交通事故後の頭痛はむちうち?後遺障害等級を獲得するには
交通事故が原因の怪我で、むちうちは最も多い怪我といわれています。むちうちの症状は、首の痛みだけに限らず、頭痛やめまい、体のだるさなど様々です。
むちうちになってしまったら、治療先に悩まれる方は多いのではないでしょうか。また、どれくらいの期間で症状が緩和されるのかも、気になるポイントだと思います。
今回は、
- むちうちとは
- むちうちの治療先
- むちうちの治療期間
などについて、詳しく解説していきます。
もくじ
むちうちが起こる原因とは?
むちうちは、交通事故やスポーツの衝撃によって首に不自然な力が加わり、筋肉や靭帯が損傷することで起こる怪我の総称です。首に力が加わる際に、首が鞭(むち)のようにしなることから「むちうち」と呼ばれています。正式名称は「頚椎捻挫(けいついねんざ)」や「頚部挫傷(けいぶざしょう)」といいます。
むちうちの症状は首の痛みや頭痛など、様々
むちうちの代表的な症状は「首の痛み」ですが、他にもたくさんの症状があらわれます。
交通事故後、以下のような症状があらわれたら、むちうちの可能性があります。
- 首の痛み
- 肩や背中のコリ
- 腕の痛みやしびれ
- 体のだるさ
- 頭痛
- 知覚障害
- 歩行障害
また、むちうちの特徴として、症状がすぐにあらわれない場合があります。交通事故後、体に異常がないからといって、放置するのは避けましょう。時間が経過してから痛みがあらわれて病院へ行っても、交通事故との因果関係を認めてもらえない場合があります。
むちうちの治療先
むちうちの治療先は、主に3つ。
- 整形外科
- 整骨院
- 鍼灸院
それぞれの通院先で、受けられる治療・施術内容が異なります。
一つひとつ詳しく見ていきましょう。
整形外科
整形外科では、医師が治療を行います。
治療内容としては、レントゲンやMRIで骨の異常を検査し、必要な場合は手術を行います。治療をしても痛みが引かない場合は、湿布や痛み止めの処方をし、経過観察をします。また整形外科は、切り傷やすり傷などの「外傷」に対する治療を得意としています。
整形外科では、診断書を取得することもできます。診断書は、交通事故と怪我との因果関係を証明するための書面で、医師のみが作成できます。保険金の請求をする際や、人身事故へ切り替えを行う際にも必要となるため、必ず取得するようにしましょう。
整骨院
整骨院では、柔道整復師が施術を行います。
柔道整復師とは国家資格の1つで、「手術をせず、手技を用いて施術を行う」という特徴があります。
柔道整復師が行う手技は、3つ。
- 整復法
- 固定法
- 後療法
ずれたり外れたりした骨を、手で揉んだり伸ばしたりして、元の状態に戻す方法。
脱臼や骨折した箇所を包帯やギブスなどで固定し、患部の回復を図る方法。
電気や光などの物理エネルギーを利用して刺激を与える「物理療法」、手の平で体に刺激を与え、自然治癒力を引き出す「手技療法」、運動によって身体機能の回復を図る「運動療法」を用いて、患部の回復を早める方法。
むちうちの症状は、骨の異常によって引き起こるものではないため、レントゲンやMRIには写らない場合があります。そのため、整形外科では異常なしと判断されてしまうこともあります。
整骨院では、体に直接触れて施術を行うため、整形外科では見つけることができなかった症状を見つけ、施術してくれる場合があります。
整形外科へ通院を続けても症状が緩和されない場合は、保険会社から許可を得た上で、整骨院と併用してもよいでしょう。
鍼灸院
鍼灸院には、はり師ときゅう師が在籍しています。鍼の施術は「はり師」、灸の施術は「きゅう師」が行います。
人間の体には、約365以上のツボがあるといわれています。鍼灸院では、このツボに対して鍼や灸で刺激を与えます。刺激を与えることによって、血液やリンパの流れが良くなり、身体機能の回復が期待できるといわれています。
むちうちの治療期間はどれくらい?
