むちうちの痛みが緩和するまでの期間は?治療は2つの時期で異なる

2019年02月14日

交通事故の被害にあうと、むちうちの怪我を負う可能性があります。むちうちを負ってしまうと、様々な症状があらわれるものです。このようにむちうちで生じる痛みは、「いつ緩和されるの?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、むちうちの痛みが緩和されるまでの期間、痛みが長期間続いた場合の対処法、治療方法などについて解説していきます。

むちうちとは

むちうちは、交通事故の被害者に多い怪我の1つです。交通事故の衝撃で首が鞭のようにしなり、首周辺の筋肉や靭帯などの軟部組織が損傷することで、様々な症状があらわれます。

また、むちうちには、以下4つの症状型が存在します。

  • 頚椎捻挫型
  • バレー・ルー症状型
  • 神経根症状型
  • 脊髄症状型

頚椎捻挫型

頚椎捻挫型は、むちうちと診断を受けた人の70~80%が該当する症状型で、首の筋肉や靭帯などが過度に伸びたり、断裂した状態です。頚椎捻挫型になると、首の痛み、運動制限、背中や肩のこりなどの症状があらわれます。

バレー・ルー症状型

バレー・ルー症状型は、首にある交感神経が緊張している状態です。そのため、交感神経が支配する領域に症状があらわれます。例としては、頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気、眼精疲労などの症状が、頚椎捻挫型と併発します。風邪に似たような症状があらわれるため、むちうちだと気づかない可能性もあります。バレー・ルー症状型の特徴としては、事故後すぐに発症せず、数日経った後に症状があらわれます。

神経根症状型

神経根症状型は、椎間孔の神経根が圧迫されている状態であるため、各々の神経がコントロールしている部位に症状があらわれます。例としては、首や腕の痛み、しびれ、後頭部の痛み、顔面痛などの症状です。これらの症状は、咳やくしゃみをしたとき、首や肩を動かしたときに強まる傾向があります。

脊髄症状型

脊髄症状型は、頚椎にある脊柱管を通る脊髄が傷ついたり、下肢に伸びている神経が損傷している状態です。そのため、下肢のしびれや知覚障害、歩行障害、膀胱や直腸の障害などの症状があらわれます。このように、むちうちの中でも重い症状があらわれるのが脊髄症状型です。

むちうちは痛みの状態で治療方法を変える

むちうちは、痛みの状態によって治療方法が異なります。むちうちの痛みの状態は、以下のように大きく2つに分けることができます。

  • 急性期
  • 慢性期

急性期

急性期とは、損傷した部位が炎症を起こし、むちうちによる痛みを強く感じる時期のことです。一般的に、受傷直後から1ヶ月までをいいます。

むちうちによる痛みが強くあらわれているときに、体を無理に動かしてしまうと、症状が悪化する恐れがあります。したがって、急性期の場合、まずは安静を保つことが大切です。安静を保つ際には、コルセットやネックカラーを着用することもあります。

また、急性期には冷湿布を貼るのもよいです。冷湿布を痛みのある部分に貼ることによって、むちうちの炎症を抑えることができます。

慢性期

慢性期とは、むちうちの痛みが落ち着いている時期のことで、受傷後から3ヶ月経っている時期をいいます。

慢性期の場合、痛みの状態が落ち着いているため、体に刺激を与える治療方法が可能になります。したがって、マッサージや電気療法、牽引、鍼灸などの治療を行います。

  • マッサージ:手を使って体に刺激を与え、筋肉の緊張を和らげ、痛みを緩和させる
  • 電気療法:体に電気を流して刺激を与え、血行を促し、痛みを緩和させる
  • 牽引:首を引っ張ることで、頚椎椎間関節の変形を矯正、椎間孔を広げて症状を緩和させる
  • 鍼灸:はりと灸の刺激で体のバランスを整え、自然治癒力を向上させることで症状を緩和させる

むちうちの痛みが緩和するまでの期間

むちうちになると、首の痛みや肩こり、耳鳴り、めまい、吐き気などの様々な症状があらわれます。そのため、むちうちによる痛みが緩和するまでの期間は、症状や程度によって異なります。しかし、むちうちによる痛みが緩和するまでの期間には、目安が存在します。

むちうちの治療を開始してから3ヶ月が、痛みが緩和する目安の期間だといわれています。ただし、3ヶ月経ったからといって、通院をやめてしまうのはよくありません。あくまで目安の期間であるため、通院先の指示に従い、治療を受けることが大切です。

むちうちの痛みが長期間続く場合は?

むちうちの治療を行っているにもかかわらず、痛みが長期間続く場合、医師から症状固定と診断されることがあります。

症状固定とは、このまま治療を続けても、症状の緩和が見込めない状態のことをいいます。つまり、後遺症が残っているということになります。もしも交通事故によって後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を申請することをおすすめします。

後遺障害等級認定とは

後遺障害等級認定とは、交通事故で負った怪我の後遺症が1~14級まである等級のうち、どの等級に当てはまるかを認定するものです。後遺障害の等級は、怪我をした部位や程度で振り分けられています。

後遺障害等級認定の申請手続きを行い、等級が認定された場合、後遺障害慰謝料逸失利益といった損害賠償を受け取ることができます。

後遺障害等級認定の手続き方法

後遺障害等級認定は、「事前認定」または「被害者請求」で申請の手続きを行わなければなりません。

  • 事前認定:加害者側の保険会社に、後遺障害等級認定の申請手続きを任せる方法
  • 被害者請求:被害者自身で、後遺障害等級認定の申請手続きを進める方法

上記のように、事前認定は、手続きの手間を省くことができます。一方、被害者請求の場合は、被害者自身で必要な書類を作成・取得しなければならず、手間がかかってしまいます。
しかし、被害者請求では、事前認定では確認できない書類の内容を把握することが可能です。また、レントゲンやMRIの画像といった、後遺障害等級の認定に有利になるような書類を付け足すこともできます。そのため、納得のいく等級が認定される可能性が高まります。

むちうちの痛みを感じる期間についてのまとめ

いかがでしたか。むちうちの症状は、首の痛みや吐き気、めまい、頭痛、歩行障害など様々な症状があらわれます。そのため、むちうちの痛みが緩和されるまでの期間は、個人差があります。しかし、目安の期間があり、治療開始から3ヶ月でむちうちの痛みが緩和されるといわれています。

ただし、3ヶ月経っても症状が緩和されず、医師から症状固定と判断された場合は、後遺障害等級認定を申請することをおすすめします。