交通事故の裁判で和解案を提示された。承諾した場合はどうなるのか?
交通事故で裁判の経験はありますか。裁判を進めていると、「和解案」というものが提示される場合があります。しかし、「和解案」について知らなければ、「和解案」を承諾していいものか判断が難しいですよね。そこで今回は、和解案について解説していきます。
交通事故における民事裁判の流れ
そもそも交通事故の民事裁判は、加害者が被害者に支払う損害賠償の問題を取り扱う裁判です。また、民事裁判は誰でも起こすことができます。
交通事故で民事裁判になったとき、以下の流れで進んでいきます。
- ①裁判所に訴状を提出する
- ②口頭弁論を行う
- ③証拠を提出する
- ④判決を言い渡す
①裁判所に訴状を提出する
まず、訴状を提出しなければ、民事裁判を起こすことができません。
訴状に記載する内容は、以下の通り。
- 訴状を作成した日付
- 求める判決内容
- 原告(民事裁判を起こした当事者)の住所と氏名
- 請求する損害賠償の金額
- 事故の内容
- 添付書類 など
訴状の提出先は
- 請求する損害賠償額が140万円以下の場合:簡易裁判所
- 請求する損害賠償額が140万円以上の場合:地方裁判所
となっています。
②口頭弁論を行う
口頭弁論は月1回の頻度で行われ、当事者が裁判所に出向き、それぞれの意見を述べます。裁判長は、提出した書類内容に関する質問を行い、矛盾を明らかにしていきます。
例:信号の色に関して、当事者同士の主張が異なっているという矛盾をなくす。
③証拠を提出する
当事者の意見を裏付けるものとして、証拠を提出します。
交通事故の裁判で証拠として提出するものは、以下の通り。
- 目撃者の証言
- 診療報酬明細書
- 医師の診断書
- 後遺障害の認定書 など
④判決を言い渡す
裁判官から判決を言い渡されると、民事裁判は終了します。しかし、交通事故の民事裁判では、判決を言い渡す前に、裁判官から和解案が提示されることがあります。当事者双方が和解案に納得した場合は、裁判の手続きを最後まで行わず、和解して終了となります。
民事裁判で提示される和解案とは
民事裁判において、判決を言い渡す前に提示される「和解案」とはどのようなものなのでしょうか。
そもそも和解とは、「当事者同士で争うことをやめましょうという約束のこと」です。そして、和解案とは、当事者双方の意見や証拠を踏まえて、損害項目ごとの金額と根拠を示したものです。民事裁判の中で和解案が提示されるのは、問題の争点が整理され、証拠が出揃った後になります。
和解案を承諾した場合のメリット
和解案を承諾した場合のメリットは、以下の2つ。
- 裁判よりも早く問題を解決できる
- 本人尋問の負担が少なくなる
裁判よりも早く問題を解決できる
裁判制度には控訴や上告というものがあります。控訴や上告は、裁判の判決が不服である場合に行うものです。再度裁判で判決内容を決めていくことになるので、裁判が長引くことになります。
和解には控訴や上告の制度がないので、当事者双方で和解できれば、裁判よりも早く問題を解決することができます。
本人尋問の負担が少なくなる
裁判では、本人尋問というものがあります。本人尋問とは、当事者が裁判所に出向き、自分の主張を述べることです。本人尋問は準備することも多く、相手の代理人から精神的につらいことを言われる場合もあります。
しかし、和解案に合意すれば本人尋問を行わずに済むため、本人尋問の負担から逃れることができます。
和解案に承諾しなかった場合はどうなるのか
和解案に承諾しなかった場合、今まで進めていた裁判の流れに戻ることになります。そのため、判決が言い渡されるまで裁判を行うことになります。また、判決内容が不服として、控訴や上告される場合もあり、問題が解決するまでに時間がかかる可能性もあります。
交通事故の和解案についてのまとめ
いかがでしたか。交通事故の民事裁判で提示される和解案は、当事者双方の意見や証拠を踏まえて、損害項目ごとの金額と根拠を示したものです。
和解案に合意した場合、「裁判よりも早く問題を解決できる・本人尋問の負担が少なくなる」といったメリットがあります。和解案に合意するかしないかは、当事者の自由です。自分にとって不利益にならない選択をするようにしましょう。