過失割合【10:0】の交通事故!示談交渉が行われるまでの流れ
車を運転して買い物に行ったときのこと。赤信号の交差点で停止していると、後ろから車が追突してきた。交通事故の被害にあい、身体の痛みが現れ、病院でむちうちと診断された。
事故から4ヶ月経過し、むちうちの症状が緩和したため、示談交渉をしようと考えていた。示談交渉の経験がなかったので、事故の被害にあい、示談を経験した友人に相談することにした。友人に相談すると、「10:0の事故だから、損害賠償の計算で過失相殺されないんじゃない?」といわれた。
「10:0の事故って何?数字は何を意味してるんだろう…。」
このような疑問ありませんか。今回の記事では、
- 交通事故における示談交渉
- 交通事故において10:0が意味すること
- 10:0の交通事故で受け取れる損害賠償
- 10:0でない交通事故の違い
について説明していきます。
もくじ
交通事故における示談交渉とは?
交通事故では、示談交渉というものが行われます。そもそも示談交渉とは、加害者と被害者が和解するために行う話し合いのことです。また、示談交渉は、交通事故による怪我が完治または症状固定(※1)と医師に診断された後に行うのが一般的です。
示談交渉の進め方
示談交渉は、以下のような流れで行われます。
- ①示談交渉を始める
- ②示談交渉が成立する
- ③示談書(※2)の作成する
- ④示談で決まった損害賠償金を受け取る
示談交渉では、示談書に一度捺印してしまうと、示談内容を変更することができません。示談書に捺印をしたということは、示談内容に納得したという証拠になります。したがって、示談書に捺印する前には、示談内容にしっかりと目を通すようにしましょう。
※1 症状固定とは、治療を続けても、これ以上症状が緩和しない状態のことです。
※2 示談書とは、事故の事実と示談内容を記した書類です。
交通事故において10:0が意味することとは?
交通事故にあったとき、「10:0」といった数字を耳にすることになるでしょう。しかし、「10:0」という数字が意味する内容がわからない方もいると思います。「10:0」は何を意味しているのでしょうか。
過失割合
「10:0」という数字は、過失割合を表しています。過失割合とは、当事者それぞれにおける交通事故に対する責任の割合です。過失の割合が多ければ加害者、少なければ被害者となります。しかし、被害者だからといって過失が0になるとは限りません。被害者にも何らかの過失が認められることもあります。
【事例】過失割合が「10:0」になる交通事故
過失割合が「10:0」になる交通事故の事例をいくつか紹介していきます。
-
車対車の場合
加害者が信号無視をして、被害者の車に衝突したとき
赤信号だったため、被害者の車が停止線の手前で停車していたところに、加害者である後続車が追突してきたとき
加害者が車道にある中央線をはみ出し、被害者の車に衝突したとき
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車対歩行者の場合
青信号だった横断歩道を歩行者が渡っているところに、加害者の車が突っ込んできたとき
信号機が設置されていない横断歩道で歩行者と加害者の車が接触したとき
10:0の交通事故の場合、損害賠償はどうなる?
交通事故の被害にあった被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。
交通事故の被害者が、加害者に請求できる損害賠償は、大きく分けて3つのものがあります。
- ①積極損害
- ②消極損害
- ③慰謝料
①積極損害
交通事故の被害にあい、出費を余儀なくされた費用に対する損害を積極損害といいます。
積極損害には、以下のようなものがあります。
- 診察費
- 治療費
- リハビリ費用
- 手術費用
- 付添介護料
- 通院交通費
- 装具・器具等の購入費 など
積極損害を請求する場合、領収書や診療報酬明細書が必要になるので、大切に保管しておいてください。
②消極損害
交通事故の被害にあわなければ、得られたであろう収入や利益を消極損害といいます。
消極損害には、以下のようなものがあります。
- 休業損害:交通事故が原因で仕事を休んでしまったことで、減少した収入や利益を補填するためのもの
- 逸失利益:交通事故の怪我が後遺障害となり、以前より労働能力が低下してしまったことで、減少してしまった収入を補填するためのもの
③慰謝料
慰謝料とは、交通事故によって被害者が負った精神的苦痛を加害者が金銭で補ったものです。
慰謝料には、以下のようなものがあります。
- 入通院慰謝料:交通事故の怪我で入通院する際に、被害者が感じた精神的苦痛の対価として支払われるもの
- 後遺障害慰謝料:交通事故の怪我が後遺障害になってしまったことで、被害者が感じた精神的苦痛の対価として支払われるもの
▶︎参考:入通院慰謝料について詳しく知りたい方はこちら
▶︎参考:後遺障害慰謝料について詳しく知りたい方はこちら
10:0の交通事故の場合、交通事故の被害者は、上記のような損害賠償を事故の状況や怪我の程度に応じて受け取ることができます。
10:0でない交通事故の場合は?
「10:0」でない交通事故、例えば「8:2」や「7:3」など、被害者にも過失があると認められることもあります。そもそも過失割合が小さければ、必ず被害者になるというわけではありません。過失割合が大きい場合でも被害者となることもあるのです。
被害者に過失がある場合、被害者が受け取れる損害賠償に影響してしまうこともあります。
過失相殺が行われる
交通事故の被害者に過失があると認められた場合、過失相殺というものが行われます。
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過失相殺とは
交通事故の被害者に過失があった場合、その過失に応じて損害賠償の金額を減額することをいいます。
自賠責保険では、被害者に7割以上の過失が認められた場合、重過失減額となり損害賠償額が減額されてしまいます。
損害賠償は重過失減額によって、どのくらい減額されるのかについて、以下の表にまとめました。
被害者の過失割合 | 過失相殺によって減額される割合 | |
---|---|---|
後遺障害または死亡に係わる事故 | 傷害に係わる事故 | |
7割未満 | 減額なし | 減額なし |
7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割以上9割未満 | 3割減額 | |
9割以上10割未満 | 5割減額 |
過失相殺が行われた場合の損害賠償の計算例
過失割合が「加害者:被害者=2:8」で、損害賠償の金額が120万円だった場合
被害者の過失は「2」なので、損害賠償の金額から2割分が減額されることになります。
実際に計算してみると、120万円×(1-0.2)=96万円となります。したがって、被害者が受け取る損害賠償の金額は96万円となり、24万円分が減額されてしまいます。
▶︎参考:過失割合に納得がいかない場合の対処法についてはこちら
10:0の交通事故についてのまとめ
いかがでしたか。「10:0」は、交通事故における過失割合を示しています。交通事故の被害者の過失が「0」であれば、示談で決める損害賠償の金額に影響はありません。
一方、交通事故の被害者に過失があった場合は、被害者の過失に応じて、損害賠償の金額が減額されてしまいます。覚えておきましょう。