むちうちの治療期間は、断定することができません。なぜなら、症状の程度や体の丈夫さによって治療期間が異なるためです。一般的には、3ヶ月程度の通院で症状が緩和されるといわれていますが、人によっては6ヶ月~1年以上かかる場合もあります。
治療期間を短くするには、「2日に1回の頻度で通院を続ける」とよいでしょう。通院の間隔があまりにも開いてしまうと、治療後の状態を体が記憶できず、治療期間が長引いてしまうことがあります。
むちうちが後遺症になってしまったら
治療を続けても症状が緩和されない場合は、後遺症として残ってしまいます。
後遺症になってしまったら、定期的に通院を続け、リハビリを受ける必要があります。しかし、後遺症になった後の治療費や慰謝料の支払いは行われません。
後遺症になった後も慰謝料を受け取りたい場合は、後遺症が後遺障害と認められ、また後遺障害等級が認定される必要があります。
まず、以下の5つの条件を満たすことで、後遺症が後遺障害と認められます。
- 被害者が感じている後遺症と交通事故との因果関係が明確であること。
- 後遺症の原因が、医学的に証明または説明できるものであること。
- 後遺症が交通事故が原因のもので、肉体的・精神的に損害を負っていること。
- 後遺症の症状が、自賠責保険の後遺障害認定基準に該当していること。
- 今後生きていく上で、症状が回復する見込みはないと医師に判断されていること。(症状固定)
後遺障害等級認定の申請準備
後遺障害には1級から14級までの等級があり、これを後遺障害等級といいます。後遺障害等級が認定されると、等級によって後遺障害慰謝料を請求することができます。
後遺障害等級が認められるには、後遺障害等級認定の申請をする必要があります。
まず、後遺障害等級認定の申請準備として、すべき事は2つ。
- 症状固定まで通院を続ける
- 後遺障害診断書の作成を依頼する
一つひとつの内容を、詳しく見ていきましょう。
症状固定まで通院を続ける
症状固定とは、「これ以上怪我の治療を続けても、症状が良くなる見込みはない」と医師に判断されることです。症状固定と判断された時点で、その怪我は後遺症となります。
症状固定にならない場合、「怪我が完治した」と捉えられるため、後遺障害等級が認められる可能性はないに等しいでしょう。
症状固定の判断は、医師のみが行えます。加害者側の保険会社から症状固定と判断されることもありますが、痛みが残っている場合は通院を続けるようにしましょう。また、ほぼ痛みがなくなったとしても、自己判断で通院を中止してはいけません。
後遺障害診断書の作成を依頼する
症状固定と判断されたタイミングで、医師に後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。
後遺障害等級が認定されるかどうかは、ほとんどが後遺障害診断書の内容によって決められています。
医師に作成を依頼する際は、自覚症状を的確に伝えることが大切です。また、記載された内容を自分でもしっかりと確認し、納得のいく後遺障害診断書を取得するようにしましょう。
後遺障害等級認定の申請方法
後遺障害等級認定の申請方法は、2つ。
- 加害者請求
- 被害者請求
それぞれどのような方法なのか、詳しく解説していきます。
加害者請求
加害者請求とは、加害者側の保険会社に、後遺障害等級認定の申請手続きのすべてを任せる方法です。被害者が、加害者側の保険会社に後遺障害診断書を提出すると、後の手続きは加害者側の保険会社が行ってくれます。
後遺障害等級認定の申請手続きは複雑ですが、加害者請求を行うことで、被害者は手続きの手間を省くことができます。しかし、どのような手続きが行われているのか、被害者は知ることができません。加害者請求で後遺障害等級認定の申請を行うのは、あくまでも加害者側の保険会社です。そのため、被害者にとって有利な結果になるように、手続きを行ってくれるとは限らないのです。
被害者請求
被害者請求では、被害者自身が、後遺障害等級認定の申請手続きのすべてを行わなければいけません。被害者は、後遺障害等級認定の申請に必要な書類をすべて自分で集め、加害者側の保険会社へ送ります。
▶︎参考:被害者請求で必要な書類について、詳しく知りたい方はこちら!
被害者請求では、手続きを被害者自身で行うため、納得しながら進めていくことができます。また、手続きを弁護士にサポートしてもらうことで、被害者にとって有利な結果になることもあります。
むちうちの症状と治療方法についてまとめ
交通事故が原因の怪我で、最も多いといわれているむちうち。むちうちの症状は、交通事故後すぐにあらわれるとは限りません。しかし、体は大きなダメージを負っていることがあります。交通事故にあったら、痛みや違和感がなくとも、必ず病院へ行き体の状態を診てもらうようにしましょう。