交通事故後の入院費はいくらかかる?被害者は加害者に請求!
交通事故にあい、入院をすることになってしまったとき、心配になるのは「入院費」だと思います。
「入院費はいくらかかるの?自分で支払うのは、大きな負担になるかもしれない…。」
このようなお悩みありませんか。今回の記事では、交通事故の入院費について解説していきます。
もくじ
交通事故後の入院費はいくらかかる?
そもそも入院費は、様々な費用から成り立っています。その内訳は以下の通り。
- 入院基本料
- 医療費
- 食事代
- 差額ベッド代
入院基本料
入院基本料とは、入院1日あたりで計算される基本料金のことです。医師の診察や看護師による看護、室料、寝具などを含んだ費用になります。しかし、入院基本料は病棟の種類や看護師の人員配置の状態によって、費用に差が出る場合があります。
医療費
医療費は、投薬や注射などの処置、各種検査、手術やリハビリなどの費用を含めた費用のことです。医療費は、処置の内容によって、金額がそれぞれ異なります。
食事代
食事代は、入院時に食べる食事にかかる費用のことで、入院基本料とは別で計算されます。
また、糖尿病や肝臓病などの病気の方、アレルギーをお持ちの方などには「特別食」が出され、通常の病院食よりも割高になります。
差額ベッド代
差額ベッド代は、2人部屋や個室などを希望した場合に発生する費用です。また、差額ベッド代は、健康保険の適用外となっています。
病院で入院すると、上記のような費用がかかります。では、これらの費用は、1日あたりいくらかかるのでしょうか。
当センターが「直近の入院時の自己負担費用」について調査したところ、1日あたりの自己負担費用の平均は19,835円となっています。費用の分布を見てみると「10,000円~15,000円未満」が24.5%と一番多くなっていますが、「20,000~30,000円未満」も14.1%と高い割合を示しています。
このことから、1日あたりの入院費の自己負担分は約2万円前後ということがわかります。もし1週間入院した場合、2万円×7日(1週間)=14万円です。交通事故の被害にあい、14万円の出費をすることになれば、大きな負担となってしまいます。
交通事故の被害者は入院費を自費で支払うの?
交通事故が原因で入院した被害者は、入院費を加害者に請求することができます。入院費を加害者に請求するには、加害者側の自賠責保険を使います。
交通事故で入院したら自賠責保険を使う
自賠責保険とは、交通事故の被害者を救済するために、最低限の保障をしてくれる保険です。また、車を運転する人は必ず加入しなければならないと、道路交通法で定められています。
自賠責保険において、被害者1名に対する保障内容は、以下の通り。
- 傷害による損害:120万円
- 後遺障害による損害:75万円~3000万円
- 死亡による損害:3000万円
自賠責保険では、上記のように上限金額が決められており、被害者の人身損害に対して保障を受けられます。
自賠責保険会社に入院費を請求するには
加害者側の自賠責保険を使って、入院費を含めた損害賠償(※1)を請求する場合、以下2つの請求方法があります。
- 加害者請求
- 被害者請求
加害者請求
加害者請求とは、はじめに加害者が被害者に対して損害賠償を支払い、その後で加害者が保険金を保険会社に請求すること。
被害者請求
被害者請求とは、加害者側から賠償が受けられないとき、加害者が加入している保険会社に損害賠償を直接請求すること。
※1 損害賠償とは、交通事故の被害者が受けた損害に対して、加害者が金銭で埋め合わせをすること。
▶︎参考:交通事故の被害者が受け取れる損害賠償について詳しくはこちら
被害者自身が入院費を立て替えることになったら
交通事故後に入院をしたとき、病院の窓口で立て替え費用が発生する場合があります。そのときは、以下のことを参考にしてください。
病院でもらった領収書を必ず保管する
病院で発行される領収書は、被害者自身が立て替えたという事実、立て替えた金額がいくらだったのかという証拠になります。そのため、被害者が立て替えた入院費は領収書がなければ、加害者に請求できないので注意しましょう。
自身の健康保険証を使う
先程も述べましたが、交通事故の被害者は、加害者に入院費を請求することができます。しかし、一度立て替えるとなれば、被害者に金銭的負担がかかってしまいます。被害者にかかる金銭的負担を軽減させるために、健康保険証を使うのがよいです。
健康保険は、交通事故の治療にも使うことができます。健康保険証を使えば、被害者
は入院費でかかった費用の3割負担で済みます。残りの7割は、健康保険組合が支払ってくれます。
自賠責保険の仮渡金制度を利用する
損害賠償は、すぐに支払われるものではありません。そのため、自賠責保険には仮渡金制度というものがあります。
仮渡金制度とは、被害者が治療や入院などでお金が必要になったとき、その費用をまかなうお金を早く受け取れるという制度です。被害者は、加害者が加入している保険会社に対して、傷害の程度に応じて5万円・20万円・40万円を請求できます。
交通事故後の入院についての疑問
交通事故後の入院について、以下のような疑問が生じるかもしれません。
- 疑問1:入院の際に個室を使ってもいい?
- 疑問2:入院するために仕事を休んで、減収になったら?
ここでは、それぞれの疑問に答えていきます。
疑問1:入院の際に個室を使ってもいい?
先程も述べましたが、病室の個室を利用するときには「差額ベッド代」が必要です。しかし、差額ベッド代は保険適用範囲外になるため、基本的には加害者に請求できません。
ただし、以下のような場合は、差額ベッド代が認められることもあります。
- 医師が個室の利用を指示した場合
- 大きな怪我を負い、個室を利用する必要があった場合
- 入院時に大部屋のベッドに空きがなかった場合
疑問2:入院するために仕事を休んで、減収になったら?
交通事故が原因で入院をし、仕事を休んでしまった場合、被害者は「休業損害」というものを加害者に請求することができます。
休業損害とは、交通事故の怪我が原因で、仕事を休んでしまい、収入が減少した分を補填するものです。そのため、仕事を休んでしまっても、収入の減少を心配する必要はありません。
交通事故の入院費についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故の被害者が入院をした場合、入院費を加害者に請求することができます。しかし、被害者は入院費を立て替えなくてはならないかもしれません。
その場合は、
- 病院でもらった領収書を必ず保管する
- 自身の健康保険証を使う
- 自賠責保険の仮渡金制度を利用する
といった対応を行ってください。