目撃証言をしてくれた。そのタクシーの運転手によって友人は、追突事故の加害者とならずに済んだという内容だった。

この話を聞いて、家に帰宅した後「交通事故でも冤罪ってあるのか。自分も運転するし、交通事故の冤罪に巻き込まれたくないな…。」

このようなお悩みありませんか。今回の記事では、

  • 交通事故で冤罪被害を防ぐには?
  • 交通事故の冤罪被害は誰に相談するべきか
  • 交通事故の冤罪以外に気をつけること

について説明していきます。

▶︎参考:交通事故後の流れについてはこちら

交通事故で冤罪被害にあわないために…

自分は交通事故の被害者なのに加害者と疑われ、冤罪被害に巻き込まれる可能性がないとは言い切れません。そもそも冤罪とは、罪を犯していないにも関わらず、罪を犯した犯人とされてしまうことをいいます。

交通事故における冤罪とは?

交通事故で起こり得る冤罪の事例は、どのようなものがあるのでしょうか。過去に起こった交通事故における冤罪の事例をご紹介します。

スクールバス運転手(当時)が、安全確認不十分のまま道路に進入したことによって事故を起こしたとして逮捕・起訴されたが、運転手は、起訴事実はなくバスは停止しており複数証人もいるとして無罪(冤罪)を主張した。

高知白バイ衝突死事故

 乗用車で交差点を左折した際に自転車の男性を転ばせ負傷させたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転傷害)罪に問われた和歌山市の女性会社員(43)の裁判で、和歌山簡裁(畑山明則裁判官)が「保険金目当ての偽装事故(当たり屋)の疑いが極めて高い」として無罪(求刑・罰金20万円)を言い渡していたことが分かった。

交通事故
「当たり屋の疑い」で無罪 和歌山簡裁

▶︎参考:交通事故において当たり屋がどんな手口を使うのか詳しく知りたい方はこちら

交通事故後の現場検証が大事!

交通事故で冤罪被害に巻き込まれないようにするには、交通事故後に行う警察の現場検証での主張が大事になってきます。

交通事故にあった場合、警察へ連絡することが道路交通法で定められています。警察へ連絡し、警察が到着すると、現場検証が行われます。警察が行う現場検証の内容は、実況見分調書に書き起こされます。この実況見分調書は、事故の状況を記した証拠として、示談交渉や裁判で重要視されます。

そのため、現場検証で自分の意見をはっきり主張しなければ、事故の状況を誤って把握され、加害者と認識されてしまう恐れがあります。

【事例】現場検証でどのように主張すればいい?

現場検証での主張が大事だとわかりました。しかし、以下の状況になった場合、どのように主張すべきなのでしょうか。今回は、「①悪い例」「②良い例」に分けてご紹介します。

    ①悪い例
    相手(加害者) :「あなたは黄色信号で進入してきたじゃないですか!」
    あなた(被害者):「そう言われると…はっきり覚えているわけではないので、なんとも言えません。」
    警察      :「覚えていないんですか?」
    あなた(被害者):「う~ん。黄色信号だったかもしれません。」
    ②良い例
    相手(加害者) :「あなたは黄色信号で進入してきたじゃないですか!」
    あなた(被害者):「いいえ、確かに青信号でした。付近の防犯カメラを確認すれば、はっきりわかるはずです。」
    相手(加害者) :「いや、それは納得できない。」
    警察      :「信号は青だったんですか?」
    あなた(被害者):「はい、青信号であることを確認して交差点に進入したので、間違いありません。実況見分調書にもそのように記録してください。」
    あなた(被害者):「損害賠償に関する話し合いは、後で保険会社か弁護士を通して連絡をしますので。」

このように、現場検証で曖昧に答えてしまうと、加害者と認識されてしまう可能性があります。したがって、現場検証で「~だった」というように、はっきりと主張することが大切なのです。

交通事故の冤罪被害は誰に相談するべきか

もし交通事故で冤罪の疑いをかけられてしまったら、弁護士に相談するのがよいでしょう。弁護士の中には、法律の知識だけでなく、交通事故に関する知識を持っている方もいます。そのため、交通事故の冤罪被害にあったとき、頼りになる相談相手になるはずです。

弁護士に相談することになったら?

弁護士に相談する場合、相談料がかかります。相談料とは、弁護士に相談する際にかかる費用で、相談時間に応じた金額を支払うことになります。しかし、現在では、初回の相談料を無料にしている弁護士事務所も多くなっています。

弁護士に相談した後、問題解決を弁護士に依頼することを決めた場合、さらに以下のような費用がかかります。

  • 着手金:相談した問題に弁護士がとりかかるときに支払う費用です。相手にいくら請求するのかによって金額が異なります。
  • 成功報酬:相談した問題が解決した際に支払う費用です。実際に相手から請求できた損害賠償額によって、支払う金額が決まります。
  • 実費:弁護士に相談した問題を解決するために必要になった、印紙代や切手代などの費用です。
  • 日当:弁護士が事故現場に向かうときの交通費や出張代などの費用です。

上記のような弁護士費用は、弁護士特約を使うことで、保険会社が弁護士費用の一部を負担してくれます。弁護士特約は、自分や家族、親族が加入している保険についているオプションです。保険会社に問い合わせて、弁護士特約がついているか確認してみることをおすすめします。

▶︎参考:弁護士特約について詳しく知りたい方はこちら

交通事故の冤罪以外に気をつけること

交通事故にあったとき、気をつけるべきことは、冤罪だけではありません。以下の2点についても注意してください。

  • ①身体に痛みが現れたら人身事故へ切り替える
  • ②交通事故の現場で示談をしない

①身体に痛みが現れたら人身事故へ切り替える

交通事故の怪我は、時間が経って現れることもあります。交通事故後は、身体が興奮状態になっているため、痛みに気づかないということがあるからです。

このように事故当日は、怪我や痛みがなかったため、物損事故で処理したという方もいると思います。物損事故のままでは、加害者に治療費や慰謝料を請求することができません。したがって、物損事故で処理されたままの場合は、人身事故へ切り替えましょう。

▶︎参考:物損事故から人身事故へ切り替える手続きについて知りたい方はこちら

②交通事故の現場で示談をしない

交通事故の示談は、被害者と加害者が成人している場合、口約束で行っても認められます。しかし、一度示談に合意してしまうと、取り消すことができません。

そのため、事故直後にその場で示談を行ってしまうと、後に新たな事故の損害が出てきたとしても示談内容を変更することができません。したがって、事故の現場で示談するのはやめておいた方がよいでしょう。

▶︎参考:示談について詳しく知りたい方はこちら

交通事故の冤罪についてのまとめ

いかがでしたか。交通事故で冤罪被害にあわないためには、警察が行う現場検証での主張が重要になります。その理由は、現場検証で作成される実況見分調書が、事故の状況を記した証拠として示談交渉や裁判で重要視されるからです。したがって、現場検証で自分の主張を述べる際には、曖昧に答えず、はっきりと主張するようにしましょう。

また、交通事故で冤罪被害に巻き込まれてしまったら、弁護士に相談して解決することをおすすめします。